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「超える映画を探してる」「別格だな…」“最高峰のクオリティ”に感極まる視聴者も…映画『国宝』を生み出したタッグが贈る至高作

  • 2025.11.24

誰もが内に秘めている矛盾や嫉妬、どうしようもない弱さといった“人間のリアル”。そうした綺麗事だけではない人間の本質や、ままならない日常を生きる姿を描いた邦画は、心に深く刺さることもしばしばあります。今回は、そんな“人間のリアルを描いた邦画”5選をセレクトしました。

本記事では第5弾として、2010年公開の映画『悪人』(東宝)をご紹介します。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

“人間のリアルを描いた邦画”映画『悪人』

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映画『バンクーバーの朝日』舞台あいさつ 妻夫木聡 (C)SANKEI
  • 作品名(配給):映画『悪人』(東宝)
  • 公開日:2010年9月11日

あらすじ

吉田修一さんの同名小説を原作に、 李相日さん監督で実写映画化。

長崎のさびれた漁村で、祖父母と静かに暮らす清水祐一(妻夫木聡)は、友人も恋人もなく孤独な日々を送っていました。一方、佐賀県の紳士服量販店に勤める馬込光代(深津絵里)も、職場と家を往復するだけの退屈で単調な毎日を過ごしていました。

ある日、祐一は、衝動的に保険会社のOLを殺害してしまいます。事件の後、彼は出会い系サイトで偶然知り合った光代を車に乗せ、あてのない逃避行へと及びます。これまで孤独だった2人は、逃げる身でありながら、互いを唯一の存在として強くひかれあうようになります。しかし、彼らの逃避行は、被害者や加害者の家族といった事件関係者たちの運命をも、大きく巻き込んでいくことになるのでした―。

映画『悪人』の見どころ ※ネタバレあり

吉田修一さんの原作小説を李相日監督が実写化した映画『悪人』は、2025年公開の映画『国宝』と同じタッグが手掛けた作品です。本作は、現在に輝かしい称賛を集める映画『国宝』の系譜にふさわしい、人間の本質を容赦なくえぐり出す重厚な人間ドラマとなっています。物語は殺人事件を軸に進みますが、その過程で描かれるのは登場人物たちの孤独や絶望であり、観客に安易な救いを与えません。SNSでは「心がえぐられる」「誰も救われない」といった声が寄せられているように、観終わった後にずっしりとした重い余韻を残し、思わず目を背けたくなる観客も少なくないでしょう。

しかし、その重厚さこそが本作の最大の魅力であり、高く評価される理由です。本作は単なるサスペンスではなく、加害者、被害者、そしてその家族といったさまざまな登場人物の視点から、現代社会に潜む孤独を描き出しています。SNSでは「かなり深い作品」「超える映画を探してる」「別格だな…」といったコメントが寄せられており、一体誰が本当の「悪人」なのかを観客に強く問いかけます。妻夫木聡さん、深津絵里さんをはじめとする実力派俳優陣の鬼気迫る演技も、この複雑な物語に圧倒的な説得力を与えていました。

「第34回モントリオール世界映画祭」で最優秀女優賞を受賞!深津絵里の心を揺さぶる演技力

孤独な殺人犯と、彼を愛してしまった女の逃避行を描いた映画『悪人』では、妻夫木聡さんや深津絵里さんをはじめ、岡田将生さん、満島ひかりさん、柄本明さん、故・樹木希林さんといった錚々たる俳優陣が出演しました。そのなかでも、特に観る者の心を激しく揺さぶったのが深津絵里さんの演技です。鬱屈した日々を送りながら、殺人犯との愛に救いを見出していく女性という難役を、深津さんは鬼気迫る演技とリアリティで演じきりました。

深津さんの圧倒的な表現力に対し、SNSでは「ベストアクト」「凄い」「演技が言うまでもなく素晴らしい」といった、言葉を失うほどの称賛が寄せられています。そんな深津さんの渾身の演技は、海を越えて高く評価されました。本作は第34回モントリオール世界映画祭のコンペティション部門に出品され、深津さんは見事『最優秀女優賞』受賞という快挙を成し遂げたのです。日本映画史に残る名演として刻まれた深津さんの姿は、公開から時を経た今もなお、強烈な輝きを放ち続けています。

映画『悪人』を観たことがない方、また本記事を読んで興味を持っていただけた方は、“あまりにも切ない逃避行”をぜひご覧ください!


ライター:天木拓海
映画・アニメ・ドラマなど、エンタメ作品を観ることを趣味としているライター。エンタメ関連のテーマを中心に、作品考察記事/コラム記事などを手掛ける。

※記事は執筆時点の情報です