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【マクドも、ユニクロも】 SNSで「シルエットクイズ」が多発してるワケ 企業PRの “新定番” 、ユーザーからは「飽きた」の声も

  • 2025.10.17

爆発的な拡散力と、“陳腐化”の懸念

あなたは分かる……? SNSで定番化しているシルエットクイズ/ユニクロのX公式アカウント(@UNIQLO_JP)から引用
あなたは分かる……? SNSで定番化しているシルエットクイズ/ユニクロのX公式アカウント(@UNIQLO_JP)から引用

企業の公式X(旧ツイッター)アカウントで、新商品や人気キャラ・コンテンツとのコラボレーションを発表する際、「シルエットクイズ」形式のプロモーションが定番化しています。キャラや商品の輪郭だけを公開してファンに予想させるもので、単なる情報告知ではなく、ファン層の自発的な拡散と高いエンゲージメントを生み出す効果が期待されるもの。一方、数多くの企業がこの手法を採用している現状に、Xユーザーからは「もう飽きた」との反応も……。

「シルエットクイズ」は、PRの事前告知として意図的に詳細を隠したシルエット画像を使用し、「このコラボ相手は誰でしょう?」と問い掛ける手法。この戦略を積極的に活用している企業は多岐にわたります。

例えば、ユニクロはUTコレクションで人気漫画・アニメ「チェンソーマン」や「NANA」などの作品とコラボする際、シルエットのわずかな特徴でファン心理を刺激し、既存ファンへの限定感と期待感を醸成することで即時的な反応を引き出しました。また、日本マクドナルドはハッピーセットのコラボキャラや漫画雑誌「ちゃお」との企画で知名度の高いコンテンツを採用し、ファミリー層を含む幅広い層へのアピールと話題化を図っています。

ファイントゥデイ社が販売する制汗剤「シーブリーズ」も、人気アニメ「ハイキュー!!」とのコラボ商品で若年層へアプローチし、ファンによる“推し”キャラクターの特定を促すことでコミュニティーの盛り上がりを生み出しました。

ほかにもスシロー、松屋、GU、日清カップヌードルと枚挙にいとまがありません。シルエットクイズは、特定ファンの「知識」や「推しへの情熱」を燃料に、告知を瞬時に拡散させる効果的な手段であると言えそうです。

このようなシルエットクイズは、いつからSNS上で見られるようになったのでしょう。同種の手法は2018年頃から散発的に見られたものの、特に注目を集めるようになったのは2020年以降、大手企業の成功により一気にプロモーションの定番となりました。

定番化の背景には、主に二つの要因が挙げられます。一つは、2020年頃からのコロナ禍によるプロモーションの「オンラインシフト」。実店舗でのイベントや体験型プロモーションが難しくなる中、企業はオンライン、特にXなどのリアルタイム性とインタラクティブ性に活路を見出しました。低コストで実施でき、かつユーザーの参加を促すクイズ形式は、「オンラインで話題を創出する」手法として最適でした。

加えて、2020年から2021年にかけての大手企業の成功と波及効果です。先述のマクドナルドやユニクロなど、フォロワー数の多い大手企業がシルエットクイズで数万件の“いいね”や引用リツイートを獲得する成功事例を重ねたことで、「低コストで高エンゲージメント」を実現する手法として、他業界にも一気に波及しました。

特にアニメ・ゲームといった人気コンテンツのブームと相性が良かったことも後押しとなりました。

こうした経緯からシルエットクイズは、単なるバズを狙う一時的な手法ではなく、Xのアルゴリズムとファン文化に適応した「SNS時代に最適化されたエンゲージメント戦略」として確立したと言えます。

これらの企業の投稿に対するXユーザーの反応は、非常にポジティブな内容が多いのも特徴的。ユニクロの「チェンソーマン」事例では、投稿直後に多数の“いいね”を獲得し、「シルエットで分かった」「買うしかない」といった興奮の声が即座に寄せられました。また2025年中の他事例でも、マクドナルドが約4万5000いいね、第一生命が約2万9000いいねを記録するなど、高いエンゲージメントの持続性が証明されています。

「正解を当てたい」というクイズ的な欲求と、「いち早く新情報を特定したい」というファン欲求を同時に満たすものとして、多くのユーザーが飛びつくことがこうした実績を生んでいるのです。

小売や飲食などの業界にとって人気キャラとのコラボはすでに欠かせないプロモーション戦略となっている一方で、多くの企業が参入したことにより、シルエットクイズに代表される手法が、Xではすでに“日常化”しているのも現実です。そのため、遠からずXユーザー(消費者)の“飽き”が来ることも懸念されます。

現に、シルエットクイズを多用している企業に対して「意味不明なシルエットクイズ、鼻につくつまらなさがある」 「無理のあるシルエットクイズ、本当にもういいです」と不満を漏らす投稿もすでに散見されています。

消費者が「陳腐化した」と捉える戦略を採用し続けることは、企業イメージの低下にもつながりかねません。

こうした状況に企業は今後どう対応していくのか。単にシルエットを公開するだけでなく、“匂わせ”を段階化・多層化する、クイズ正解者への限定特典を設けるなど、さらなる深化が起こりうるかもしれません。

シルエットクイズに代表されるインタラクティブな戦略は、企業のプロモーション活動においてファンとの関係性を強化し、「広告を消費してもらう」から「情報を共有・拡散してもらう」へとユーザー体験を変える、重要な役割を担っています。その手法そのものが今後なくなることは考えにくく、今後も進化を続けることが予想されます。

(山嵐冬子)

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