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【望海風斗の『エリザベート』】自身も「ルキーニやトート役しか浮かばなかった」という望海風斗さんの華麗なる「シシィ」役との闘い!【前編】

  • 2025.10.9

まだ記憶に新しい初めてのストレートプレイへの挑戦、そして映像作品への出演……。宝塚歌劇団を退団後、ミュージカル界を席巻してきた望海風斗さんが、満を持して『エリザベート』へ出演されます。役柄はタイトルロールでもある、「シシィ」(編集部注:エリザベートの愛称)。キャスト発表があってからは話題騒然!

VOCEではこのダブルキャストのお二人にお話を伺い、それぞれの『エリザベート』という作品、そしてシシィへの想いをインタビュー。前編では、花組時代に「ルキーニ」を、退団後のガラ・コンサートで「トート」に挑まれた望海さんに『エリザベート』という作品、そして「シシィ」という役についてどんな想いを抱えているのかについて、お聞きしました!

自分が出していくシシィ像がどんなものになるのか、自分でも楽しみ

宝塚 雪組 望海風斗

——ファンの方々が待ちかねていた『エリザベート』、しかもタイトルロール「シシィ」役でのご出演です! お役が決まったときのお気持ちを教えてください。

「エリザベート」の役ができるかもしれないと聞いたときはやっぱり驚きました。とても好きな作品ですが、宝塚では「ルキーニ」をやらせていただき、ガラ・コンサートでは「トート」にも挑戦できたので、自分の中での選択肢は「トート」や「ルキーニ」だったんで(笑) まさか自分が「エリザベート」の役でこの作品に関われるとは1ミリも思っていなかったんです。ですから、本当に信じられなくて。

——男役を離れても、そう思われていたんですね!

そうなんです(笑) 「私はエリザベートではないだろうな」という感覚がどこかにあったので、「できるかもしれない」というチャンスを下さったことに驚きと不安が大きかったのですが、でもせっかくチャンスをいただけたなら「やりたい!」という気持ちがフツフツと湧いてきました。

——「うれしかった!」ですか?

「うれしい」ももちろんありましたけど、どういうふうに自分がシシィになっていくのかが本当に想像がつかない、というのが正直なところでした。

——望海さんはいつも周りの期待を超えていく感じがあって、前回のストレートプレイ『マスタークラス』のときも素晴らしくて……。私たちも今回のシシィ役には期待が大きいです!

ありがとうございます! でもやっぱり想像がつかない役ですね。この人がやったらどうなるんだろうっていうのはきっと皆さん想像されると思うのですが……、多分、私に関しては想像がつかないだろうと思うのは、最初の若いときから『私だけに』を歌うまでの、あの期間(笑)

——想像がつかないというか、どんな感じになるんだろうってワクワクします!

私自身も想像がつかないんです。でも、『マスタークラス』のマリア・カラス役も想像がつかないなかで、模索しながら見つけていくのがすごく楽しかったんです。お芝居をするうえで一番楽しいことって、そこだと思うんですよね。

——役を模索していくときが一番楽しいというのは、望海さんらしい気がします。

「あ、私の中でこの役が見つかったな」という瞬間を見つけるために稽古をしていくようなものなので、その稽古ができるのは私もうれしいですし、それを経て初日を迎えて、お客様に何かをお見せできるのもうれしい。観ていてワクワクするようなものをお見せできたらいいなぁというのを目標に掲げていますが、やっぱりシシィは……それぞれのお客様にとっての“親シシィ”がたくさんいらっしゃるんですよね。

——そうですね。たくさんの先輩方が“シシィ”というお役をやっていらっしゃいます。

私もいろんな方のシシィを観てきているので、皆さんがされてきたことを実際に自分がお稽古でやったら、「これをやってきたのか、諸先輩方は!」と感じるだろうと思うんです。そういうものを辿ったうえで、自分の“らしさ”というか、自分が生み出すシシィ像がどんなものになるのかは私自身も楽しみにしたいと思っています。

シシィは自分と対話してきた人なのかなと。

宝塚 雪組 望海風斗

——望海さんにとって『エリザベート』という作品やシシィというお役はどんな存在ですか?

今までは観てきたほうが多いので、そのときの年齢によって印象がすごく違うんです。最初、自分が10代のときは「なんて身勝手な!」と思っていました。どちらかというとフランツ寄りの気持ちで観ていたので、「なんであんなふうなのだろう」と思いましたね。

——なるほど。確かに気持ちを重ねるキャラクターによって印象は変わりそうです。

そうなんです。段々、自分も年齢を重ねていくと、彼女の孤独だったり、彼女に対して同情してしまう部分があったり……。大人になっていくにつれて分かることがあると思います。

——そうですね。10代ではシシィが抱えていた嫁姑問題なんかも理解できないですよね。

はい。そして、さらにシシィが自分の中で大切にしている“芯”が、“自由に生きたい”というもの。そんな人が自分らしくいられない場所に行ってしまったわけです。そこで、どう自分が生きていくか、生きる道を見つけていくか。女性としてすごくカッコいいと思う部分もありますし、憧れとは少し違いますが、“生かされていく”のではなく、“生きていく”理由を見つけていくのは今の時代、刺激を受ける存在だと思うんです。

——いくつもの悩みを抱えながらも、生きようとする姿は確かにカッコいいと思います。

しかも、史実でそう生きてきた人なんですよね。ハプスブルク家が栄光に包まれていたあの時代に生きて、戦ってきたというか、居場所を見つけてきた、探し続けてきた人ではあると思うので、その姿勢は今の時代でもカッコいいですよね。言葉が難しいけれど、今の時代だからこそ、より理解ができるかもしれないと思います。

——多くの宝塚のOGの方々がこのお役を演じていらっしゃいますが、望海さんは今回のシシィ役において、役作りで最も意識しているところはどこですか?

シシィは自分と対話してきた人なのかなと思うんです。『私だけに』という曲からも、自分自身がずっとまとわりついているというか……。私自身も自分というものをしっかり持ったうえで、“シシィ”という芯をずっと持ち続けたいというのはあります。

『パパみたいに』の自分が想像がつかない!

宝塚 雪組 望海風斗

——ファンの方々は望海さんの歌声も楽しみにされていると思いますが、ご自身は「これを歌うのが楽しみ!」という曲はどれでしょうか?

私が一番楽しみなのは最初の歌『パパみたいに』です。もう、本当に楽しみで。後半になるにつれて、『私だけに』とか『夜のボート』など素敵な楽曲がたくさんありますけれど、でも私はやっぱり、最初が肝心だなと思うので(笑) 自分がどんなふうになるのか本当に想像がつかないナンバーなんです。歴代のシシィを観ていても、皆さんすっごい可愛くて。

——ファンの方々もとても楽しみだと思います!

私がその可愛さをなぞるのはもう無理なので(笑)、この曲を真っ先に歌わなくてはいけない中で、どうやって自分のシシィ像を見せられるかというのは、怖くもあり、ちょっと楽しみでもあります。作っていく過程としては、絶対にここを通らないといけないですからね。

——望海さんが『エリザベート』全体を通してお好きなのは、どの楽曲ですか?

『愛と死の輪舞』がやはり一番好きです。トートを一度やらせていただいたときに思ったのが、“死”という概念の中で、愛が芽生えてしまう戸惑いに気付く曲だということ。後半で歌うときには、どうしようもないもどかしさもあって……。だって、“愛”と“死”が輪舞しているんですよ!(笑)

——確かに(笑) 名曲中の名曲ですものね。

トートをやったときに、前奏だけで、心がすごく震えたんです。曲の前奏から感情が引っ張られていく感じがして、そこが素敵ですし、それこそミュージカルの醍醐味だと思うので、この曲がすごく好きですね。今回は歌わないんですけど(笑) でも、その歌に持っていく役ではあるので、楽しみです!

——今回はトート役の方々も豪華で……。特に89期生にとっては“お兄ちゃん”的存在の井上芳雄さんとは共演も多いですが、今回はどんなお気持ちですか?

前回の『エリザベート』のとき、芳雄さんのトートを観て、私、すごい感動したんです。ずっと上演されている作品だから私も「エリザベートはこういう作品だ」という思いで観ていたのですが、それを覆されたというか。芳雄さんのトートを通して、また新たな視点で『エリザベート』という作品を楽しめたんです。ご本人にもお伝えしましたが、だからこそ、その芳雄さんトートとご一緒できるとは思っていなかったので、わくわくします。

——『ガイズ&ドールズ』や『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』のときとはまた違ったお二人が観られそうですね。

『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』のときは一緒にスタートして、いろいろ探りながら作っていった楽しさがありました。でも今回はきっとすごい引力で引っ張られると思うので、そこに抗うのが楽しみです(笑)

——古川雄大さんや山崎育三郎さんのトートは、また芳雄さんとは違っていて、そこに生まれるケミストリーも楽しみです。

皆さんトート経験者でいらっしゃるので、私もある程度のところまで持っていった状態でお会いしないと。ずっとリードしていただくことになってしまうので、そこだけはしっかりやろうと思っています。でも、やってみないと分からない部分もあるので、経験者の皆さんに身を委ねる部分があっても良いのかなって(笑) 本当にありがたいですね。

『エリザベート』という作品、そしてシシィという役柄について、思いの丈をたっぷりと語ってくださった望海さん。共演者の方々も初めましての方が多いとのことで、どんなケミストリーが生まれるのか、期待が高まります! カッコよさと可愛さが同居してキラキラと眩しい望海さんの最新フォトにも注目を!

望海風斗さんの未公開カット!

宝塚 雪組 望海風斗
宝塚 雪組 望海風斗
宝塚 雪組 望海風斗
宝塚 雪組 望海風斗
宝塚 雪組 望海風斗

望海風斗(Futo Nozomi)
1983年10月19日生まれ、神奈川県横浜市出身。2003年に宝塚歌劇団入団、同年花組に配属。2017年から雪組トップスターに就任し、三拍子揃った実力の中でも、特に歌唱力に秀でた男役として活躍。『ファントム』『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』『fff-フォルティッシッシモ-』などの代表作で主演を演じる。2021年4月11日、宝塚歌劇団を退団。同年に行われたコンサートツアー『SPERO』では全国で5万人を動員するなど、その人気はとどまるところを知らない。退団後は破竹の勢いでミュージカル界を席巻する俳優のひとりとして活躍中。今年は初のアルバム『笑顔の場所』をリリースするなど、音楽活動にも意欲的だ。代表作は『next to normal』『ガイズ&ドールズ』『イザボー』『ムーラン・ルージュ! ザ・ミュージカル』など。最近は映像ではテレビ朝日『誘拐の日』・NHK 大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』やストレートプレイ『マスタークラス』に出演するなど、活躍の場を広げている。

\Information/
ミュージカル『エリザベート』

望海風斗/明日海りお (ダブルキャスト)
古川雄大/井上芳雄/山崎育三郎 (トリプルキャスト)
田代万里生/佐藤隆紀 (ダブルキャスト)
伊藤あさひ/中桐聖弥 (ダブルキャスト)
未来優希
涼風真世/香寿たつき (ダブルキャスト)
尾上松也/黒羽麻璃央 (ダブルキャスト) 他

東京公演:2025年10月10日(金)〜11月29日(土) 東急シアターオーブ
北海道公演:2025年12月9日(火)~18日(木) 札幌文化芸術劇場 hitaru
大阪公演:2025年12月29日(月)~2026年1月10日(土) 梅田芸術劇場メインホール
福岡公演:2026年1月19日(月)~31日(土) 博多座

ピアス¥3850、リング¥3300 (共にヘンカ/ロード・03-6416-1995) その他/スタイリスト私物

撮影/楠本隆貴 ヘアメイク/yuto スタイリング/嶋岡隆、北村梓(Office Shimarl) 取材・文/前田美保

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