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30年前誕生→令和のSNS時代にも通じる“先取りソング” 日本中を笑顔で染めた“軽やかポップの衝撃”

  • 2025.11.15

「30年前、あのサビで一緒に踊ったの覚えてる?」

1995年。テレビも街も音楽も、どこか“元気”を取り戻そうとしていた頃。明るさや軽快さが求められていた時代に、LINDBERGはまさにその空気を軽やかに乗りこなしていた。

LINDBERG『もっと愛しあいましょ』(作詞:渡瀬マキ・作曲:川添智久)――1995年11月1日発売

90年代半ばの音楽シーンを象徴するような、前向きで等身大の恋のポップソング。この曲は、リスナーの日常をちょっとだけ楽しくしてくれる魔法のような存在だった。

笑顔とテンポが連動する、あの瞬間

『もっと愛しあいましょ』の特徴は、まずそのリズム感にある。Aメロでは、渡瀬マキが言葉を軽やかに転がすように歌う。まるで会話をそのままメロディに乗せたような“しゃべるリズム”は、当時としては斬新だった。

その早口のフレーズは、今のアイドルソングにもよく見られるスタイル。まさにJ-POPが多様化していく過渡期に生まれた“ポップ・ラップ”の萌芽のような構成だった。

サビでは一転して、メロディが大きく跳ねる。キャッチーなフレーズとともに披露される、踊りやすい振り付けが印象的。ライブでは観客が一斉に踊り、「楽しいって、こんなに素直に表現していいんだ」と思わせてくれた瞬間だった。

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2009年、デビュー20周年記念日にLINDBERG復活ツアーより(C)SANKEI

LINDBERGという“時代の味方”

1989年のデビュー以来、LINDBERGは“女子のリアル”をポップに鳴らしてきた。『今すぐKiss Me』や『BELIEVE IN LOVE』など、恋も仕事も全力で楽しむ等身大の女性像を、ロックとポップの中間に置いて提示してきたバンドだ。その中心にいた渡瀬マキの明るい声は、強さよりも「前を向く勇気」そのものだった。

『もっと愛しあいましょ』が発売された1995年は、社会的にも人々の心に陰が差していた年。そんな時代にこの曲が放つ明るさは、“無邪気さ”ではなく“希望のエネルギー”だった。重苦しさを跳ね飛ばすようなサウンドが、多くの人の背中を押した。

コミカルさの裏にある“真剣なメッセージ”

歌詞には恋愛の日常を切り取ったコミカルな表現が散りばめられている。けれど、ただのおどけたラブソングではない。渡瀬マキ自身が作詞を手がけたことで、言葉のひとつひとつに生活のリアルな息づかいが感じられる。「愛しあう」ことを照れずに口にできる明るさこそ、彼女たちが90年代に掲げたロックの形だったのだ。

作曲を担当したベースの川添智久によるポップなメロディも絶妙だ。ギターのカッティングが弾むリズムを作り、ドラムが曲全体を軽快にまとめあげる。シンプルながらバンドサウンドの輪郭がくっきりと立ち上がる構成は、LINDBERGならではの完成度を感じさせる。

“今”にも通じるエンタメ性

発売から16年後の2011年には、声優・歌手の野水いおりがこの曲をカバー。テレビアニメ『森田さんは無口。』の主題歌として再び注目を集めた。つまりこの曲は、世代を超えて“親しみやすいポップ”の象徴であり続けているということだ。

そして今、TikTokなどで音楽が振り付けやショート動画と結びつく時代。もし1995年当時にSNSがあったら、『もっと愛しあいましょ』はきっとバズっていたに違いない。サビのキャッチーさ、踊りやすい振り付け、そして明るく素直なメッセージ性。すべてが“令和のポップ”に通じる構造を持っている。

軽やかさは、時代を越える

LINDBERGは1990年代のJ-POPを語るうえで欠かせない存在だ。彼らが提示したのは、“重くない真剣さ”“笑顔で戦う強さ”だった。『もっと愛しあいましょ』は、そんな哲学を軽やかに鳴らした代表曲である。

30年経った今でも、イントロが流れるだけで心が少し浮き立つ。それは、“明るさ”がどんな時代にも必要なエネルギーだと知っているから。この曲のポップさは、単なる懐かしさではなく、“今を生きる私たち”へのエールとして鳴り続けているのだ。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。