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30年前、土曜の夜に流れた“安らぎのメロディ” “別れの歌”が40万ヒットしたワケ

  • 2025.11.14

1995年の秋。日本中がバブルの喧騒を遠くに見送り、新しい時代の空気に少し戸惑っていた頃。まだテレビが“家族の時間”だったあの時代、夜のリビングをそっと包んでいたのがこの曲だった。

FIELD OF VIEW『Last Good-bye』(作詞:坂井泉水・作曲:多々納好夫)――1995年11月13日発売

TBS系『世界ふしぎ発見!』のエンディングテーマとして放送され、毎週のようにお茶の間を穏やかな余韻で満たしていた。約40万枚を売り上げたこの曲は、日常の喧騒を離れ、どこか遠い国の風景に思いを馳せながら聴くには、これ以上ないほど“旅の終わり”にふさわしい曲だった。

異国の風を感じる“静けさのメロディ”

この曲が放たれた当時、FIELD OF VIEWは『君がいたから』『突然』と立て続けにヒットを飛ばしていた。その勢いの中でリリースされた『Last Good-bye』では、彼らのさらなる魅力を伝えてくれた。多々納好夫が手がけたメロディは、どこか海風のように爽やかで、遠くの景色を想像させる広がりを持っている。

キーボードの柔らかな音と、軽やかに刻まれるリズムが重なり、聴き手を静かに“夜の旅路”へ導いていく。そこに乗るのは、浅岡雄也のまっすぐで透明感のある声。心の奥にすっと届く素朴な温度があった。

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FIELD OF VIEW ボーカル 浅岡雄也 @WILD_CAT(画像は本人提供)

坂井泉水が描く“別れの優しさ”

作詞を担当したのは、ZARDの坂井泉水。彼女がFIELD OF VIEWに提供した詞には、ZARD作品にも通じる“語りすぎない情感”が漂っている。別れを描きながらも悲壮感はなく、むしろ「受け入れる強さ」が感じられる。坂井の詞は、具体的な情景を描かずとも聴く人それぞれの記憶を呼び起こす。

「Good-bye」という言葉の裏にある“感謝”や“再会への願い”を、あえて言葉にしないことで、余白が生まれる。その余白こそが、『Last Good-bye』というタイトルに込められた静かな希望を支えていたのだろう。

“週末の儀式”としての音楽

『世界ふしぎ発見!』の放送が終わり、エンディングでこの曲が流れると、週末の夜がふっと静まった。派手なニュースやバラエティとは違う、どこか知的で穏やかな時間。その空気を締めくくるように流れる『Last Good-bye』は、まるで“土曜の夜の灯り”だった。

番組の内容が世界の遺跡や文化を紹介するものだったこともあり、この曲の“旅情感”と見事に響き合っていた。どこか遠い土地の風景、未知の歴史、そして帰路につく静けさ――それらが一枚の絵のように重なって、聴くたびに「また来週も、この時間に」という安心感をくれた。

派手さよりも、記憶に残る“穏やかさ”

FIELD OF VIEWの楽曲は、どれも清潔で真っすぐだ。『Last Good-bye』もまた、そんな彼ららしさが最も純度高く表れた一曲だった。坂井泉水が紡ぐ詞、多々納好夫のメロディ、浅岡雄也の声。その三つが絶妙なバランスで交わり、音の粒ひとつひとつがまるで夜空の星のように輝いている

30年が経った今でも、『Last Good-bye』を聴くと、あの頃の夜の匂いがふと蘇る。リモコンを置き、テレビの光が部屋をやわらかく照らす。番組のロゴが消え、静かなメロディが流れる――その瞬間、家の中に流れ込んでいたのは、きっと“安らぎ”という名の時間だった。

音楽が時代を超えて残るのは、大きな感動だけが理由じゃない。日常の中に溶け込み、ふとした瞬間に寄り添ってくれた曲こそ、人の記憶に永く灯り続ける。『Last Good-bye』は、まさにそんな曲だ。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。

画像提供

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