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25年前、日本中が奮い立った“がんばれ”を言わないエールソング 時代を駆け抜けた“オリンピックテーマ”

  • 2025.11.6

「25年前、あなたはどんな曲に励まされた?」

2000年、テレビの中では、燃え上がる国旗と歓声。夜空を染めたシドニーの光の下で、世界中が息をのんでいた。オーストラリアで開催されたオリンピックは、ミレニアムの幕開けを象徴する大舞台だった。そんな時代の鼓動を、そのまま音に変えたような一曲がある。

福山雅治『HEY!』(作詞・作曲:福山雅治)――2000年10月12日発売

風を切るように、ギターが走り出す

サウンド全体で印象的に鳴るアコースティックギターは、まるで空気が一気に入れ替わるような爽快感がある。どこか乾いた音の粒が、希望をまっすぐに切り拓いていく。

編曲を手がけたのは佐橋佳幸。彼の手によるギターアレンジは、力強さと繊細さが絶妙に同居しており、“男らしさ”をただの勢いではなく“誠実さ”として響かせている。

当時すでに福山雅治は、俳優としても人気絶頂。だが音楽では、自らの言葉と音で“時代に立ち向かう”姿を模索していた。前作『桜坂』の大ヒットを経て、ここで放った『HEY!』は、彼の中のもうひとつのエネルギーを解放するような楽曲だった。

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1999年、ドラマ『パーフェクトラブ』制作発表に登場した福山雅治(C)SANKEI

“応援歌”で終わらない、リアルな熱

この曲は、テレビ朝日系「シドニーオリンピック」中継のテーマソングとして制作された。

だが、単なるスポーツ応援歌にはとどまらない。“がんばれ”という言葉の軽さを避け、生きることそのものを応援するようなまなざしが、この曲にはある。

アコギを軸に、バンドサウンドが重なっていく展開。聴くほどに、汗と風の匂いが混じるような生々しさが立ち上がる。“HEY!”という叫びに込められたのは、他人ではなく自分自身への呼びかけ。だからこそ、この曲は20年以上経った今も、日常の中でふと聴きたくなるのだ。

2000年という年の、晴れやかな余韻

CDがまだ主流で、ストリーミングという言葉すら遠かった時代。オリンピックという特別な空気とともに響いた『HEY!』は、人々の記憶に深く刻まれた。

それは単なるヒットソングではなく、「前へ進め」と静かに背中を押してくれた2000年の象徴だった。あの頃の興奮を思い出すたび、心の奥から再び“HEY!”と声を上げたくなる。

時代が変わっても、勇気をくれる言葉は変わらない。この曲が今も胸に残るのは、きっとそれが“人間のままの音楽”だからだ。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。