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70年前誕生→35年後、世界中を席巻した“静かな情熱ソング” 『世界的な名作』が蘇らせた“愛の旋律”

  • 2025.11.3

「35年前のあの日、あなたは誰とこの曲を聴いていた?」

1990年の秋。街のネオンはまだバブルの残り香を漂わせていたが、人々の心には少しずつ“現実”の影が忍び寄っていた。そんな季節に、ひとつの旋律が夜をやさしく包み込んだ。

ライチャス・ブラザーズ『アンチェインド・メロディ』(作詞:ハイ・ザレット・作曲:アレックス・ノース)

もともとは1955年の映画『アンチェインド』の主題歌として生まれた楽曲。トッド・ダンカンによるオリジナルは淡く儚い響きを持っていたが、65年にライチャス・ブラザーズがカバーしたことで新たな命を得た。そして時を経て、90年公開の映画『ゴースト/ニューヨークの幻』の主題歌として再び脚光を浴びる。まるで“時を越えて愛を繋ぐ”かのように、この歌は世界中でリバイバル・ヒットを記録した。

愛を包む“沈黙の旋律”

この曲の魅力は、何よりもその「静けさの中にある情熱」だ。穏やかなイントロから、まるで時間が止まったかのように音が流れ出す。余白を生かしたサウンドが、ボビー・ハットフィールドの声を一層際立たせる。

彼のボーカルは力強くも繊細で、高音に向かうたびに“想いが形を持つ瞬間”のような震えが生まれる。激しさではなく、抑えた熱。言葉ではなく、息づかいで語る――それがこの曲の真のドラマだ。

言葉以上に多くを伝える。“愛とは、声よりも静かなもの”――映画の世界観にもつながるそんなメッセージを、誰もが無意識のうちに受け取っていたのだろう。

“ゴースト”が描いた永遠の愛

1990年公開の映画『ゴースト/ニューヨークの幻』。主演はパトリック・スウェイジとデミ・ムーア。恋人を失った女性と、霊となって彼女を見守る男性の愛を描いた作品だ。映画の名シーン――ろくろを回す二人の手元に流れる『アンチェインド・メロディ』。その瞬間、音楽と映像が完璧に溶け合い、映画の描く愛の物語が観客の心に刻まれた。

この映画の大ヒットによって、ライチャス・ブラザーズ版は再びチャートを駆け上がる。

日本でも35年前の1990年10月16日にCDシングルとしてリリースされ、クォーターミリオン(25万枚超)のセールスを記録した。時代が移り変わっても、この曲が放つロマンティシズムは失われなかった。煌びやかさよりも、優しさを。派手な愛よりも、深い絆を――人々はこの曲に“安らぎ”と“永遠”を見出したのだ。

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1996年、映画『スカーレット・レター&Dearフレンズ』で来日したデミ・ムーア(C)SANKEI

言葉を超えた“愛の証”

半世紀以上を経ても、この歌は消えることがない。その理由は、誰もが自分の記憶の中に“別れ”や“再会”の瞬間を持っているからだろう。歌詞の意味を知らなくても、メロディがすべてを語る。ボビーの伸びやかな声が、愛する人の面影をやさしく呼び覚ます。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。