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40年前、日本中が胸を焦がした“切ないけど”明るいポップ “心の揺れ”を見事に表現した伝説的ボーカル

  • 2025.11.2

「40年前、放課後のチャイムが鳴ったあと、君は何をしていた?」

夕暮れのグラウンド、夕闇に包まれていくグラウンド。友達と笑い合いながらも、心のどこかでは“届かない想い”を抱えていた。そんな青春の一瞬を、音楽で閉じ込めたような曲があった。

岩崎良美『愛がひとりぼっち』(作詞:康珍化・作曲:芹澤廣明)――1985年10月16日発売

フジテレビ系アニメ『タッチ』第2期オープニングテーマとして放送され、日本中の心に深く刻まれた名曲である。

あの頃の「タッチ」が描いた青春の風景

1980年代半ば、アニメ『タッチ』は単なるスポーツアニメではなく、恋と夢、そして成長の痛みを描いた“青春の代名詞”だった。

第1期の主題歌『タッチ』(作詞:康珍化・作曲:芹澤廣明)に続き、第2期の幕開けを飾ったのが『愛がひとりぼっち』。同じく岩崎良美が歌い、聴く人の胸にやわらかい風を吹かせた。

作詞の康珍化と作曲の芹澤廣明――この名コンビによる世界観は、前作よりも少し静かで、少し大人びたトーンを持っている。

軽やかなポップスの中に、どこか空気が澄んだような哀しさが漂い、それがまさに作品の物語の深まりと重なっていた。

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1985年、第27回日本レコード大賞で金賞・受賞の岩崎良美 (C)SANKEI

“前へ進む”ということを教えてくれた歌

『愛がひとりぼっち』が放送された第2期では、登場人物たちがそれぞれの想いを抱えながら、新しい季節を迎える。

その始まりに流れるこの曲は、「終わり」と「始まり」の狭間にある心の動きをやさしく包み込んでいた。

イントロに流れる軽快なギターとシンセの響き。どこか風が抜けるような透明感を持ちながら、胸の奥に残る切なさをにじませる。

そして岩崎良美の澄んだ歌声が、まるで“あの頃の記憶”をすくい上げるように響いていく。

明るいのに、なぜか胸が締めつけられる――そんな矛盾した感情を、この曲は見事に表現しているのだ。

音楽が描いた“タッチ”の心

『タッチ』シリーズの音楽を支えたのは、作詞・康珍化と作曲・芹澤廣明の黄金コンビ。

彼らが手がけた数々の主題歌には、登場人物の感情の変化や、青春の温度が見事に映し出されていた。その中でも『愛がひとりぼっち』は、物語の核心にそっと寄り添うような静けさを持っている。

アイドルソング全盛の時代にあっても、この曲は“派手さ”よりも“真実の感情”を優先していた。それが当時のリスナーの心にも深く響いたのだろう。

今も鳴り続ける“青春の残響”

あれから40年。今でもこの曲を耳にすると、あの時代の空気がふっと蘇る。部活帰りのグラウンド、夕焼け、すれ違う想い。誰もが心のどこかで覚えている“青春の1ページ”が、音の中に息づいている。

『愛がひとりぼっち』は、アニメの主題歌という枠を超えて、青春そのものの記憶を抱いた楽曲だ。失われた時間の中にも、たしかに残る温もり――それを教えてくれる、永遠のメロディである。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。