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25年前、40万枚超の“真面目にふざける”ラジオポップ “恋愛相談を歌にした”ポカリスエットCMソング

  • 2025.10.30

「25年前の夏、どんな音楽が街を包んでいたか覚えてる?」

2000年。新世紀を目前に、街には“希望”と“浮かれたような高揚”が混ざっていた。CDショップの棚にはカラフルなジャケットが並び、どのラジオからも明るいサウンドが鳴っていた。そんな夏の中心で、ひときわ異彩を放ったのがこの曲だった。

ポルノグラフィティ『ミュージック・アワー』(作詞:ハルイチ・作曲:ak.homma)――2000年7月12日発売

彼らにとって3枚目のシングルであり、大塚製薬「ポカリスエット」のCMソングとして起用されたこの曲は、ロングセールスを記録し、累計で40万枚以上を売り上げた。 だが、数字以上に印象的だったのは、“楽しさを全力で表現する”その姿勢だった。

ラジオの空気をそのまま閉じ込めた一曲

リリース当時のポルノグラフィティは、デビュー間もない新星バンド。デビュー曲『アポロ』でブレイクし、2枚目『ヒトリノ夜』で勢いをつけた直後だった。

3枚目となる『ミュージック・アワー』は、「ラジオ番組」をモチーフにしたユニークな構成で注目を集めた。DJの英語ナレーションで始まり、まるで深夜番組に投稿された恋愛相談がそのまま歌になるような仕立て。

“曲が進むほどにテンションが上がる”構成は、2000年代初頭のポップスの中でも異彩を放っていた。イントロから鳴り響くギターサウンドと、軽やかに跳ねるリズム。ハルイチの歌詞が、恋する人々の心を明るく照らす。

どこか照れくさいのに、思わず口ずさんでしまう――そんな空気を作り出したのが、この曲の最大の魅力だった。

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2015年、TOKYO FM「SATURDAY MUSIC LAB.」に出演したポルノグラフィティ(C)SANKEI

“変な踊り”が作ったライブの一体感

もうひとつ忘れられないのが、ファンの間で定番となった“変な踊り”。曲に合わせて手を上下左右に振るその動きは、ライブ会場の風物詩に。観客が一斉に体を揺らし、メンバーと同じリズムを刻む光景は、まさに「音楽でひとつになる瞬間」を象徴していた。

それは、派手な演出よりも“素直に楽しむ”ことを大切にするポルノグラフィティらしさの表れでもある。曲のテーマが「音楽を通じて誰かに想いを届ける」というラジオ形式だったことを考えると、ステージ上と客席のやりとりこそが、この曲の完成形だったのかもしれない。

“ポップ”という名の哲学

2000年という時代は、ミリオンヒットを狙う大作志向の中にありながら、若い世代の中では「軽やかで楽しい曲」が再評価され始めた時期でもあった。その中で『ミュージック・アワー』は、“真面目にふざける”という新しいポップの形を提示した。

ak.hommaこと本間昭光による洗練されたメロディとアレンジは、軽快なのに奥行きがある。浮ついた印象を与えないのは、彼らの演奏力と音楽的センスがしっかりと支えていたからだ。

さらに、作詞を手がけたハルイチの言葉選びも巧みだ。コミカルな語り口の中に、ふと共感を呼ぶような“青春の瞬間”が潜んでいる。そのさじ加減が、笑って聴けるのに心に残るという絶妙なバランスを生み出した。

2000年の夏を象徴した“自由”の音

ポカリスエットのCMでは、青い空の下を駆け抜ける映像とともにこの曲が流れていた。当時、まだ「ネットの時代」よりも「ラジオの時代」の温かさが残っていた時代。

リクエストを送るリスナー、真夜中の番組を聴きながら眠る学生、そんな光景の中でこの曲は生まれ、聴く人それぞれの“夏の記憶”に溶け込んでいった。

25年経った今でも、ライブでイントロが流れると会場が一気に沸く。世代を超えて笑顔がつながる瞬間。『ミュージック・アワー』は、音楽そのものが人をつなぐ力を持つことを証明した曲だった。

あの夏の空気、あの笑い声。すべてがこの曲の中で、今も鳴り続けている。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。