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35年前、チャートに君臨した“静かな衝撃を放つ”儚いバラード バラエティ発アイドルの“一線を画した名曲”

  • 2025.10.30

「35年前の冬、あなたは誰と過ごしていた?」

街のツリーに明かりが灯り、冷たい空気が頬を撫でる。まだ“平成”という響きが新しかった1990年の冬、ラジオから流れてきた一曲が、静かに季節を包んでいった。

ribbon『Virgin Snow』(作詞:白峰美津子・作曲:松浦有希)――1990年11月14日発売

それは、3人の少女たちが見せた“静けさの表情”だった。

白い息の向こうで、少女たちは少し大人になった

永作博美、松野有里巳、佐藤愛子の3人によるアイドルユニット・ribbon。フジテレビ系バラエティ『パラダイスGoGo!!』から生まれた乙女塾出身のグループで、同門にはCoCoやQlairといったアイドルユニットも誕生している。

デビュー以来、彼女たちは明るいアップテンポの楽曲で、10代らしい眩しさを放ってきた。しかし、この『Virgin Snow』で見せたのは、そんな“ハジけるribbon”とは違う表情だった。

リズムは軽やかに刻まれながらも、メロディはゆるやかに流れていく。まるで冬の夜の静けさに、そっと鼓動だけが響いているようなバラードスタイルだ。テンポに頼らず、3人の歌声が“間”と“余韻”で情景を描いていく。少女たちはここで「切なさ」を歌い、聴く者の心に静かな衝撃を与えたのだ。

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1989年12月、東京・上野恩賜公園野外ステージで開かれたribbonデビューイベントより。左から佐藤愛子、松野有里巳、永作博美(C)SANKEI

“声”の魅力で聴かせる、冬の透明感

この曲では3人それぞれの声が、穏やかに溶け合っていくのが印象的だ。永作博美の澄んだボーカルを中心に、松野有里巳、佐藤愛子が寄り添うように重なり、曲全体に柔らかな余韻を残している。派手な展開はないが、メロディの一音一音が雪の結晶のように儚く、聴く者の胸に積もっていく。

作曲した松浦有希は繊細なコード進行と、温もりを含んだ旋律で、この曲の「淡さ」を見事に表現している。また、白峰美津子による歌詞は、誰もが感じたことのある“冬の胸の痛み”をすくい上げていた。

アイドルソングでありながら、そこには確かに“作品としての完成度”があった。

冬のアイドルソングに刻まれた“純白の一瞬”

1990年、アイドルブームがひと段落し、音楽シーンはバンドや実力派アーティストが主流になりつつあった。そんな“アイドル冬の時代”にあって、ribbonは乙女塾出身グループの中でも、「歌で伝えるアイドル」として静かに一線を画していたのだ。

『Virgin Snow』は、初登場で8位を記録するなど、静かながら確かな注目を集めた。その後もじわじわとチャートに残り続け、“冬のribbon”という新たなイメージを印象づけた一曲となった。ribbonを知るファンにとっては、“あの冬の空気”を思い出す象徴的な曲として今も語り継がれている。

真っ白な雪が春の光に溶けていくように――『Virgin Snow』は、儚くも確かな足跡を残した。

冬の街角でふと耳にするバラードが、胸の奥を静かに温める瞬間。そんな“感情の温度”を、ribbonの3人は35年前にすでに表現していたのかもしれない。あの頃、彼女たちが歌った“Virgin Snow”は、今も聴く者の心に、淡い光を落としている。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。