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「新築なのに車が出せない…」隣人の“常習駐車”に警察も動けず…私道の落とし穴にゾッ…【一級建築士は見た】

  • 2025.10.13
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出典元;photoAC(画像はイメージです)

「まさか“道路”でこんな悩みを抱えるとは思ってもいませんでした」
Cさん(30代・男性・夫婦+子供1人)は、2年前に念願の新築戸建てを建てました。
角地で日当たりも良く、駅にも徒歩圏内。家族4人の新生活に胸をふくらませていたCさんでしたが、入居してまもなく生活が一変しました。

「車を出そうとしても、前にいつも誰かの車が…」

「朝、出勤しようと車に乗ると、前の道路に隣の家の車が止まっています。最初は“たまたまかな”と思っていました。でも、それが毎日続きます…。」

Cさんの家の前の道は、幅員約4mの住宅が並ぶ静かな生活道路です。

一見すると普通の道路に見えますが、実は私道(42条2項道路)で、法律上は公道とは異なります。そのため、道路交通法の適用が限定されており、警察も駐車を取り締まることができません。

「警察に電話したら、“ここは私道扱いなので動けません”と言われました。不動産会社に相談しても、“私道(42条2項道路)のトラブルなので当事者間で話し合ってください”で終わりです。まさかマイホームの前の道を通れない日が来るとは思いませんでした。」

42条2項道路とは?

Cさんの家の前の道は建築基準法でいう42条2項道路という道路でした。道路の幅が4mに満たない場合でも、「将来4mに拡幅することを条件に建築を認める」という制度で、建築基準法上は“道路”とみなされています。

しかし、それはあくまで建築基準法の話であり、民法上は私有地であり、公道ではありません。そのため、通行や駐車のルールは曖昧で、所有者同士の合意に頼るしかないのが現状です。

「道路のように見えても、実際は誰かの土地」というのが、この制度の最大の落とし穴です。

Cさんの前面道路も、登記上は隣家の敷地の一部を通行に使用しており、Cさん自身はその土地の持ち分を持っていませんでした。

「つまり、私の車は“人の土地を通って出入りしている”状態でした。私道の所有者から『使わせてもらってる立場で文句を言うな』とまで言われてしまって……。」

一級建築士が見る原因――“私道に潜むリスク”

42条2項道路は、戦後の住宅地拡大とともに全国に広がった制度です。当時の土地所有者がそのまま名義を保持しているケースが多く、道路としての権利関係が整理されていません。そのため、通行や駐車、舗装の管理をめぐってトラブルが生じることがあります。

また、「42条2項道路は建築可能=安心」と思い込んで土地を購入してしまう人も少なくありません。

一級建築士の立場から見ると、次のようなリスクがあります。

  • 将来通行が制限される可能性がある
  • 道路の修繕や舗装が所有者負担になる
  • 緊急車両の通行に支障が出る
  • 近隣トラブルが起きても行政が介入できない

対策――“家を見る前に、まず道を見る”

このようなトラブルを防ぐためには、購入前に次の点を確認することが大切です。

  • 登記簿謄本で前面道路の所有者を確認する
  • 通行・掘削承諾書の有無を不動産会社に確認する
  • 役所の道路図で前面道路の種別が「42条2項道路」かチェックする
  • 現地で隣人の駐車状況や生活実態を確認する

「道路が4mあるか」ではなく、「その4mを誰が所有し、どう使っているか」を確認することが、後悔を防ぐ最大のポイントです。

“住める土地”より、“通れる土地”を選ぶ

Cさんは今も隣人との関係に気を遣いながら生活を続けています。
「家は気に入っています。でも、車を出すたびにため息が出ます。“通れない道路”なんて、想像もしていませんでした。」

どんなに立派な家を建てても、道路が使えなければ生活は成り立ちません。
購入前に確認すべきは、建物の性能や間取りだけではなく、「道路の権利と実態」です。

“住める土地”を選ぶ前に、“通れる土地”を選ぶこと。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者) 地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。