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タワマン購入も「月2万円だったのに…」10年後、40代夫婦を襲った“大誤算”「ローンよりもショックでした」【一級建築士は見た】

  • 2025.10.11
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※ChatGPTにて作成(イメージ)

「こんなはずじゃなかった」――Nさんの嘆き

「まさか、管理費がこんなに上がるなんて思ってもいませんでした。」
そう語るのは、都心のタワーマンションに暮らすNさん(40代・女性・夫婦+子ども2人)。
10年前に駅直結・眺望抜群のタワマンを購入し、夫婦で「一生ここで暮らそう」と心に決めたといいます。

購入当初の管理費と修繕積立金は、合わせて月2万円台。

「多少高くても、立地と資産価値を考えれば納得できる」と思っていました。

しかし先日、管理組合から届いた一通の通知が、暮らしを一変させました。

「来年度より、管理費および修繕積立金を月額3万円引き上げます」

「購入時の説明では“管理費は将来的に変わらない”と言われていました。なのに、10年で月3万円も上がるなんて…。正直、ローンよりもショックでした。」

見落としていた“豪華共用施設”の維持費

Nさんが暮らすマンションには、プール・ジム・ラウンジ・ゲストルームなど、多彩な共用施設がそろっています。当初は「ホテルのような暮らし」に心が躍ったものの、今ではそれらが“重荷”になっているといいます。

「結局、共用施設のほとんどは使っていません。子どもが小さい頃はプールも喜びましたが、今は誰も利用しません。それでも維持費は全戸で負担です。」

こうした共用施設は、マンションの“顔”である一方、維持・管理には膨大な費用がかかります。清掃・警備・設備点検に加え、コンシェルジュなどの人件費、電気代の高騰も重なり、管理組合の支出は年々増加。築10年を過ぎると、エレベーターや外壁、防災設備などの修繕も本格化します。

「豪華な設備ほど、維持にかかるコストも跳ね上がる。タワマンの“快適さ”は、将来的に家計を圧迫するリスクと隣り合わせです。」

「修繕積立金が足りない」――現実を突きつけられる住民たち

今回の値上げは、建物の老朽化だけが理由ではありません。全国的に、タワマンの管理費や修繕積立金の引き上げが相次いでいます。背景には、建築資材や人件費の高騰があり、想定よりも早いペースで修繕コストが膨らんでいるのです。

Nさんのマンションでも、当初の積立金設定は「月1万円台」。

しかし、実際に築10年を迎える頃には、「このままでは大規模修繕ができない」と専門家から指摘が入り、急遽値上げが決定。

「営業担当者には“将来も安心”と言われていたので、完全に油断していました。でも、販売時の“安心”はあくまで“売るための言葉”でした。」

一級建築士が見る「タワマン管理の盲点」

タワマンほど“長期維持の難しさ”を抱える建物はありません。その理由は、建物の規模と構造が複雑すぎることにあります。高層建築では、外壁補修だけでも足場を組めず、ゴンドラを使うため費用が数倍に跳ね上がります。さらに、プール・スパ・ラウンジといった設備は、専門業者による設備点検が必須。

また、住民の“価値観の違い”もトラブルの火種です。「資産価値を守るために共用施設を維持すべき」と考える層と、「使っていない施設のためにお金を払いたくない」と感じる層の対立。

「管理の在り方」が住民同士の関係にまで影響するのが、タワマンの難しさなのです。

「資産のはずが、負担に変わった」

値上げが決まってから、Nさんは家計の見直しを余儀なくされました。
「このまま維持費が上がり続けたら、ローンを払い終える前に家計がもたなくなりそうです。“資産になる家”のつもりが、今は“固定費のかかる賃貸”のような気分です。」

タワマンの価格は高く、売却すればある程度の資産価値が残ると思われがちです。

しかし、管理費・修繕積立金の高騰が続けば、買い手の負担も増え、将来的な資産価値を下げる要因にもなります。

手に入れることより、維持することのほうが難しい――それが“タワマン”なのです。

華やかな眺望の裏に潜む「維持の現実」

タワマンの魅力は、眺望・利便性・共用施設という“豪華さ”にあります。しかし、その豪華さを支える維持費は年々膨らみ、いずれ住民の家計を直撃します。管理費や修繕積立金は、購入時の金額だけで判断してはいけません。

「買った瞬間がゴールではなく、維持できるかどうかが本当のスタート。」

Nさんのような後悔を繰り返さないためにも、“華やかなタワマンの裏側”にある現実を、冷静に見つめることが大切なのです。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者) 地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。