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クラクションや危険な幅寄せ…もし『あおり運転』に遭遇したら?→法律のプロが教える、“正しい証拠の残し方”とは?

  • 2025.10.30
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

車間距離の不保持、執拗なクラクション、危険な幅寄せ……。悪質で危険な「あおり運転」は、時として重大な事故を引き起こす深刻な社会問題です。近年、ドライブレコーダーの普及により、その決定的瞬間が記録されるケースも増えました。

しかし、記録された映像は、果たしてそれだけで警察を動かし、加害者を逮捕するほどの力を持つのでしょうか。「証拠」として法的に意味のある映像とは、どのようなものでしょうか。

今回は、あおり運転の被害に遭った際に、泣き寝入りしないための「正しい証拠」の残し方と、その後の手続きについて、ベリーベスト法律事務所 齊田貴士 弁護士に解説していただきます。

ドライブレコーダー映像だけで逮捕は可能か?

まず最も気になる点として、ドライブレコーダーの映像だけを根拠に、警察が加害者を特定し、逮捕することは可能なのでしょうか。

齊田弁護士は「可能だと思います」と断言します。

ドライブレコーダーの映像は、客観的な状況証拠として極めて価値が高く、警察が捜査に着手し、加害者を検挙するための重要な足がかりとなるのです。

法的に「決定的な証拠」となる映像の条件

では、どのような映像であれば「決定的な証拠」として認められやすいのでしょうか。

齊田弁護士は、以下の要素が記録されていることが重要だと指摘します。

  • あおり運転の実行行為とその前後の一部始終
    単に車間距離が近いというだけでなく、執拗なクラクションやパッシング、幅寄せ、危険な追い越しといった一連の妨害行為が連続して記録されていることが重要です。行為の前後の状況が映っていることで、相手の一方的な悪質性を証明しやすくなります。
  • 加害車両を特定できる情報
    最も重要なのがナンバープレートです。車種や色、特徴的なステッカーなども、車両を特定するための有力な情報となります。映像が不鮮明でナンバーが読み取れない場合でも、諦めずに警察に相談することが大切です。

映像は編集や加工をせず、ありのままの状態で保存しておくことが、証拠としての信頼性を高める上で不可欠です。

被害に遭った際の正しい手順と証拠の残し方

実際にあおり運転に遭遇してしまった場合、パニックにならず、冷静に行動することが自身の安全と確実な証拠確保に繋がります。

  • 安全の確保を最優先
    何よりもまず、自身の安全を確保してください。サービスエリアやパーキングエリア、人通りの多いコンビニの駐車場など、すぐに停車できる安全な場所に避難しましょう。車を停めたら、相手が追ってきても車外には出ず、ドアをロックしましょう。

 

  • ためらわずに110番通報
    安全が確保できたら、すぐに警察に110番通報してください。同乗者がいる場合は、走行中に通報を依頼するのも有効です。通報の際は、現在地、被害状況、相手車両のナンバーや特徴などを落ち着いて伝えましょう。

 

  • 証拠映像の保護と提出
    警察の指示に従い、ドライブレコーダーの映像を提出します。一般的には、本体からSDカードなどの記録メディアを抜いて提出することになります。

ここで重要な点は、提出した映像は返却されないということ。提出前に映像をコピーして自身の手元にも証拠映像を残して置けるようにしましょう。このバックアップは、後の民事訴訟や保険会社とのやり取りでも重要な証拠となります。

「あおり運転」に科される厳しい罰則

2020年6月の道路交通法改正により、「あおり運転」は「妨害運転罪」として厳罰化されました。

罰則は非常に重く、決して許されない犯罪行為であることが明確に示されています。

通行妨害目的で交通の危険のおそれのある方法により違反をした場合
刑事処分:3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
行政処分:違反点数25点 免許取消し(欠格期間2年)
上記行為により、著しい危険(高速での停車等)を生じさせた場合
5年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金
違反点数35点 免許取消し(欠格期間3年)

一度の違反で即免許取消しとなる、極めて厳しい処分が科されます。

泣き寝入りせず、冷静な対処と証拠確保を

悪質なあおり運転は、重大事故に直結する極めて危険な犯罪です。

そして、ドライブレコーダーの映像は、その卑劣な行為を白日の下にさらし、加害者に然るべき罰を与えるための最も強力な武器となります。

もし被害に遭ってしまったら、決して挑発に乗ったり、恐怖に屈したりすることなく、まずは「安全な場所への避難」と「110番通報」を徹底してください。

そして、今回解説したポイントを押さえて「正しい証拠」を確保・提出することが、あなた自身を守り、悪質なドライバーを路上から排除する大きな一歩となるのです。


監修者名:ベリーベスト法律事務所 弁護士 齊田貴士

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神戸大学法科大学院卒業。 弁護士登録後、ベリーベスト法律事務所に入所。 離婚事件や労働事件等の一般民事から刑事事件、M&Aを含めた企業法務(中小企業法務含む。)、 税務事件など幅広い分野を扱う。その分かりやすく丁寧な解説からメディア出演多数。