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電車で“金属棒”にぶら下がる外国人 SNSの迷惑投稿に物議…「危険すぎる」「本当にやめてほしい」→日本の法で裁くことはできる?

  • 2025.10.21
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

電車のつり革や手すりの金属棒にぶら下がり、まるでジムのように懸垂を始める──。

このような迷惑行為がSNSで拡散され、「危険すぎる」「本当にやめてほしい」と強い批判を浴びています。他の乗客を危険にさらし、公共交通機関の備品を破損させる可能性もあるこの行為。

単なる「マナー違反」で済まされる問題なのでしょうか、それとも日本の法律で罪に問うことはできるのでしょうか。公共交通機関における危険・迷惑行為の法的責任について、じょうばん法律事務所 鬼沢健士 弁護士に詳しく解説していただきます。

迷惑行為を罰する法律の「壁」

多くの人が不快感や危険を感じるこの行為ですが、意外にも日本の法律で直接罰することは難しいのが現状です。

弁護士によると、金属棒にぶら下がる行為そのものは、法的な問題というよりは「車内マナー」の問題として扱われることが多く、直ちに犯罪にあたるケースは少ないといいます。

しかし、例外的に罪に問える可能性として、刑法234条に定められた「威力業務妨害罪」が挙げられます。例えば、ぶら下がるだけでなく激しく体を揺さぶるなどして、他の乗客に危険が及ぶ状況を作り出し、結果として電車の安全な運行を妨げる「おそれ」を生じさせた場合には、この罪が成立する可能性があります。

問われる可能性のある「威力業務妨害罪」とは?

では、その「威力業務妨害罪」とは、具体的にどのような犯罪なのでしょうか。

これは、暴行や脅迫に至らないまでも「人の意思を制圧するような勢力」を用いて、他人の業務を妨害する行為を罰するものです。

重要なのは、実際に電車が遅延したり、備品が壊れたりといった「結果」が発生しなくても、「業務を妨害するおそれのある行為」があっただけで成立しうる点です。

今回のケースで言えば、ぶら下がり行為によって多くの乗客が恐怖を感じ、誰かが緊急停止ボタンを押すようなパニック状況を作り出した場合などには、鉄道の運行業務を妨害するおそれがあったと判断され、罪に問われる可能性が出てきます。

備品を壊したら?「知らなかった」は通用しない

もし、ぶら下がったことで金属棒が曲がったり、破損したりした場合はどうなるのでしょうか。

この場合、故意に壊す意図がなかったとしても、不適切な使用方法で損壊させたことには変わりなく、鉄道会社から修理費用などを請求される「民事上」の賠償義務を負うことになります。

一方で、「器物損壊罪」という「刑事罰」を問うことは難しいでしょう。

この犯罪が成立するには「壊してやろう」という意図(故意)が必要ですが、パフォーマンス目的の行為にそこまでの意図はなかったと判断される可能性が高いためです。

また、行為者が外国人観光客であった場合でも、日本国内の行為である以上、日本の法律が等しく適用されます。「日本の法律やルールを知らなかった」という主張が、法的な言い訳として認められることは、現実的にはほぼありません。

遭遇してしまったら?乗客がとるべき最善の対応

では、もし車内でこのような行為に遭遇した場合、私たちはどう対応すべきでしょうか。

鬼沢弁護士は「直接注意することは、相手が逆上して暴力を振るわれるリスクもあり、避けた方が賢明」だと指摘します。車内の非常通報ボタンの使用も考えられますが、犯罪と断定しにくい行為のために電車を止めてしまうことへのためらいや、そもそも列車を一時的に止めても根本的な解決にはなりにくいという難しさがあります。

そのため、最も安全かつ効果的なのは、乗務員に知らせるか、通報機能のあるボタンを利用することです。警察に通報すれば迷惑行為をやめさせる効果は期待できますが、犯罪とまでは言い切れないグレーな行為であるため、警察も注意喚起にとどまる可能性が高いことは、頭に入れておく必要があるでしょう。


監修者名:鬼沢健士 弁護士

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茨城県取手市でじょうばん法律事務所所属。
できる限り着手金無料で、労働問題(不当解雇、未払残業代等)や詐欺被害救済に積極的に取り組んでいる。