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霊園での外国人の相次ぐ行動に物議→日本の法律ではどうなる?【弁護士が解説】

  • 2025.10.19
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

イスラム教徒の土葬をめぐる問題や、一部の外国人観光客による迷惑行為が、大きな波紋を広げています。

最近では、霊園に無断で遺体を埋葬したとされる事件や、墓石でふざける動画がSNSで拡散されました。

これらの行為は、単なるマナー違反では済まされず、日本の法律によって処罰される可能性があります。今回は、墓地や文化財をめぐる外国人との法的トラブルについて、じょうばん法律事務所 鬼沢健士 弁護士に詳しく解説していただきました。

無許可の埋葬に問われる「2つの罪」

まず、霊園や私有地など、墓地として許可されていない場所に無断で遺体を埋葬した場合、どのような罪に問われるのでしょうか。

日本では「墓地、埋葬等に関する法律」により、埋葬は許可された墓地で行わなければならないと定められています。

これに違反した場合、同法違反として「二万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」という刑事罰が科される可能性があります。さらに、この行為はより重い「死体遺棄罪」にあたる可能性も指摘されています。

死体遺棄罪は刑法190条に規定されている犯罪です。この罪は、「社会通念上、埋葬とは認められない方法で遺体を放棄すること」を罰するもので、成立した場合は3年以下の拘禁刑に処される可能性があります。

許可なく遺体を埋める行為は、たとえ故人を弔う意図があったとしても、法的には「遺棄」と見なされかねないのです。

「法律を知らなかった」は通用しない日本の司法

では、加害者が外国人であった場合、「日本の法律や慣習を知らなかった」「自国の文化や宗教では許される行為だ」といった弁明は、刑事裁判でどのように扱われるのでしょうか。

原則として、日本国内で起きた行為に対しては、国籍を問わず日本の法律が適用されます。そのため、「法律の存在を知らなかった」という主張が、犯罪の成立を免れる理由として認められることは基本的にありません。

例外的に、日本の法律の存在に気づくことが著しく困難であったなど、よほどの事情がない限りは処罰の対象となります。

自国の文化や宗教を理由とした主張も、量刑を決める際に情状酌量の事情としてわずかに考慮される可能性はゼロではありませんが、刑罰の重さに大きな影響を与えることはほとんどないでしょう。

すでに出国済み…罪を問うことの現実的な困難さ

加害者がすでに出国してしまった場合、日本の警察が捜査を行い、罪を問うことはできるのでしょうか。

結論から言うと、これは「極めて困難」です。日本が「犯人引渡条約」を締結しているのは、アメリカと韓国のみです。

もし加害者がこの2カ国に逃亡したのであれば、条約に基づいて身柄の引き渡しを求めることができます。しかし、それ以外の国にいる場合、引き渡しに応じるかは相手国の判断に委ねられ、交渉が成功しなければ日本の法廷で裁くことはできません。

また、刑事罰とは別に、墓地の原状回復費用などを民事訴訟で請求すること自体は可能ですが、相手が短期滞在の観光客であった場合、日本国内に資産がないことがほとんどのため、たとえ勝訴しても損害賠償を現実に回収することは不可能に近いと言わざるを得ません。

文化摩擦との向き合い方とは

こうした文化や宗教の違いから生じる摩擦を、私たちはどう乗り越えていけばよいのでしょうか。

これは、どちらか一方が完全に間違っていると断じることの難しい、根深い問題です。外国人側には彼らの文化的な背景があり、それを尊重してほしいという正当な権利主張の側面もあります。

そのため、日本のルールを一方的に説明しても、すぐには理解を得られないかもしれません。しかし、だからといって迷惑行為や法律違反を容認することはできません。

鬼沢弁護士は、対策として「日本の文化や法律では許されない行為であることを明確に伝え、それに従うようシンプルに求めることが、現実的な対応ではないか」と指摘します。相互理解への努力は続けつつも、守るべき社会のルールについては、毅然とした態度で臨むことが求められています。


監修者名:鬼沢健士 弁護士

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茨城県取手市でじょうばん法律事務所所属。
できる限り着手金無料で、労働問題(不当解雇、未払残業代等)や詐欺被害救済に積極的に取り組んでいる。