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「かなり際どい」「これを地上波で…」“あまりの生々しさ”に視聴者騒然…「NHKに敬意を表します」“挑戦的な姿勢”で魅せた名ドラマ

  • 2025.10.25

時を経てもなお、多くの人々の心に深く刻まれる名作たち。派手な話題や高視聴率に左右されず、それぞれ独自の世界観や物語の力で、観る者を引き込み、忘れられない感動や衝撃を与え続けています。本シリーズでは、そんな“語り継がれる名作”の中から、特に印象深い作品をピックアップ。

本記事では第5弾として、ドラマ『人間椅子』(NHK)をご紹介します。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です。
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます。

あらすじ

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第25回日本映画批評家大賞に出席した満島ひかり(C)SANKEI
  • 作品名(放送局):ドラマ『人間椅子』(NHK)
  • 放送日:2016年12月28日(NHK BSプレミアム) 
  • 主演:満島ひかり(女流作家・佳子役) 

人気女流作家・佳子(満島ひかり)のもとに、ある日「奥様…」と語りかける奇妙な手紙が届きます。その内容は、椅子職人の男が、人が座る肘掛け椅子の中に自ら潜み、座る女性の肉体の感触を楽しんでいたという衝撃的な告白でした。さらに驚くことに、その椅子はかつてホテルで使用され、現在は佳子の書斎に置かれているというのです。

身震いする佳子は、恐怖と好奇心が入り混じる複雑な心境に陥ります。やがて、さらにもう一通の手紙が届き、佳子の日常は次第に不穏な空気に包まれていきます。椅子の中に潜む異常な視線、差し迫る恐怖、そして自分が知らなかった秘密の存在――物語は静かに、しかし確実に不気味な展開を見せ、視聴者に緊張感と背筋の凍る体験を与えます。佳子はこの奇怪な事態にどう立ち向かうのか、そして椅子に秘められた真実とは何なのか。目が離せないサスペンスが、静かに幕を開けます。

見えない狂気が、静かにあなたを追い詰める

NHKドラマ『人間椅子』は、江戸川乱歩の短編小説を原作とした異色の朗読劇シリーズの一編として、2016年にBSプレミアムで放送されました。制作を手がけたのはNHKとテレコムスタッフ。演出は渋江修平が担当し、乱歩作品特有の“エログロ・ナンセンス”の世界観を、映像と音響で巧みに再構築しました。

この作品は、女流作家・佳子のもとに届いた奇怪な手紙を軸に展開される心理サスペンス。椅子の中に潜み、座る女性の肉体の感触を楽しむという男の告白が、佳子の心を揺さぶり、視聴者にも不穏な余韻を残します。映像化にあたっては、椅子の中の“感覚”をどう表現するかという難題に挑み、静謐でありながら官能的な映像美が高く評価されました。その生々しさにSNSでは「かなり際どい」「これを地上波で…」「NHKに敬意を表します」と驚きと称賛の声が見られました。

主演の満島ひかりは、佳子という複雑なキャラクターを繊細かつ妖艶に演じ、視聴者の想像力を刺激しました。彼女の表情や声のトーン、微細な動きに至るまで、乱歩の世界観を体現する演技は圧巻で、「朗読劇の枠を超えた快演」と称されました。その演技力はギャラクシー賞奨励賞の受賞にもつながり、文学と映像の融合が生んだ“怪奇の芸術”として、今なお語り継がれる作品となっています。

平凡な日常の裏に、誰も知らない恐怖が蠢く

NHKドラマ『人間椅子』における満島ひかりさんの演技は、視聴者の間で今なお語り継がれています。

江戸川乱歩の原作が持つ“妖しさ”や“倒錯的な美”は、映像化において非常に繊細なバランスが求められます。その中で満島さんは、少女的な純粋さと成熟した女性の感性を併せ持つ演技で、観る者の想像力を刺激しました。とりわけ、椅子の中に潜む男の告白に揺れる女流作家・佳子の心理を、表情や声のトーンで巧みに表現し、視聴者を物語の深淵へと引き込んでいきました。

「満島ひかりだからこそ成立した作品」「乱歩の世界を現代に蘇らせた快演」といった称賛の声も多く、文学と映像の融合が生んだ“怪奇の芸術”として、今なお高い評価を受けています。


※記事は執筆時点の情報です