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「どういう意味?」「ほんと鳥肌…」“ラスト10分”に物議を醸す…「邦画界の歴史に残る怪作」公開から19年、称賛止まない至高作

  • 2025.10.11

あなたの心に深く食い込み、視聴後も「一体どういうことだ?」と、つい答えを探し求めしまう…それこそが結末が謎を呼ぶ傑作”の醍醐味です。最後の瞬間まで張り巡らされた伏線、考察の余地を残す多義的な結末は、受け手の数だけ真実を生み出します。今回は、物語の余韻を楽しみ、友人と熱く語り合えるような、あなたの考察力を試す珠玉の作品を集めました。本記事では、第1弾として映画『ゆれる』(シネカノン)をご紹介します。静かな兄弟の物語の中に、誰もが心の奥で感じたことのある痛みや赦しの葛藤が描かれています。観終わったあと、あなたの心もきっと――“ゆれる”。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です。
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます。

あらすじ

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真木よう子(2006年頃撮影)(C)SANKEI
  • 作品名(配給):映画『ゆれる』(シネカノン)
  • 公開日:2006年7月8日
  • 出演:オダギリジョー(早川猛)香川照之(早川稔)真木よう子(川端智恵子)

東京で写真家として自由な生活を送っている猛(オダギリジョー)は、母の一周忌をきっかけに久しぶりに故郷へ帰ります。家業のガソリンスタンドを継ぎ、父(伊武雅刀)を支える兄・稔(香川照之)は、変わらぬ穏やかな日々を送っていました。久々に再会した兄弟は、幼なじみの智恵子(真木よう子)とともに過ごすうち、どこかぎこちない空気が流れ始めます。やがて三人で訪れた思い出の渓谷で、智恵子が吊り橋から転落してしまいます。事故か、それとも事件なのか――。その場にいた稔が容疑者として逮捕され、裁判の中で兄弟それぞれの本心が少しずつ浮かび上がっていきます。

兄を信じきれない弟、弟を赦そうとする兄。表面的な優しさの裏に潜む嫉妬や罪悪感が、静かな緊張感とともに物語を包み込みます。

“ゆれる”のは吊り橋だけではなく、二人の心そのものなのです。

あの日、落ちたのは“彼女”だけじゃなかった

 映画『ゆれる』(2006年)は、西川美和監督が手がけた長編第2作であり、日本映画界に鮮烈な印象を残した作品です。前作『蛇イチゴ』で注目された西川監督が、本作で描いたのは「兄弟」「罪」「赦し」といった人間の根源的なテーマでした。ロケ地に選ばれたのは、山梨県の渓谷。自然光を活かした撮影が行われたことで、静寂と緊張感が共存する映像美が生まれています。大きな事件を派手に描くのではなく、人の“心の揺れ”を丁寧に映し出すことで、観客の心理を深く揺さぶる作品となりました。

中でも注目を集めたのが、幼なじみ・智恵子を演じた真木よう子さんの存在感です。当時まだ20代前半だった真木さんは、兄弟の間に立つ複雑な女性を繊細に演じ切り、わずかな表情の変化や視線の動きで感情の機微を見事に表現しました。SNSでは「ゆれるに出てるときが一番好き」「魅力的」と今もなお多くの視聴者の心に残っている様子です。

特に吊り橋でのシーンでは、彼女の演技が物語全体の緊張を決定づけたとも言われています。そのナチュラルでリアルな演技は、多くの観客や映画評論家から高い評価を受け、女優としての確かな地位を築くきっかけとなりました。

公開当時は大きな宣伝を行わなかったにもかかわらず、口コミを中心にじわじわと話題を呼び、社会現象的なヒットとなりました。観る者に“何が真実で、何が赦しなのか”を問いかける深い余韻――それこそが『ゆれる』が多くの映画ファンに愛され続ける理由と言えるでしょう。

兄弟の葛藤を描いた名作

 映画『ゆれる』は、兄弟の確執と赦し、そして“真実とは何か”を静かに問いかける傑作として、今も多くの人の心に深く刻まれています。
SNS上では、映画が終わる残り10分で魅せたシーンに「ラストを知っているのに初見と同じ衝撃だった」「どういう意味?」「最後の笑顔とんでもない」「笑顔が何とも言えない」「ほんと鳥肌…」といった声が続出。香川照之さんの“最後の笑み”に物議を醸していました。

タイトルの『ゆれる』は、単なる事故や事件の不安定さを表すだけでなく、兄弟の関係や弟の葛藤、愛と罪の間で揺れ動く心――観る者の心自身も“ゆれる”。意味がたくさんこめられた、秀逸なタイトルといえるでしょう。

吊り橋のシーンやラストの笑顔が示すように、物語全体を貫くテーマは「人の心の揺らぎ」です。15年以上経った今も色あせない西川美和監督の生み出す繊細な演出、オダギリジョーと香川照之の圧巻の演技が作り出す“静かな嵐”に、多くの観客が再び心を奪われています。「邦画の誇り」「邦画界の歴史に残る怪作」と語られるこの作品は、まさに日本映画史に残る怪作『ゆれる』です。


※記事は執筆時点の情報です