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「再放送は絶望的」「諦めてる」地上波で“封印状態”が続いた傑作…だけど「激アツ」“約25年ぶりの地上波放送”に称賛殺到の名ドラマ

  • 2025.11.7

ドラマの中には、名作と評価ながらも、さまざまな事情で再放送ができない作品があります。今回は、そんな中から"地上波放送が不可能と囁かれた名作ドラマ"を5本セレクトしました。本記事ではその第5弾として、ドラマ『イグアナの娘』(テレビ朝日系)をご紹介します。娘を愛せない母と、母に愛されたい娘――ファンタジーを通して母娘の愛憎を描いた本作の魅力とは――?

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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菅野美穂・女優(C)SANKEI
  • 作品名(放送局):ドラマ『イグアナの娘』(テレビ朝日系)
  • 放送期間:1996年4月15日~6月24日
  • 出演:菅野美穂(青島リカ 役)

ドラマ『イグアナの娘』(テレビ朝日系)は、1996年に放送された、母と娘の愛憎を描いたファンタジー・ヒューマンドラマです。物語は、青島家に一人娘のリカ(菅野美穂)が誕生する場面から始まります。しかし、母のゆりこ(故・川島なお美さん)の目には、リカが"イグアナ"の姿にしか見えませんでした。夫の正則(草刈正雄)には普通の人間の子に見えており、妻の異様な言動にただ戸惑うばかり。

絶望に沈んだゆりこは、幼いリカを殺して自分も死のうとしますが、正則に止められます。やがて次女のまみ(榎本加奈子さん:2007年芸能界引退)が生まれると、ゆりこはまみばかりをかわいがり、リカはますます孤立していきました。母を喜ばせたい一心で誕生日にスカーフを贈ったものの、「返してきなさい」と突き返され、傷ついたリカはついに家を飛び出して入水自殺をはかります。そのとき通りかかった岡崎昇(岡田義徳)に助けられ、一命を取りとめました。

時が流れ、リカは高校生に――。相変わらず自分に自信を持てずにいましたが、あの日自分を助けてくれた昇への想いを密かに募らせていました。恋敵の橋本かをり(小嶺麗奈)に辛く当たられながらも、親友の三上伸子(佐藤仁美)と友情を深め、学園生活の中で少しずつ明るさを取り戻していくリカ。やがて妹のまみも姉の気持ちを理解し始め、母の冷たい態度に疑問を抱くようになるのでした――。

一方で、母のゆりこ自身も、鏡の中に映る"カメレオンの姿"を目にするようになり、自らの心に潜む闇と向き合わざるを得なくなります。

最終回では、道路に飛び出した少女を救おうとしたゆりこが、帰らぬ人に…。亡骸を前にしたリカは、息をのむほどの衝撃を受けます。母の姿が――自分と同じイグアナの姿をしていたのです。やがて父・正則から、若い頃にガラパゴス諸島で一匹のイグアナを助けたことを聞かされます。そのイグアナこそ、ゆりこ本人だったのです。助けられたゆりこは正則に恋をし、魔法使いに願ってイグアナだった記憶を失う代わりに、人間の姿を手に入れます。リカがイグアナに見えていたのは、自分の本当の姿が露見することへの無意識の恐怖が原因だったのです。

真実を知ったリカは、母の心の痛みが少しでも和らぐよう願いを込めて、遺骨を海にまきます。その日以来、鏡に映るイグアナの姿を見ることは二度とありませんでした――。

“母娘の断絶”を幻想で描いた異色のヒューマンドラマ

『イグアナの娘』は、1996年にテレビ朝日系の「月曜ドラマ・イン」枠で放送された全11話の連続ドラマです。原作は萩尾望都さんによる同名の短編漫画で、脚本は岡田惠和さんが担当しました。わずか50ページほどの原作をもとに、母と娘の愛憎を描いた意欲作です。

主演の菅野美穂さんは当時18歳。リカ役を繊細かつリアルに演じ、その演技は彼女の出世作として高く評価されました。母・ゆりこ役の川島なお美さんは、娘を愛せない母親という難役を熱演。また、榎本加奈子さん、小嶺麗奈さん、佐藤仁美さん、岡田義徳さんなど、当時の若手俳優たちが脇を固め、学園ドラマとしてのリアリティを支えています。

なかでも、主演の菅野美穂さんの演技は圧巻でした。放送当時から「可愛い」「清楚」「綺麗過ぎる」と評され、イグアナの幻影に怯えるリカの儚さを透明感のある表情で体現。「演技が完璧」「切なさに感動した」「泣かせる演技がすごい」と絶賛され、「私のヒロイン」「菅野美穂の最高傑作」との声が多く寄せられました。

毒親”という言葉がまだ一般的でなかった時代に、母と娘の確執を真正面から描いた本作。リカが自分をイグアナだと思い込むという異色の設定は、「ルッキズム」や「自己否定」「愛されない痛み」を象徴するモチーフとして、今なお語り継がれています。

若手女優の登竜門として知られた「月曜ドラマ・イン」枠の中でも、『イグアナの娘』は母娘関係や心の病、児童虐待といった社会的テーマに踏み込んだ異色作です。

愛せない母と愛されたい娘――再放送が難しいワケ

『イグアナの娘』の見どころは、母と娘という最も近い関係を、ファンタジーの要素を通して鋭く描いた点にあります。母・ゆりこの目には、娘リカの姿がイグアナにしか見えません。母からの愛情を得られず、娘が「自分はイグアナだ」と思い込んでしまう――その異様な設定は、母娘の心理的な断絶を可視化したものでした。脚本を手がけた岡田惠和さんは、原作者・萩尾望都さんが自身の実体験をもとに描いた原作の痛みをすくい上げ、家族が抱える“愛の不均衡”を丁寧に描いています。

母の冷たい言葉や態度に、「姉妹間の差別がすごい」「暗い気持ちになる」「トラウマになった」と感じた視聴者もいましたが、次第に明かされる母の苦悩やリカの成長には、「昔のドラマはすごい」「大号泣した」「今見ても全く色褪せていない」「とてつもない名作」「最高の実写化ドラマ」「10年に1度の傑作」といった称賛が寄せられています。

こうした深いテーマ性と強いインパクトを持つ作品である一方、『イグアナの娘』は長らく“地上波での再放送が難しい”と言われてきました。SNSでも「地上波じゃもう無理」「再放送は絶望的」「諦めてる」などの声が見られました。その背景には、橋本かをり役の小嶺麗奈さんの逮捕や、妹・まみ役の榎本加奈子さんの芸能界引退に加え、母が娘を「イグアナ」と呼び拒絶する描写が児童虐待を想起させる点など、複数の要因があると考えられています

とはいえ、『イグアナの娘』が完全に封印されたわけではありません。2011年にはスカパー!のCS放送「チャンネルNECO」で約15年ぶりの再放送が実現しました。さらに2021年にはテレビ神奈川(tvk)で約25年ぶりに放送され、長年“地上波では放送できない”とされた作品の復活に、「激アツ」という声が寄せられ、多くの視聴者が驚きと感動を覚えました。

『イグアナの娘』は、「毒親」や「児童虐待」といった言葉がまだ一般的でなかった時代に、母娘の確執を真正面から描いた先駆的な作品です。最終回で、菅野美穂さん演じるリカが川島なお美さん演じるゆりこの遺骨を海にまく場面は、愛と赦しの物語として深く心に沁みます。

家庭という閉ざされた空間で生まれる痛みと和解を描いた本作は、今後も“地上波での再放送が難しい名作”として語り継がれていくことでしょう。


※記事は執筆時点の情報です