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「再放送は絶対無理」「よく放送できたな…」“規格外の過激さ”に絶句…だけど「二度と作れない」“圧巻の作品力”で魅せた伝説ドラマ

  • 2025.11.6

ドラマの中には、名作と評価ながらも、さまざまな事情で再放送ができない作品があります。今回は、そんな中から"地上波放送が不可能と囁かれる名作ドラマ"を5本セレクトしました。本記事ではその第4弾として、ドラマ『あとは寝るだけ』(テレビ朝日系)をご紹介します。戦後の下町を舞台に、欲望と因縁が渦巻く一家をコメディタッチで描いた、幻の名作ドラマとは――?

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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第67回ブルーリボン賞授賞式 小泉今日子(C)SANKEI
  • 作品名(放送局):ドラマ『あとは寝るだけ』(テレビ朝日系)
  • 放送期間:1983年4月14日 - 1983年7月7日
  • 出演: 三木のり平(小早川英三郎 役)

舞台は、東京の下町にある質屋「上州屋」。主人の英三郎(故・三木のり平さん)は戦後の成金で、冷酷かつ強欲な男として従業員たちから恐れられていました。息子の洋次(堺正章)はそんな父に反発して家を飛び出しますが、やがて落ちぶれ、妻の小雪(樋口可南子)と共に美人局で生計を立てるようになります。困るたびに実家へ戻っては、また家を出るという生活を繰り返していました。

店では、妾の子である貫一(柄本明)、死刑囚の妻・およね(故・三戸部スエさん)、借金苦の末に父を自殺で亡くした美也(戸川純)、そして中国残留孤児の留作(石井愃一)など、さまざまな事情を抱えた従業員たちが共に暮らしています。彼らは、理不尽な店主・英三郎に立ち向かうため、『北関東逆境会』という組織を結成するのでした。

そんな中、草津の芸者の娘・なつみ(小泉今日子)が現れます。彼女は対立する家族の間を取り持とうとしますが、やがて自分が英三郎の隠し子であるという衝撃の事実を知ることになります。やがて英三郎は死を迎えますが、幽霊となってなお家を支配し続けます。欲望と因縁が渦巻くこの家から、誰一人として逃れることはできないのでした――。

異才が集結――名優たちが創り上げた幻の群像劇

ドラマ『あとは寝るだけ』は、1983年4月14日から7月7日まで、テレビ朝日系列で放送された全13話のドラマです。

原案・脚本を手がけたのは松原敏春さんで、劇団東京ヴォードヴィルショーの舞台『いつか見た男達』をもとに制作されました。演出は久世光彦さん、音楽は都倉俊一さん、編曲は笹路正徳さんが担当しています。

番組タイトルは当初『メイッパイ落ちこぼれ』とされていましたが、放送前に当時コピーライターとして活躍していた糸井重里さんの提案で『あとは寝るだけ』へと変更されました。なお、糸井さんは後に出演者の樋口可南子さんと結婚しています。

また、本作は小泉今日子さんにとって初のドラマレギュラー出演作でもあります。前年に『峠の群像』で女優デビューしたばかりの小泉さんは、第3話から登場。撮影前夜は緊張のあまり一睡もできなかったというエピソードが残っています。

そんな小泉さんは、その可憐さと芯の強さで視聴者の心をつかみ、「演技が素晴らしい」「アイドルの枠を超えていた」といった称賛の声が寄せられました。初のレギュラー出演ながらも、確かな存在感を示していたことがうかがえます。

キャストにはそのほかにも、三木のり平さん、堺正章さん、樋口可南子さん、柄本明さん、戸川純さん、高田純次さん、そして故・寺田農さんなど、個性あふれる俳優陣が顔をそろえています。実力派たちによる異色の組み合わせが、作品全体に独特の深みと魅力を添えました。

「完全に再放送は無理」――人間の業をコメディでえぐり出す異色作

本作の見どころは、久世光彦さんが描き出す“家庭の狂気”にあります。舞台となる質屋「上州屋」には、妾の子や死刑囚の妻、中国残留孤児など、社会の周縁で生きる人々が身を寄せ合って暮らしていました。そこで描かれるのは、親子や男女の愛憎、金銭への執着、そして人間の弱さ。そのすべてをコメディタッチで容赦なくあぶり出していく――そこにこそ、本作ならではの魅力があります。

また、その挑戦的な作風ゆえに、SNSでは「再放送は絶対無理」「よく放送できたな…」「ヤバすぎる」などの声が見られます。家庭の闇や、性的・社会的に繊細なテーマが含まれているため、現在の放送基準では扱いづらいのかもしれません。

それでも、SNSには「ドラマの世界観に引き込まれた「二度と作れない」といった声が多く寄せられています。中には「人生で印象に残ったドラマ」「初めて“大人の世界”に触れた作品」と語る人も。「再放送してほしい幻の番組」と惜しむ声も少なくありません。

差別、憎悪、そして悲哀――人間の業が渦巻くドラマ『あとは寝るだけ』。血縁やお金に縛られた人々の滑稽さと欲望を真正面から描き出したこの作品は、これからも“地上波での再放送が難しい名作”として、長く人々の記憶に刻まれていくことでしょう。


※記事は執筆時点の情報です