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「地上波で放送出来るとは」「まさか令和に…」伝説作の“再放送”に視聴者騒然…「日本アニメ史上に残る傑作」熱狂を生んだ一作

  • 2025.11.4

アニメの中には、さまざまな事情から再放送や配信が叶わず、“幻の名作”と呼ばれる作品があります。今回は、そんな中から"地上波放送が不可能と囁かれた名作アニメ"を5本セレクトしました。本記事ではその第3弾として、アニメ『巨人の星』(読売テレビ系)をご紹介します。昭和の時代に誕生し、親子の絆と栄光への執念を描いたスポ根アニメの傑作とは――?

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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※Google Geminiにて作成(イメージ)
  • 作品名(放送局):アニメ『巨人の星』(読売テレビ系)
  • 放送期間:1968年3月30日~1971年9月18日(第1作)

星飛雄馬(古谷徹)は、幼い頃から父・星一徹(故・加藤精三さん)のもとで厳しい英才教育を受け、父が果たせなかった「巨人軍の明星になる」という夢を託されて育ちました。

過酷なトレーニングを乗り越え、青雲高校に入学した飛雄馬は、親友の伴宙太(故・八奈見乗児さん)とバッテリーを組み、甲子園を目指して全力を尽くします。やがて花形満(故・井上真樹夫さん)や左門豊作(故・兼本新吾さん)といった強敵たちとの激しい戦いを経て、ついに読売巨人軍へ入団。

プロの世界に入ってからも、飛雄馬の前には数々の試練が立ちはだかります。仲間との絆、そしてライバルとの死闘――。彼は勝利への執念と誇りを胸に、魔球・大リーグボールを生み出し、己の限界へ挑むのでした。試合を重ねるごとに体を酷使しながらも、飛雄馬はひたむきに戦い続けます。

最終回では、ライバルの花形満や姉の明子(故・白石冬美さん)らがスタンドで見守るなか、中日ドラゴンズ戦で完全試合に挑む飛雄馬。父の教えを胸に、最後の一球を投げ抜いた瞬間、左腕はついに限界を迎えます。マウンドに倒れた飛雄馬を父・一徹が背負い、夕日に向かって歩き去る姿に「完」の文字が重なり、物語は静かに幕を閉じるのでした――。

昭和を席巻した“スポ根アニメ”の金字塔

アニメ『巨人の星』は、1966年から『週刊少年マガジン』で連載された、故・梶原一騎さん原作/川崎のぼるさん作画の漫画をもとに、1968年3月30日から読売テレビ系で放送がスタートしました。

制作は東京ムービー(現・トムス・エンタテインメント)が担当し、全182話が約3年半にわたって放送され、高視聴率を記録し、まさに社会現象となった作品です。

当時、スポーツを題材にしたアニメはまだ少なく、『巨人の星』は“スポーツアニメの開拓者”と評されています。

SFやファンタジーが主流だったテレビアニメの中で、スポーツという現実的な題材を選び、少年の成長を数年単位で描いた「大河ドラマ型アニメ」は、まさに画期的。放送初期こそ視聴率が伸び悩みましたが、第20話を過ぎた頃から人気が急上昇。その後は常に高い支持を得ました。

音楽は故・渡辺岳夫さんが手がけ、主題歌『ゆけゆけ飛雄馬』は今なお語り継がれるアニメソングの名曲です。声の出演は、星飛雄馬役を古谷徹さん、星一徹役を加藤精三さん、星明子役を白石冬美さん、花形満役を井上真樹夫さん、伴宙太役を八奈見乗児さんが担当しています。

また、本作は音楽面でも注目され、劇中に登場するアイドルグループ「オーロラ三人娘」が歌う挿入歌『クールな恋』など、当時のポピュラーミュージックを取り入れた演出が話題を呼びました。

さらに、読売巨人軍の協力を得て実在の球団名を登場させるなど、リアリティとドラマ性を巧みに融合させた点も、人気の理由のひとつです。

その後、『新・巨人の星』(1977年)や『新・巨人の星Ⅱ』(1979年)へと続き、2002年にはスピンオフ作品『巨人の星【特別篇】猛虎 花形満』も制作されるなど、長年にわたってシリーズ展開が続いた国民的アニメとして知られています。

放送の大ヒットを受け、1969年からは東宝配給による映画版シリーズも制作されました。第1作『巨人の星』(1969年)では、飛雄馬と花形満の出会いや、伴宙太との最強バッテリー、そして甲子園を目指す姿が描かれています。続く『行け行け飛雄馬』『大リーグボール』『宿命の対決』では、甲子園での激闘から巨人軍入団後の宿命の対決までが描かれました。

いずれの作品も渡辺岳夫さんが音楽を担当し、テレビ版の主要キャストが続投。子どもから大人まで幅広い世代を魅了しました。1982年には、名エピソードの総集編『劇場版 巨人の星』も公開されています。

SNSでは「スポ根アニメの名作」として今も多くの人に愛され、「日本アニメ史上に残る傑作」との声も上がっています。「子どものころ大好きだった」「昭和のバイブル」と懐かしむ投稿も多く、時代を超えて今なお人々の記憶に残る傑作アニメです。

「まさか令和に…」再放送に驚きの声

アニメ『巨人の星』の見どころは、父と子のぶつかり合いにあります。星一徹の苛烈な指導は、息子に夢を託す愛情であると同時に、戦争を経験した世代に根強く残っていた“軍隊式教育”の象徴でもありました。飛雄馬はその厳しさを乗り越え、父を超える存在へと成長していきます。高度経済成長期を生きた人々にとって、この「努力と根性で頂点を目指す姿」は、まさに当時の日本社会の理想像と重なっていました。

一方で、現代ではその描写が“地上波で放送できない理由”とされています。父・星一徹が息子に厳しい特訓を課す場面は、当時は“熱血指導”として支持されましたが、今の価値観では家庭内暴力と受け取られることも――。

また、作中の一部セリフが現代のコンプライアンスの観点から差別的とみなされ、音声がカットされました。

とはいえ、こうした表現の見直しが進む中でも、『巨人の星』は世代を越えて愛され続けています。過去には、tvk(テレビ神奈川)が40年以上前に制作された映像を新たにリマスターし、ゴールデンタイムに放送したことで「地上波で放送出来るとは」「まさか令和に…」などSNSで話題となりました。

このように、『巨人の星』は昭和という時代を象徴する名作でありながら、時代とコンプライアンスの変化によって“地上波放送が不可能”と囁かれている作品です。しかし、父と子、努力と栄光、友情とライバル――そのすべてが交錯する物語は、単なるスポーツアニメの枠を超え、人間の生き方そのものを映し出しています。

半世紀を経た今もなお、昭和の魂を映すアニメとして、多くの人々に愛されている日本アニメの金字塔です。


※記事は執筆時点の情報です