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「開始5分で観るのやめた…」「現実離れしてる」初回放送から“離脱者”も…だけど「観続けてよかった」“秀逸な脚本”が光る名ドラマ

  • 2025.10.29

ドラマや映画の中には、丁寧な人間描写と深いテーマ性によって、多くの称賛を集めた作品があります。今回は、そんな中から"称賛相次ぐ名作"を5本セレクトしました。本記事ではその第4弾として、ドラマ『となりのナースエイド』(日本テレビ系)をご紹介します。患者と医師の間に立ち、誰よりも人の心に寄り添うナースエイドの姿を描いた本作。命と向き合う者たちの葛藤と再生の物語とは――?

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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撮影に応じる川栄李奈(C)SANKEI
  • 作品名(放送局):ドラマ『となりのナースエイド』(日本テレビ系)
  • 放送期間:2024年1月10日~3月13日
  • 出演:川栄李奈(桜庭澪 役)

星嶺医科大学附属病院の統合外科に配属された新人ナースエイド・桜庭澪(川栄李奈)は、誰よりも患者の心に寄り添うことを信条としていました。医療オタク気質で観察眼も鋭い澪は、患者のわずかな異変を見抜いては医師に指示を出すなど、しばしば問題を起こしてしまいます。やがて同僚から「モンスターナースエイド」と呼ばれるようになりますが、その的確な判断の裏には、外科医としての過去がありました。

かつて澪は、全身に同時多発的な悪性腫瘍が発生する難病「シムネス」に侵された姉・唯(成海璃子)の手術を担当しました。しかし、延命のための手術によって唯は思うように歩けなくなり、生きがいだった新聞記者の仕事を失ってしまいます。そしてその後、唯は帰らぬ人となってしまいました――。澪は「自分が姉を死に追いやった」と深い自責の念を抱き、それ以来、医療行為ができなくなってしまったのです。

そんな澪の前に現れたのが、天才外科医・竜崎大河(高杉真宙)です。技術を最優先する大河と、心に寄り添うことを重んじる澪は、考え方がまったく合わず、顔を合わせるたびに衝突。しかし、二人は次第に、「どんな形であっても患者を救いたい」という共通の信念を抱いていることに気づきはじめます。

一方、星嶺医大の教授・火神郁男(古田新太)は、がん細胞を攻撃する「火神細胞」を開発した人物として脚光を浴びていました。ところが、その細胞を最初に開発したのは澪の父・晃(和田聰宏)であり、火神はその研究を自らの功績として発表していたのです。その事実を知った姉の唯は、病を押して真相を追い続けていました。

やがて、姉の唯は自殺ではなく、火神によって命を奪われたことが明らかになります。そして火神自身もシムネスを患い、絶命…。

その後、予期せぬ現場で再び手術に臨むことになった澪は、PTSDを乗り越え、医師として復帰します。「許すとは前に進むこと」という大河の言葉に背中を押され、ナースエイドとして、そして外科医としての使命を胸に、新たな道を歩み出すのでした。

医師でも看護師でもない…“ナースエイド”が主役の病院ドラマ

『となりのナースエイド』は、現役医師で作家の知念実希人さんによる同名小説を原作に、日本テレビ系で放送された病院ライフエンターテインメントです。脚本を手がけたのは、バナナマン東京03などのコントでも知られるオークラさん。医療現場を舞台にしながら、コメディとヒューマンドラマを巧みに融合させ、“笑えて泣ける病院ドラマ”として高い人気を集めました。

主人公・桜庭澪を演じたのは川栄李奈さん。明るく前向きで、困難に真っすぐ立ち向かう姿が多くの共感を呼びました。天才外科医・竜崎大河を高杉真宙さんが演じ、技術第一の冷静な医師像をリアルに表現。正反対の二人が衝突しながら信頼を築いていく姿が、物語の大きな軸となっています。火神郁男役には古田新太さん、澪の姉・唯を成海璃子さんが演じ、矢本悠馬さん、瀧本美織さんなど個性豊かなキャストが物語を彩りました。

なかでも、澪の姉・唯を演じた成海璃子さんの存在感は圧倒的でした。「成海さんお目当てで観た」という声も多く、「出番が少なくて残念」と惜しむコメントも。記者として真実を追う姿は「成海璃子の姿がもはや刑事」と評され、短い登場ながら強い印象を残しました。「大活躍の女優さん」「成海璃子が主演のドラマを観たい!」といった声も上がり、確かな演技力と表現力で物語に深みを与えています。

そんな物語を支えたのが、製作チームです。本作のプロデューサーは、WEBザテレビジョンで以下のように語っています。

患者さんの一番近くにいて、話を聞いてくれていたのはナースエイドっていう声を聞いて「これって意外と皆知らないんじゃないかな?」と感じて。そこからよく調べ出してみたら、そこにはドラマがあって、我々の人生の中でナースエイドは重要な役割なんじゃないかと思ったのがきっかけです。
出典:<となりのナースエイド>ドラマPが明かす新しい視点の医療ドラマとは ラブコメを織り交ぜた狙いも WEBザテレビジョン 2024年3月6日配信

「医師や看護師ではなく、医療現場を支えるナースエイドに焦点を当てたい」という思いから企画を立ち上げたといいます。患者に最も近い立場で日々の介助やサポートを行う“看護補助者”の姿を描くことで、従来の医療ドラマにはなかった新たな視点を提示しました。

また、本作は厚生労働省とのタイアップでも注目を集め、「看護補助者・看護助手(ナースエイド)」の普及啓発ポスターが全国の病院やハローワークに掲出されました。ドラマを通じて、多くの人がこの職種の存在や意義、そしてやりがいを知るきっかけとなったのです。

放送終了後には、スピンオフ・コントドラマ『個室のナースエイド』(Hulu独占配信)が制作され、澪の同僚たちが患者の“少しクセのある悩み”を笑いと温かさで解決する姿が描かれました。

さらに2025年には、スペシャルドラマ『となりのナースエイドSP2025』が放送され、外科医として復帰した澪のその後が描かれています。帰国した大河と新キャラクターの虎徹(千葉雄大)との三角関係を軸に、「火神細胞」と「シムネス」をめぐる新たな真実も明らかになりました。

このように本作は、医療の技術や正義だけでなく、人に寄り添う心の力を丁寧に描いた新たな医療群像劇として、多くの支持を集めました。

“離脱勢”を惹き戻した伏線回収と大どんでん返し

『となりのナースエイド』の見どころは、回を追うごとに深まっていく人間ドラマと、予想を裏切る巧みな脚本にあります。初回放送では独特の展開に戸惑う視聴者も多く、「開始5分で観るのやめた…」「現実離れしてる」「離脱しそう」といった声も見られました。

しかし中盤以降、緻密な構成と伏線回収が高く評価され、「離脱勢に戻ってきてほしいくらい面白い」「観続けてよかった」と絶賛の声へと変わっていきます。登場人物それぞれの“裏の顔”が次々と明かされる展開には、単なる医療ドラマを超えたサスペンスの魅力がありました。

本作が伝えるテーマは、「許すこと」そして「寄り添うこと」です。澪は、姉・唯を救えなかった自責の念から長く苦しみ続けてきましたが、大河の「許すとは前に進むこと」という言葉に背中を押され、自分自身を赦すことで再び歩き出します。

また、姉の唯が火神を恨んでいたのではなく、実は父の研究を形にしてくれたことに感謝していたと知った澪は、ここでも“許すこと”を決断します。
ナースエイドとして患者に寄り添いながら、外科医として「オームス」の研究開発に関わる新たな道を歩み出すのです。

一方で、「寄り添うこと」は澪の生き方そのもの。医療行為ができないナースエイドという立場を通して、人を支えることの尊さが描かれています。

SNSでも多くの反響が寄せられました。主演の演技力が高く評価され、「川栄李奈の演技が素晴らしかった」「笑えて泣けて、心にぐっとくる」といった感想が相次ぎました。「毎話号泣した」といった声も多く、「尊い」「“寄り添う”ことの大切さを改めて感じた」という人も。「1番好きなドラマ」「また続編を作ってほしい」といったコメントも絶えません。

序盤の混乱を経て多くの視聴者に愛された『となりのナースエイド』は、医療の最前線ではなく“隣で支える人”に光を当てた新しい切り口の医療ドラマとして、“称賛相次ぐ名作”と呼ぶにふさわしい一作です。


※記事は執筆時点の情報です