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被疑者女性「嫌がらせされたから…」山手線で“催涙スプレー噴射”事件→この場合、“正当防衛”は通用する?【法律のプロが解説】

  • 2025.11.10
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電車内で催涙スプレーが噴射された事件が報じられ、人々の安全や法的責任についての関心が高まっています。

催涙スプレーの所持や使用に関する法律の扱い、また、被害に遭った際の正当防衛の認められ方、さらに第三者への影響と適切な対応法について、アディーレ法律事務所 島田さくら 弁護士の見解をもとに分かりやすく解説します。

催涙スプレーをめぐる法律の基本的な理解と、万が一の際にどのように行動すべきかの指針が得られます。

催涙スプレーの使用・所持はどんな罪に問われる?

催涙スプレーには、唐辛子成分カプサイシンなどの成分が含まれており、目や鼻、喉に強い刺激を与えます。

電車内でこれを噴射し、周囲の人が痛みや呼吸困難になるような場合、相手にけがをさせたとして「傷害罪(刑法204条、15年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)」に問われることがあります。

一方で、催涙スプレーを持っているだけで罰せられる法律はありません。例えば、自宅に防犯用として保管している場合は問題ありません。ただし、正当な理由なしにカバンなどに隠して持ち歩くと、「軽犯罪法違反」となることがあります。

護身目的だとしても、それだけで正当と認められるわけではなく、催涙スプレーの性能や持ち歩く状況、持つ人の職業や生活環境などを総合して判断されます。

嫌がらせ被害時の催涙スプレー使用は正当防衛になる?

もし痴漢や迷惑行為の被害を受けていて、催涙スプレーを使った場合、正当防衛が認められれば罪には問われません。

正当防衛が成立するためには、①今まさに不正な危害が迫っていること、②身を守るために、③やむを得ず催涙スプレーを使ったことが必要です。

例えば、相手から実際に触られたり、殴られそうになった時は、危害が迫っていると認められますが、ただ嫌な言葉を言われたり、口論をしただけでは正当防衛にはなりません。

また、相手がひるんでそれ以上の危害がない状況なのに催涙スプレーの使用を続けて追撃するなど、必要以上の使い方をした場合は正当防衛とは認められず、罪に問われることもあります。ただし、状況によっては刑の減免が検討される場合もあります。

第三者に被害が及んだ場合の法的判断と安全な対処法

正当防衛が認められても、催涙スプレーの影響が周囲の無関係な乗客に及び、体調不良を起こした場合、その部分については別に傷害罪や過失傷害罪(刑法 209 条、30万円以下の罰金又は科料)に問われる可能性があります。

第三者は不正な侵害をしていないため、正当防衛は成立しません。状況によっては緊急避難などが考えられますが、判断は厳しく、罪に問われることも十分にあります。

被害者が自衛の際に気を付けなければならないのは理不尽ですが、相手に危害を与えすぎると、自分が責任を負うことになる可能性があるため注意が必要です。電車内での対応としては、まずは場所を変えたり、大きな声で周囲に助けを求めたりすることが基本です。

また、急な状況で動けなかったり声が出なかったりすることもあるため、手元に防犯ブザーを用意しておくなどの対策もおすすめされます。

被害に遭った際は、周囲に助けを求めることが基本

電車内での催涙スプレーの使用は、周囲にけがや体調不良を引き起こすため、傷害罪などの罪に問われる可能性があります。

催涙スプレーを所持すること自体は違法ではありませんが、隠して持ち歩く場合は軽犯罪法違反となることがあるため注意が必要です。痴漢などの被害に対して正当防衛が認められる場合もありますが、その条件は厳しく、必要最小限の防衛でなければなりません。

また、第三者に被害が及んだ場合は正当防衛は認められず、法的責任が問われる可能性もあります。万が一被害に遭った際は、まずは安全な場所に移動し、周囲に助けを求めることが基本であることを心に留めておきましょう。


監修者:島田さくら 弁護士(東京弁護士会所属) アディーレ法律事務所

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島田さくら 弁護士(東京弁護士会所属) アディーレ法律事務所

退職代行、不当解雇、パワハラなどの労働問題全般に精通。在日ASEAN加盟国大使館の領事担当官に対し、民間の法律事務所初となる労働法講演を行った実績を持つ。TVやラジオ、雑誌などメディアの出演歴も長く、幅広い分野への対応力にも定評がある。
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弁護士法人AdIre法律事務所(第一東京弁護士会)

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