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被害者「腕を掴まれた」「目の前に立ってた」夜道で“不審者”に遭遇…→元警察官「絶対に避けて」特に気をつけるべき“2つのポイント”

  • 2025.10.10
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

夜、道を歩いているだけなのに、すれ違う人から避けられたり、警戒されたりした経験はありませんか? 本人にそのつもりがなくても、些細な行動が「不審者」という誤解を招いてしまうことがあります。もちろん、その中には本当に危険な人物もいますが、一方で「あらぬ誤解」から通報されてしまうケースも少なくありません。

では、どうすれば不審者と誤解されずに済むのでしょうか? また、自分自身の安全を守るためには何が必要なのでしょうか? 今回は、元警察官で防犯アドバイサーとして活躍しているりょうせいさん(@ryosei_advisor1)に、誤解されやすい行動や心構えについて伺いました。

なぜ?「不審者」と誤解されやすい行動・状況とは

--夜道で「不審者」と誤解されやすい行動や状況はありますか?

夜道では、本人にそのつもりがなくても「不審者」と誤解されやすい行動があります。

不審者の心理には「素性を隠したい」「周囲に気づかれたくない」という特徴があり、行動に表れるのです。意図せずとも、これらの特徴に当てはまってしまうと、周囲に不安を与えてしまう可能性があります。

外見・服装からくる誤解

  • 顔を隠す行為
    フードや帽子を目深にかぶる、マスクで顔の大半を覆う、夜にもかかわらずサングラスをかけるといった行為は、「身元を知られたくない人」という印象を与えがちです。

  • 季節に合わない服装
    真夏に厚手のコートを着ているなど、客観的に見て不自然な格好は、「服の下に何かを隠しているのでは?」という警戒心を抱かせます。特に男性の場合は、凶器などを連想されやすくなります。

行動・状況からくる誤解

  • 場所にそぐわない行動
    喫煙所にいるのにタバコを吸わずに長時間滞在する、同じ道を何度もウロウロと周回するなど、目的が分かりにくい行動は「何かを狙っているのでは?」という疑念を招きます。

  • 不自然な車の動き
    人通りの少ない夜道を不必要に低速で走行したり、エンジンをかけたまま長時間停車したりする車は、「誰かを待ち伏せしているのでは?」と見なされ、通報につながりやすい状況です。

実際の現場でも、昨今は通り魔的な凶悪事件の発生が増加しており、不審者の目撃通報が多く寄せられています。

通報を受けて職務質問した結果、凶器を所持していたり、まさに犯罪に及ぼうとしていた事例もありました。その一方で、特に不審行動がなくても、こうした特徴に合致していたことで「あらぬ誤解」で通報されるケースも少なくありません。つまり「不審者」とは必ずしも行動そのものではなく、周囲からどう見えるかによって判断される面が強いのです。

今日からできる!誤解を避けるための“4つの工夫”

--不審者扱いを避けるためにできる"工夫"にはどのようなものがありますか?

不審者に間違われないためには、防犯する側と同じくらい「見られる側」としての意識を持つことが重要です。

相手に安心感を与えることが、結果的にトラブルを避ける一番の“防犯”になります。

1、顔を隠さず、オープンな姿勢を

人とすれ違う可能性のある場所ではフードを外す、帽子を少し上げるなど、顔が見えるように意識しましょう。また、イヤホンやヘッドホンを外して周囲の音が聞こえる状態にしておくだけでも、閉鎖的な印象を和らげることができます。

2、堂々と、一定の速度で歩く

下を向いてキョロキョロしたり、急に立ち止まったりすると、挙動不審に見えがちです。背筋を伸ばし、堂々と一定の速度で歩くことで、「何かを狙っている」という印象を防げます。 スマートフォンを操作する場合は、道の端で立ち止まって行う方が、歩きながらよりも安全で、何をしているかが周囲にも伝わりやすくなります。

3、「行動の意図」を見える化する

自分の行動に“説明力”を持たせることも効果的です。例えば、道に迷ったら近くのコンビニで尋ねる、子どもや女性に声をかける際は十分な距離を取り、はっきりとした口調で「落としましたよ」などと目的を伝えることで、相手を安心させることができます。

4、服装は明るく、存在を知らせる

服装は季節に合ったものを選び、黒や紺などの暗い色よりも、白やベージュといった明るめの色を選ぶと良いでしょう。夜道では、カバンや靴に反射素材のアイテムを取り入れるのも、自分の存在をドライバーや他の歩行者に知らせる上で非常に有効です。

不審者と誤解されない行動とは、「自分の存在を隠さないこと」。堂々と、オープンな姿勢を取ることが、結果的にお互いの安全につながります。

実際に、服装や不審な挙動だけで「不審者」と断定され、通報されるケースもありました。やましい事がないのに通報されてしまうのはあまりいい気持ちがしないものです。自分自身が不快な気持ちにならないためにも、自身の行動をチェックしてみてください。

夜道を安心して歩くために、本当に大切なこと

--防犯アドバイザーの視点から、安心して夜道を歩くために伝えたいメッセージをお願いします。

夜道を安心して歩くために最も大切なのは、「怖がること」ではなく「備えること」です。完全に安全な場所は存在しませんが、危険を遠ざける意識と行動は誰でも身につけることができます。

特に気を付けるべきは、以下の2点です。

1、「ながらスマホ」と「イヤホン」は絶対に避けて
これらは、背後からの足音や車の接近など、周囲の異変に気づく能力を著しく低下させます。防犯の基本は「情報をいち早く察知すること」。足音や車の音、背後の気配、街灯の明るさなど、五感を使って常に周囲の環境に意識を向けることが、危険を回避する第一歩です。実際、10秒後には周囲の状況が変わっていることも多く、常に“今の環境”に意識を向けることが重要です。

2、 異変を察知したら、ためらわず行動する
「気のせいかも」と不安をやり過ごさず、すぐに立ち止まる、来た道を引き返す、近くのコンビニや交番に駆け込むなど、安全を最優先に行動してください。防犯ブザーやライトをすぐに使えるようにカバンの外側につけておくだけでも、犯罪の抑止効果が期待できます。

不審者から身を守れるかどうかは、『1秒でも早く異変に気づけるか』にかかっています。普段から防犯を意識している人は、助けを呼んだり、その場から逃げる事ができます。
一方で、ながらスマホなどをしていた結果、気づいた時には「不審者から腕を掴まれていた」「目の前に立っていた」という恐ろしい思いをした被害者の方もいらっしゃいます。気づくのが早ければ、逃げる、助けを呼ぶなど、行動の選択肢が増えるのです。

まとめ

夜道を安全に歩くためには、2つの視点が大切です。

1つは、不審者と誤解されないための「見られる意識」。フード等で顔を隠さず堂々と歩き、周囲に安心感を与えることで意図せぬ誤解を避けられます。もう1つは、自分の身を守るための「備える意識」。危険をいち早く察知できるよう「ながらスマホ」やイヤホンはやめ、常に周囲の状況に注意を払いましょう。

この「見られる意識」と「備える意識」を両立させることが、自分だけでなく他者の安全にも繋がります。今日からできる一工夫で、安心して歩ける環境を自ら作りましょう。


監修者:りょうせい(りょうせい 元生活安全課)

元警察官(警察歴10年)。生活安全課で行方不明やDVなどの人身事案を担当し、防犯の広報や啓発活動にも携わる。
現在は防犯アドバイザーとして活動し、Xや音声配信(StandFM)を通じて、日常生活に取り入れやすい防犯の工夫を発信している。