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「NHKの最高峰」「神ドラマ」放送から6年“桁違いの完成度”に止まない称賛…「人生で1番好き」“熱狂”を巻き起こした至高作

  • 2025.10.15

ドラマや映画の中には、目を背けがちな現実を鋭く切り取る作品があります。今回は、そんな中から"攻めてるNHKドラマ"を5本セレクトしました。本記事ではその第5弾として、ドラマ『だから私は推しました』(NHK総合)をご紹介します。“推す”ことに人生を懸けた女性の姿を通して、現代の孤独と承認欲求をリアルに映し出した本作。“推し活”ドラマに込められたメッセージとは――。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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初写真集『Lis blanc』発売イベントに出席した桜井ユキ(C)SANKEI
  • 作品名(放送局):ドラマ『だから私は推しました』(NHK総合)
  • 放送期間:2019年7月27日 - 2019年9月14日
  • 出演: 桜井ユキ(遠藤愛 役)

主人公の遠藤愛(桜井ユキ)は、SNSで「いいね」をもらうことに執着し、周囲から“リア充”に見られることばかりを気にして生きてきた、三十路手前のOLです。ある日、恋人に別れを告げられて落ち込んでいた愛は、偶然立ち寄ったライブハウスで地下アイドルグループ『サニーサイドアップ』のステージを目にします。ぎこちなさを感じさせながらも懸命に笑顔で歌うハナ(白石聖)の姿に心を奪われた愛は、次第に彼女を「推す」ことが生きがいになっていきます。

やがてハナを応援するうちに、愛は現場の常連たちと関わるようになり、次第に“オタク沼”の世界へと引き込まれていくのでした…。そんな中、ハナに異常な執着を見せる瓜田(笠原秀幸)の存在が、物語に不穏な影を落とします。チェキ券を大量に買い占め、プレゼントを送り続ける瓜田の行動を目にした愛は、自らも多くのチェキ券を購入し、「打ち合わせ」と称してハナにアドバイスを送るなど、少しずつ“瓜田さん化”していくのです…。

そんなある日、瓜田が何者かにマンションから突き落とされる事件が起こり、物語は一変。刑事・聖護院(澤部佑)の取り調べを受ける愛の回想として、物語が進んでいきます。「推しって、わかりますか?」と語り出す愛のひと言をきっかけに、彼女たちの心の奥に潜む想いと、事件の真相が少しずつ明らかになっていくのでした――。

桜井ユキ×白石聖──現代を映す“推し活”ヒューマンドラマ

ドラマ『だから私は推しました』は、脚本家・森下佳子さんによるオリジナル作品で、NHK「よるドラ」枠の第3弾として2019年に放送されました。物語の舞台は、華やかな芸能界の裏側に息づく“地下アイドル”の世界。SNS時代に生きる人々が抱える「承認欲求」や「自己肯定感の欠如」を背景に、誰かを“推す”ことで生きる意味を見いだそうとする女性たちの姿が描かれています。

主人公を演じるのは、当時連続ドラマ初主演となった桜井ユキさんです。彼女が演じる遠藤愛は、“推し活”を通して自分の人生を立て直そうとするアラサー女性で、その姿は視聴者の共感を集めました。

SNSでは「透明感があった」「めちゃくちゃ可愛い」といった声のほか、「演技力がすごい」との称賛や、「このドラマでファンになった」「NHKドラマの桜井さんはいつも素敵」「何度でも観たくなる女優さん」といったコメントも寄せられました。桜井さんの存在が多くの視聴者を魅了したことが伝わってきます。

愛が出会う地下アイドル・ハナを演じた白石聖さんも、結婚情報誌『ゼクシィ』の12代目CMガールとして注目を集めた若手女優です。素朴で等身大のアイドル像を瑞々しく演じ、その自然体の魅力で人気を博しました。

また、実際に“NHK発の地下アイドルグループ”として誕生した『サニーサイドアップ』も登場します。メンバーには松田るかさん、松川星さん、田中珠里さん、天木じゅんさん、そして白石聖さんが名を連ね、それぞれが個性豊かなキャラクターを熱演。劇中歌『おちゃのこサニサイ』『サイリウム・プラネット』『ただいまミライ』も話題を呼び、作品の世界観を鮮やかに彩りました。

さらに本作は、単なる成長物語にとどまらず、サスペンスの要素を巧みに織り交ぜた構成が特徴です。地下アイドルのファンが突き落とされる事件をめぐり、回想形式で描かれるストーリーは、誰が犯人なのか、誰が真実を語っているのかが最後までわからない緊張感に満ちています。

森下佳子さんならではの繊細な人間描写が光る一作で、「人はなぜ誰かを推すのか」「それは愛か、依存か」という問いを鋭く描き出した意欲作です。

推す者と推される者──“推し活”のリアル

ドラマ『だから私は推しました』の見どころは、地下アイドルとファンの関係を通して“推すことの光と影”を描いた点にあります。脚本家・森下佳子さんは、承認欲求や共依存といった現代的なテーマを織り込み、「誰かに必要とされたい」と願う人間の心を繊細に描き出しています。

物語の中心にあるのは、愛とハナの関係です。初めてライブで見た不器用なアイドル・ハナに自分を重ねた愛は、彼女を「もうひとりの自分」として応援するようになります。ハナを“推す”ことで自己肯定感を取り戻そうとする愛と、愛の支えによって成長していくハナ…互いに影響し合いながら変化していく二人の姿が描かれています。

興味深いのは、タイトル「だから私は推しました」に込められた二重の意味です。物語の終盤で、瓜田を突き落とした(=押した)のが、実はハナだったという真実が明かされます。

また、かつて愛がハナを“推す”ことで自分を見つめ直したように、最後にはハナ自身が“推す側”へと立場を変え、“愛する側”として新たな一歩を踏み出そうとする姿も描かれました。こうした“推す”“推される”関係性の入れ替わりが、本作の見どころの一つです。

さらに、元アイドルの姫乃たまさんによる監修により、チェキ券やライブ後のファン交流など、地下アイドル文化がリアルに描かれた点も高く評価されました。放送当初は「タイトルで見る気なくした」「サイコホラー的な展開が苦手」といった声もありましたが、物語が進むにつれて評価は一変。

桜井ユキちゃんに共感した「人生で1番好き」最高におもしろい」といった感想が相次ぎ、最終的には「神ドラマ」「NHKの最高峰」と称され、「再放送してほしい」と望む声が上がるほどの人気作となりました。

“誰かを推すことは、自分を生きることにつながるのか”。その問いを静かに投げかけた本作は、現代の孤独と愛のかたちを鮮やかに映し出した、NHKドラマの名作です。


※記事は執筆時点の情報です