1. トップ
  2. 35年前、TVCMからお茶の間に広がった“爽快なのにあたたかい”疾走ソング 買い物客の足取りを軽くした“青春のポップロック”

35年前、TVCMからお茶の間に広がった“爽快なのにあたたかい”疾走ソング 買い物客の足取りを軽くした“青春のポップロック”

  • 2025.10.11

「35年前の秋、どんな音が街を走り抜けていたか覚えてる?」

1990年。ショッピングモールや街角のディスプレイから流れてきたのは、軽快なリズムとまっすぐな歌声だった。週末のスポーツショップに立ち寄れば、スピーカーから元気いっぱいに響き渡り、買い物客の背中を押すように鳴り響く。あの頃の空気と一体化していたのが、この一曲だった。

LINDBERG『Dream On 抱きしめて』(作詞:朝野深雪・作曲:平川達也)――1990年9月26日発売

青春を駆け抜けたバンドの勢い

LINDBERGにとって4枚目のシングルとなった『Dream On 抱きしめて』。すでに『今すぐKiss Me』(作詞:朝野深雪・作曲:平川達也)などで注目を集め、若者の気持ちを代弁する存在となっていた彼ら。ボーカル渡瀬マキの伸びやかで力強い歌声、ギター平川達也の爽快なフレーズ、そして川添智久とcherryのリズム隊が生み出す軽快なグルーヴ。そのすべてが「走り出したい衝動」とシンクロする。

バンド名に込められた飛行家のイメージそのままに、LINDBERGのサウンドは風のように自由で、聴く者を解き放っていった

undefined
2014年、25周年ライブを行ったLINDBERG (C)SANKEI

CMから広がった爽快感

『Dream On 抱きしめて』は、スポーツショップ「アルペン」のCMソングとして起用された。松本典子と真木蔵人が出演する映像に重なる軽快なメロディは、当時のテレビを通じて繰り返し流れ、曲の持つ爽快感をより強固に印象づけた。

買い物客が店内で自然に口ずさみ、部活帰りの学生がカセットに録音して聴き込む。そんな日常と地続きの場所に鳴り響いていたからこそ、この曲は“青春のBGM”として記憶されていったのだ。

バンドの武器となったポップなロック

この曲の最大の魅力は、“ロックの勢い”と“ポップの親しみやすさ”を両立させたところにある。突き抜けるギターのリフは、当時のJ-POPの中でも明確にバンド色を示しながら、サビに入れば誰でも一緒に歌えるキャッチーさを持っていた。

渡瀬マキの明るくまっすぐな歌声は、力みすぎることなく自然体。だからこそ、恋愛のときめきも友情のきらめきも、聴く人の心にそのまま飛び込んでくる。

あの時代を駆け抜けた旋律

『Dream On 抱きしめて』は、20万枚以上を売り上げた。1990年のシングル市場の中で、バンドとして確かな存在感を示した数字でもあった。

今あらためて聴き返すと、『Dream On 抱きしめて』には当時の街のざわめきや青臭い衝動がそのまま封じ込められている。バブルの終焉を迎えながらも、若者たちがまだ未来にまっすぐな期待を寄せていた時代。『Dream On 抱きしめて』は、その瞬間を鮮やかに切り取った青春そのものだったのだ。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。