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25年前、日本中が胸を打たれた“英語フレーズの卒業ソング” 30万枚超を記録した“18歳が放つ軽快ポップ”

  • 2025.9.26

「25年前のあの頃、あなたはどんな気持ちで未来を見ていた?」

2000年1月、ミレニアムの幕開けに沸く街。年末から続く祝祭ムードが少しずつ落ち着きを見せる一方で、人々の心の中には「これからどんな時代が始まるのだろう」という漠然とした問いが芽生えていた。制服姿で最後の冬を過ごす高校生、社会に出ていく準備を整える若者たちの姿は、その時代の象徴でもあった。街を歩けば、広告や雑誌には“次の時代”を予感させる言葉が踊り、どこか浮き立つ期待と同時に、別れや門出への不安も隠しきれなかった。そんな空気の中で流れていたのが、この楽曲だった。

鈴木あみ『Don’t need to say good bye』(作詞:鈴木あみ、小室哲哉、小室みつ子・作曲:小室哲哉)——2000年1月26日発売

未来への鍵を手にした10代の歌声

このシングルは鈴木あみ(現・鈴木亜美)にとって10枚目のシングルであり、翌月に迎える18歳の誕生日を前にした節目のリリースとなった。デビューからわずか2年足らずでスターの仲間入りを果たした彼女にとって、この曲は“次の段階”へと踏み出す意思を示す一枚だった。

すでに前作『HAPPY NEW MILLENNIUM』で作詞に挑戦していた鈴木は、この曲でも小室哲哉と小室みつ子とともに作詞を手掛け、自らの言葉を吹き込んだ。歌声だけではなく、歌詞という形で等身大の気持ちを刻み込むことで、単なる“歌われる曲”ではなく、“自分自身の通過点を刻んだ作品”へと仕上がったのである。

アルバム『infinity eighteen vol.1』の先行シングルとして発表された本作は、発売直後から注目を集めた。通常、先行シングルはアルバムの宣伝的役割を担うためセールスが控えめになることも多いが、この作品は30万枚以上を売り上げた。アルバム発売前の段階でこれだけの数字を記録したことは、当時の彼女への人気と期待感の高さを雄弁に物語っていた。

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鈴木あみ-2000年撮影 (C)SANKEI

英語が彩った新しい響き

『Don’t need to say good bye』の最大の特徴のひとつは、印象的に織り込まれた英語のフレーズだ。単なる装飾ではなく、楽曲全体の雰囲気を決定づける要素として機能している。日本語だけでは表現しきれない“距離感”や“卒業”のニュアンスを、英語が自然に補っていたのだ。

ミディアムテンポのサウンドは、小室哲哉らしい透明感のあるシンセとリズムが基盤となっている。シンプルでありながら広がりのあるアレンジは、冬の澄んだ空気と重なり合い、聴く人の心に清らかな余韻を残した。そこに若々しい鈴木の声が重なり、冷たさのなかにほんのりと温もりを添えるような仕上がりとなった。

この曲は本人も出演したアサヒ飲料『バヤリース純粋仕立てグレープフルーツ』のCMソングとしても広く知られた。フレッシュで透明感のある映像とともに流れるサビの一節は、日常のなかで何度も耳にした人も多いはずだ。飲料の爽やかなイメージと重なることで、楽曲の持つ清潔感や軽やかさがより強調され、聴くたびにリフレッシュした気持ちになれるような印象を与えた。

卒業に寄り添うリアルな言葉

歌詞は恋愛をベースにしつつも、大きなテーマは「卒業」。それは単なる学校生活の終わりではなく、子供から大人へと移行する人生の節目を象徴していた。まさに高校卒業を目前に控えていた鈴木のリアルな感覚とリンクしており、その真実味が同世代の共感を呼んだ。

翌月に発売されたアルバム『infinity eighteen vol.1』はミリオンセラーを達成し、鈴木あみのキャリアを確固たるものにした。その勢いを裏付けたのが、この『Don’t need to say good bye』だった。先行シングルでありながら30万枚を超えるセールスを記録し、ランキングでも上位をキープした事実は、彼女の人気が一過性ではなく本物であることを示していた。

「いま、この瞬間を自分の手で切り開いている」という感覚が、楽曲にも、そしてリスナーの心にも強く残された。

2000年代幕開けのきらめき

2000年という節目の年、若さと未来への不安を抱えながらも力強く歌った鈴木あみの声は、今振り返っても「通過点のきらめき」として胸に響く。

数々の大ヒット曲の影に隠れがちな一曲ではあるが、本人の成長とリンクしたリアルさを持つからこそ、時代の空気を鮮やかに封じ込めた一曲として今も語り継がれている。あの年の街のざわめきとともに、ふと耳にすれば心を連れ戻してくれるような、そんな不思議な余韻を残しているのだ。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。