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「このままじゃダメだ」子どものケガを放置した園に怒り!ママ友と向かった“場所”とは?|先生が次々に退職する園で、私は#4

  • 2025.9.2

こども園に3人の子を預けて働いている、加代子さん。入園以来、10人以上もの先生が退職しています。今年もまた、担任の先生が姿を消しました。園の中で何かが起きている…。そう感じた加代子さんは、ある決意を胸に真実を探り始めます。こども園を取り巻く人間関係について描いた体験談、『先生が次々に退職する園で、私は』第4話をごらんください。

こども園の不正疑惑について…ママ友に打ち明けた、加代子さん。ですが、ママ友の反応は意外なものでした。そんな中、ママ友・直美さんの子どものケガをきっかけに、ママ友グループは一致団結し…。

失意の日々と訪れた転機

ママリ

ランチ会のあと、私はしばらくぼーっとしていました。モヤッとした時、私は家の片付けをするか、にんにく料理を食べて発散しているのですが…その気力すらわいてきませんでした。

「バカみたい…」

ママ友たちの冷めた目線を思い出すと、ただただ、恥ずかしかった…。消えてしまいたかった。自分一人が正義感に燃えて、突っ走っていたのだろうか…。そんな風に、気持ちが沈んでいく一方でした。

しかし、そんな日々に転機が訪れます。それは、直美さんからの連絡がきっかけでした。

「うちの子、園で転んだんだけどさ」

直美さんからのLINEは、いつも絵文字もスタンプもなく、シンプルなものでした。

「手当も何もしてないの。子どもに聞いたら、園長先生がさすっただけだって。けど、あんまり痛がるから、病院に連れて行ったら、ねんざしてた」

と続きました。

「大変だったね。何もしてないのって…もしかして、病院代をケチったのかな」

そう送ったあと、私は「マズい」と思いました。例の不正疑惑が頭をよぎり、つい、お金のことにからめてしまった…。

すると、直美さんが言いました。

「そうだよ、絶対そうに決まってる!電話で報告受けたとき、転んだだけですって…それだけだよ?加代子さん、ごめん。考えないようにしてたけどさ…やっぱり最近の園はおかしいよ」

それに対し、佳織さんや和美さんが続けました。

「そうだよ…病院どころか、手当てもしないなんて!どうかしてる」

「ありえないよ。保護義務違反だよ」

ママ友のグループラインで、直美さんの子どものケガをきっかけとして、みんなの不満が一気にふき出したようでした。

ママ友からの謝罪と告白

ママリ

「この対応のこともだけど…話したいことがあるの」

この流れで、私たちはすぐに近所のファミレスに集まりました。すると、直美さんが一番に口を開きました。

「加代子さん…この間からずっと、園がおかしいって言ってたのに…。スルーしててごめんなさい」

私はおどろき、言葉が出ませんでした。

「夏祭りの会費や内容について、わたしも本当はおかしいって感じてた。けど、もし、園の問題が発覚したら、子どもを預けられなくなるかもって思って…つい、見て見ぬふりをしてしまった」

そう、続けた後、直美さんは決意の宿った目でみんなを見ました。

「でも、子どもがケガをしたのに放っておく園なんて…安心して預けられないよ」

佳織さんもそれに続くように言いました。

「加代子さん、今までごめん。加代子さんの言うように、きっと、先生たちがどんどんやめるのにも、園に理由があるんだよ」

私はこらえ切れず涙ぐんでしまい、「ありがとう」と言うのがやっとでした。すると、和美さんが…

「私、見たことがあるんだよね…。小杉先生が寿司桶を持って園から出てくるの」

さらに、佳織さんもこう言い出しました。

「私も…小杉先生がデパ地下の紙袋を持って園に入るの、何度か見たことがある!」

(まさか、経費や保護者からの会費で…?)

皆、同じことを思ったようで、顔を見合わせました。

市役所職員の反応

ママリ

「みんな、今から市役所に行って、園の実態について訴えよう」

直美さんはそう、切り出しました。それに続くように、和美さんも同意します。

「行こう。子どもがねんざしたのに、手当てもちゃんとした報告もないなんて…やばいでしょ。お金だって少額だけどさ…おかしいのは間違いないよ」

「このまま園の状況を放置してたら、後で大きな事故や事件に発展しかねないよね」

そうして、私たちはすぐさま市役所へと向かいました。しかし、市役所の職員の反応は微妙なものでした。

「それは、園の運営に関する内部のことなので、私どもではちょっと…」

「まずは園に確認を…」

「領収書類などの証拠があれば…」

無言で駐車場を歩く私たちに、佳織さんが言いました。

「大丈夫だよ。きっと、クギくらい差してくれるんじゃないかな?」

「そうだよ。だってスキャンダルになったら、行政だって困るでしょ?」

和美さんも自分に言い聞かせるように言います。直美さんは考えるように、地面を見つめていましたが、すぐに向き直って、

「みんな、今日はありがとう。行動できただけでもよかったよ。ねんざのことは明日にでも園に文句言ってやるわ」

と、から元気のように笑いました。

その夜、布団の中で今日のことを思い返し、「クギくらいは差してくれるだろう…」と思って眠りにつきました。しかし、翌日、クギを刺されたのは私たちの方でした。

あとがき:ママ友の団結

ママ友・直美さんの子どものケガをきっかけとして、園への不信感を共有することができた、加代子さん。ついに、園の不正疑惑や対応について、市役所に訴えることにします。ですが、市役所職員の反応は、加代子さんたちが望むようなものではありませんでした。

「クギくらい差してくれるだろう」という、あわい期待を抱いたまま、帰宅をした加代子さんたち。市民の声、保護者の声として、行政やこども園に届くことを願うばかりですね。

※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています

著者:光永絵里

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