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刑事ドラマや時代劇でも光る“名俳優”「結構好き」「やり取りいいね」取り調べシーンでベテランの“巧みな演技”魅せる【水曜ドラマ】

  • 2025.11.29
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『ESCAPE それは誘拐のはずだった』第3話(C)日本テレビ

八神結以(桜田ひより)の出生の秘密が明らかになり、終盤に向けてスパートがかかる『ESCAPE それは誘拐のはずだった』(以降、ESCAPE)。志田未来やファーストサマーウイカなどの脇役キャラクターたちも光る本作。今回は、林田大介(佐野勇斗)を昔から知っている警視庁少年捜査課の刑事・小宮山拓を演じる松尾諭に着目したい。

※以下本文には放送内容が含まれます

付かず離れず林田を見守る小宮山の立ち位置

『ESCAPE』において、小宮山の立ち位置は絶妙だ。刑事でありながら、結以と大介を本気で追い詰めることはしない。とはいえ、優しく見守るような態度をとっているわけではない。あくまで、大介の理解者であり、指導者のような立場で、結以と大介の行く末を見守っている。

大介が過去に闇バイトに手を染めて小宮山の世話になったことは、事実として描かれているものの回想シーンなどで描写されているわけではない。詳しく描写せずとも、小宮山の大介や事件に対するスタンスを見ていると、小宮山と大介の間にどんな信頼関係があるのかをうかがうことができる。

とくに大介が小宮山を頼ることになった第3話では、大介を探しながらも心配しているような姿が描かれた。結以と大介が、成り行きで誘拐することになってしまった城之内星(阿部来叶)に見せた優しい笑顔や、防犯カメラ越しに大介とコミュニケーションを取ろうとする表情には、若いふたりを心から思う心境が察せられた。

松尾が持つ自然な包容力とどっしりとした安心感が、小宮山と大介の絶妙な関係に説得力を出しているのだ。

ドラマ原作になったエッセイも手がけた名俳優

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『ESCAPE それは誘拐のはずだった』第6話(C)日本テレビ

松尾諭といえば、シリアスからコメディまでなんでも演じ分けられる俳優の一人だ。数多く出演してきた刑事ドラマや時代劇では重厚な役柄を担い、作品の世界観を構築してきた。一方で、『うちの弁護士は手がかかる』のようなコメディ色の強いドラマでは、軽妙なやりとりを見せた。セリフの間の取り方から、コメディ適性の高さも感じさせる。

『ESCAPE』でも、第6話で岩田美麗(志田未来)の取り調べをしたシーンのやり取りでは、岩田ののらりくらりとした態度に冷静に対応しつつも振り回されたり、ツッコミをいれたりと、緩急のあるセリフ回しを見せた。

松尾は、長い下積み時代を持つ俳優でもある。その頃を綴った『拾われた男』というエッセイは、NHK BSプレミアムでドラマ化されている。文筆家としての一面も持つ俳優なのだ。

SNSでは、「小宮山さん、結構好き」「小宮山さんとガンさんのやり取りいいね」など、小宮山の立ち位置が好意的に受け止められている。

さまざまなことが明らかになり、クライマックスへと向かっている『ESCAPE』。大介と小宮山が対面するシーンはいまだ描かれていないが、2人が再び顔を合わせる場面も松尾の芝居の見どころとなりそうだ。


日本テレビ系 『ESCAPE それは誘拐のはずだった』毎週水曜よる10時〜

ライター:古澤椋子
ドラマや映画コラム、インタビュー、イベントレポートなどを執筆するライター。ドラマ・映画・アニメ・漫画とともに育つ。
X(旧Twitter):@k_ar0202