1. トップ
  2. 「注文と違う」「料理が崩れてた」“フード配達”で相次ぐトラブル…→弁護士「運営会社は責任を負わない」責任は誰にある?

「注文と違う」「料理が崩れてた」“フード配達”で相次ぐトラブル…→弁護士「運営会社は責任を負わない」責任は誰にある?

  • 2025.10.14
undefined

スマホひとつで手軽に注文できるフードデリバリー。便利さの一方で、「配達員が事故を起こした」「届いた料理が崩れていた」「注文と違う商品が届いた」といったトラブルに遭遇したことがある方もいるかもしれません。
では、こうした場合の責任は誰が負うのでしょうか。配達員、飲食店、プラットフォーム運営会社、それとも利用者?

弁護士の解説をもとに整理しました。

配達員が事故を起こした場合

配達員が事故を起こしたとき、多くのケースでは配達員本人が責任を負うことになります。

これは、配達員が「個人事業主」という契約形態で働いていることが多いためです。

損害賠償は本人が加入している保険や、労災保険の特別加入でカバーする仕組みが一般的です。

届いた料理がぐちゃぐちゃだったら?

料理が崩れて届いた場合、利用者は返金や再配達を求めることが可能です。ただし、その責任が誰にあるかは原因によって異なります。

  • 配達員の不注意で崩れた場合 → 配達員が責任を負う
  • 調理段階で梱包が不十分だった場合 → 飲食店が責任を負う

つまり、原因の切り分けによって責任主体は変わるという点が重要です。

注文と違う商品が届いた場合

この場合は、債務不履行として扱われます。

利用者は「注文した商品を届けてほしい」と再配達を請求でき、返金対応も求められる可能性があります。

「個人事業主」契約と責任の所在

配達員が個人事業主であることから、プラットフォーム運営会社は基本的に責任を負わないとされています。

ただし、状況は変わりつつあります。
2022年11月、東京都労働委員会は、ウーバーイーツ配達員について「労働者」に該当し、運営会社は「使用者」に当たると判断しました。これにより、今後はプラットフォーム会社に対しても使用者責任が認められるケースが出てくる可能性があります。

利用者や店舗が注意すべきポイント

トラブルを避けるには、契約内容や利用規約を確認しておくことが大切です。

特に「返金対応の条件」や「免責事項」の有無は、いざという時の対応に直結します。利用前に規定を把握しておくことが、自身を守る最善策といえるでしょう。

まとめ

フードデリバリーにおけるトラブルの責任は、事故や料理の状態、契約形態などによって変わります。

基本的には配達員個人が責任を負いますが、飲食店やプラットフォーム会社に責任が及ぶ場合もあり、近年の法的判断によっては運営会社の立場も変化しつつあります。

利用者や店舗は、サービスを利用する前に規約をしっかり確認し、不測のトラブルに備えることが重要です。


監修者名:ベリーベスト法律事務所 弁護士 齊田貴士

undefined

神戸大学法科大学院卒業。 弁護士登録後、ベリーベスト法律事務所に入所。 離婚事件や労働事件等の一般民事から刑事事件、M&Aを含めた企業法務(中小企業法務含む。)、 税務事件など幅広い分野を扱う。その分かりやすく丁寧な解説からメディア出演多数。