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企業「誤爆だった」公式SNSアカウントでの失言…法的責任は「個人」と「企業」のどちらは負うことに?→法律のプロの見解とは

  • 2025.10.3
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企業の公式SNSアカウントを運用する「中の人」が、誤爆投稿や不適切な発言をして炎上する事例が相次いでいます。軽い冗談や個人的な意見のつもりでも、企業の信用を失墜させ、株価や取引先との関係に影響することもあります。

では、SNSでの“誤爆・失言”によって損害が生じた場合、法的責任は担当者個人に及ぶのか、それとも企業そのものが負うのか。さらに、第三者からの損害賠償請求はあり得るのでしょうか。弁護士に伺いました。

企業公式アカウントで誤爆や不適切な発言をした場合、責任は「個人」と「企業」のどちらに?

まずは企業が法的責任を負うことになります。

担当者は企業から管理を任されている立場であり、「誤爆だった」としても企業の責任は免れません。

一方で担当者個人も、企業から人事上の責任を問われたり、損害賠償を請求される可能性があります。

投稿内容が第三者の名誉を毀損したり営業を妨害した場合、罪に問われますか?

はい。名誉毀損罪業務妨害罪に問われる可能性があります。

「中の人の誤爆だから」「公式アカウントだから」といった理由で免責されることはありません。

不適切な投稿が判明したら、速やかな削除・訂正・謝罪によって刑事事件化を回避する努力が求められます。

誤爆や失言で炎上し、企業に経済的損失が出た場合、従業員に損害賠償を求めることは?

あり得ます。ただし、従業員に損害のすべてを負担させるのは不公平とされ、賠償範囲は制限されることが多いです。

具体的な割合は事案次第ですが、実際に生じた損害の半分以下にとどまるケースが一般的です。

SNS運用を委託した外部業者が誤爆した場合、責任はどこに?

この場合、企業は委託先業者に賠償請求することになります。

ただし、実際の損害額や範囲を特定するのは難しいため、契約段階で賠償範囲を明確にしておくことが重要です。

契約条項に「損害が発生した場合の責任分担」を盛り込むことで、後のトラブルを防ぎやすくなります。

企業がSNSトラブルを防ぐためには、運用体制を工夫することがポイントです。

  • 複数人でアカウントを管理する
  • 投稿前に複数人でチェックする
  • 公式アカウント用端末と個人用端末を明確に分ける

こうした仕組みを整えることで、“誤爆”や“失言”のリスクを最小化できます。

まとめ

企業SNSの誤爆や失言は「担当者個人の問題」では済まず、まずは企業が責任を負うことになります。場合によっては名誉毀損罪や業務妨害罪に発展し、従業員や外部業者への賠償請求もあり得ます。

企業としては、事前のルール作りと運用体制の強化によって、炎上リスクを最小化することが不可欠です。


監修者名:鬼沢健士 弁護士

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茨城県取手市でじょうばん法律事務所所属。
できる限り着手金無料で、労働問題(不当解雇、未払残業代等)や詐欺被害救済に積極的に取り組んでいる。