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“スタジアム命名権”を獲得→スポンサー企業が倒産…名前は一体どうなる? 契約に潜む“知られざるリスク”とは

  • 2025.10.31
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

スタジアムや公共施設に企業名がつく「ネーミングライツ(命名権)」は、自治体や施設側にとって安定した収入源となり、企業にとっては大きな宣伝効果が期待できる手法です。

しかし、もし契約期間中にスポンサー企業が倒産してしまったら、あるいは不祥事を起こして「炎上」したら、その名前や契約金はどうなるのでしょうか。

アディーレ法律事務所名古屋支店 正木裕美 弁護士(愛知県弁護士会所属)の解説をもとに、命名権契約に潜むリスクと、その法的な対処法について解説します。 

スポンサー倒産時、スタジアム名と契約金はどうなる?

もし命名権を持つ企業が契約途中で倒産した場合、ネーミングライツ契約は契約書の規定によって、あるいは破産手続の中で解除され、スタジアムの名称使用も終了するのが一般的です。

施設側が懸念する契約金については、対応が二つに分かれます。

まず、解除までにすでに経過した期間の未払い分は、破産手続きの中で回収を目指すことになります。

一方、まだ経過していない将来の契約期間については、契約内容によって「残期間の契約金のX%を違約金として支払う」といった取り決めがされている場合もあります。

ネーミングライツ契約内容は様々で、支払い済みの分は返還しない、など細かく異なるため、問題発生時はまず契約書の確認が必須となります。なお、次のスポンサー探しについては、権利の譲渡は一般的に認められておらず、特に自治体の施設の場合は、再度公募となるケースが多いようです。 

不祥事で「炎上」した場合、契約解除や損害賠償は可能か?

倒産とは質の異なるリスクが、スポンサー企業による「不祥事」です。企業の不祥事は、施設のイメージ低下や利用者・住民からの反発を招きかねません。

こうした事態に備え、ネーミングライツ契約には「法令違反」や「公序良俗に反する行為」などによりスポンサーの社会的信頼が失墜した場合、施設側(自治体など)が一方的に契約を解除できるという条項が設けられているのが一般的です。

不祥事の内容がこの解除条項に該当すれば、契約解除することが可能。たとえ明確な条項がなくても、炎上によって事業継続が困難になれば契約違反として解除が認められたり、双方の協議の上で合意解除に至る場合もあります。

もちろん、この解除によって施設側が損害を被った場合は、損害賠償を請求することも可能です。 

スポンサー都合の解除、違約金の相場は?

では、スポンサー側の都合(不祥事や経営戦略の変更など)で契約を解除せざるを得なくなった場合、施設側はどの程度の違約金を請求できるのでしょうか。

違約金は、スポンサー側の責任(法令違反、公序良俗違反、応募資格の欠如など)によって解除に至った場合に発生するもので、契約書に発生条件が列挙されていることが多いです。

もし違約金の定めがなくとも、スポンサー側の落ち度による契約違反であれば損害賠償を請求することは可能です。請求できる金額は契約内容や実際の損害額によるため一概に言うのは難しいとしつつも、違約金が定められている場合、スポンサー側の責任で解除に至った際は、契約の残余期間にかかる契約金の10~20%の額とするものが多いようです。 

契約書が全ての鍵。リスク管理の徹底を

ネーミングライツ契約は、施設側・企業側双方にメリットがある一方、スポンサーの倒産や不祥事といった重大なリスクをはらんでいます。万が一の事態が発生した際、スタジアムの名前がどうなるか、金銭的な損失をどう補填するかは、すべて契約書の内容にかかっています。

特に不祥事によるイメージダウンは、金銭では測れない損害にもつながります。

施設側は解除条項や違約金の定めをもうけ、企業側は自社の経営状態やコンプライアンス体制を常に確認し、リスク管理を徹底することが求められます。


監修者:正木裕美 弁護士(愛知県弁護士会所属) アディーレ法律事務所名古屋支店

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正木裕美 弁護士(愛知県弁護士会所属) アディーレ法律事務所名古屋支店 

一児のシングルマザーとしての経験を活かし、不倫問題やDV、離婚などの男女問題に精通。TVでのコメンテーターや法律解説などのメディア出演歴も豊富。コメンテーターとして、難しい法律もわかりやすく、的確に解説することに定評がある。
アディーレ法律事務所は、依頼者が費用の負担で相談をためらわないよう、弁護士費用で損をさせない保証制度(保証事務所)を導入しています。「何もしない」から「弁護士に相談する」社会を目指しています。

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