1. トップ
  2. 「また地獄の日々が始まる」夏休み後の学校再開で、“子どもの登校拒否”相次ぐ…→親「無理にでも行かせるべき?」プロの見解は

「また地獄の日々が始まる」夏休み後の学校再開で、“子どもの登校拒否”相次ぐ…→親「無理にでも行かせるべき?」プロの見解は

  • 2025.9.9
undefined
出典元;photoAC(※画像はイメージです)

夏休みが終わり、いよいよ新学期。ランドセルを背負う子どもたちの姿が街に戻る一方で、「学校に行きたくない」と泣き出す子も少なくありません。
親としては「無理にでも行かせるべきなのか、それとも休ませた方がいいのか」と悩んでしまうところ。そこで臨床心理士に、子どもが登校を嫌がるときの心理や、家庭でできるサポート方法を伺いました。

子どもが「学校に行きたくない」と言うときの心理

夏休み明けに登校を嫌がる子は、新学期という大きな壁を前に圧倒されている状態にあることが多いそうです。

「また地獄の日々が始まる」と口にする子もいるほど、その不安や緊張は強いもの。学校という環境は、勉強や集団行動、友人や先生とのやり取りなど、多くのストレス要因を含んでいます。いじめがなくても、日々の小さな無理の積み重ねが、子どもにとって大きな負担になっているのです。

また、始業式に登校することで、その後もずっと学校へ行かなければならないという「べき思考」にもなってしまっていることが多いです。

登校を嫌がる行動の裏には、「つらさを理解してほしい」という親へのメッセージも隠されています。長い休みから一気にストレスフルな環境に戻ることへの抵抗感を、どう受け止めるかが大切です。

「無理に行かせる?休ませる?」親が迷ったときの判断基準

親にとって最も悩ましいのが、「このまま不登校になってしまうのでは…」という不安です。

臨床心理士はまず、子どもの気持ちを丁寧に聞くことを勧めます。批判やアドバイスは後回しにして、なぜ嫌なのか、どんな気持ちなのかをしっかり聞き取ることが出発点です。

登校を嫌がるサインは、当日だけでなく前日から表情や態度に表れることも多いもの。早めに気づき、余裕のあるタイミングで話をしてみましょう。

判断の目安は、子どもの状態をよく観察すること。

  • 行ってしまえば流れに乗れる子もいる
  • 無理をすると腹痛や発熱といった身体症状が出る子もいる

「正解はない」からこそ、子どもの声を聞くことが判断材料になります。

家庭でできる具体的なサポート方法

臨床心理士は、登校不安を抱える子どもを大縄跳びにたとえます。

もし入るタイミングを決められていたら、少し緊張しますよね。「もしうまく入れなかったら…」「失敗してしまったら…」と不安になってくるかと思います。タイミングを逃してしまうと、今度は焦って余計にうまく入れなくなるでしょう。

決められたタイミングで跳ばなければならないと思うと緊張しますが、自分のタイミングで入っていいと言われると気持ちが楽になります。学校も同じで、「みんなと同じスタートでなくてもいい」と感じられる工夫が安心につながります。

例えば、

  • 「最初の週は2日だけ頑張ってみよう」
  • 「初日は宿題を出しに放課後だけ行こう」

といった柔軟な提案が有効です。さらに「土日は何して遊ぼうか?」と小さな楽しみを用意するのも効果的。

また「私も仕事に行きたくないよ」と共感を示すことで、子どもは「分かってもらえた」と安心できます。

大切なのは、親がどっしりと構えること。子どもが「行きたくない」と伝えるのは健全なサインであり、親子関係がしっかりしている証拠でもあります。子どもの気持ちを受け止め、一緒に考えることが最も重要なサポートなのです。

まとめ

夏休み明けに登校を嫌がるのは、特別なことではありません。子どもは大きな環境変化を前に、不安を抱えているのです。
無理に行かせるか休ませるか――答えはひとつではなく、子どもの状態によって異なります。

「親が理解し、気持ちを受け止めてくれる」ことが、子どもにとって何よりの安心につながります。焦らず、対話を重ねながら、新学期のスタートをサポートしていきましょう。


監修者:金枝 藍
公認心理師、臨床心理士として、総合病院小児科にて不登校相談や子育て相談など、子どもにまつわる相談を受けています。また、家では思春期の男の子ふたりを育てる母親です。家でも職場でも、学校に行きたくない子どもたちの気持ちと向き合っています。