1. トップ
  2. 「急に気分が落ち込む」「体が重く感じる」50歳女性を襲う“更年期の不調”…→どう対処すべき?【医師が回答】

「急に気分が落ち込む」「体が重く感じる」50歳女性を襲う“更年期の不調”…→どう対処すべき?【医師が回答】

  • 2025.9.3
undefined
出典:photoAC(※画像はイメージです)

50代にもなると、なんとなく気分が落ち込んだり、イライラしやすくなったと感じることはありませんか?特にここ1年でその変化を強く感じる方も多いのではないでしょうか。これは、更年期にともなう「気分の浮き沈み」のひとつかもしれません。女性の身体はホルモンバランスの変化とともに、心の調子にも影響が出ることがあります。でも、「なぜこんな気分のアップダウンが起こるの?」「どうすれば少し楽になるの?」という疑問を持つ方も多いはず。そんな気持ちに寄り添いながら、更年期の気分の変化についてわかりやすく、そして日常に取り入れやすい対処法も一緒にご紹介します。

気分の浮き沈みは更年期のサイン?知っておきたいそのメカニズム

ここ1年ほどで急に気分の浮き沈みが激しくなり、体も重く感じるようになりました。家族には心配をかけたくないと思いつつも、日常生活に支障が出てきており、どう向き合えばいいのか模索中です。最近、急に気分が落ち込んだり、イライラしたりすることが増えました。体もだるく、以前のように家事や育児に集中できません。これが更年期のせいなのか、どう対処すればいいのか悩んでいます。(50歳・女性)

更年期とは、おおよそ45歳から55歳ごろにかけて女性の身体が生殖機能の終了に向かう過程のことを指します。この時期、卵巣の働きがゆっくりと低下し、女性ホルモンのエストロゲンの分泌が減少していきます。

エストロゲンは単に身体の機能を支えるだけでなく、脳の中で気分を調整する働きも持っています。そのため、ホルモンバランスの乱れは、気分が落ち込んだり、イライラしたりといった感情の波を生む原因のひとつとなるのです。加えて、睡眠障害やホットフラッシュ(のぼせや発汗)といった身体的症状も気分の不安定さに拍車をかけます。

こうした症状は個人差が大きく、まったく影響を感じない方もいれば、一時的にとても辛く感じる方もいます。

実はよくあること?具体的な体験例と支えになるポイント

undefined
出典:photoAC(※画像はイメージです)

例えば、普段は穏やかな性格の人が小さなことでカッとなりやすくなったり、理由もなく涙が出てしまったり、以前より何かにやる気が出にくくなったり。こうした感情のアップダウンは、決してあなただけのものではありません。この時期の多くの女性が経験しています。

実際の対処のヒントとしては、まず「自分の気持ちを認めること」が重要です。頑張りすぎず、「今は調子が悪い時期かも」と考えることで、自分自身を責め過ぎないようにできます。

また、適度な運動やバランスの良い食事、規則正しい生活リズムの維持は心身の安定を助けるとされています。特にウォーキングやヨガなど、リラックス効果のある活動はストレス解消にも役立ちます。

さらに、人とのコミュニケーションも気分の浮き沈みを和らげるポイントのひとつ。家族や友人と気軽に話したり、同じような経験をしているグループに参加したりすることで孤独感が薄れ、気持ちが軽くなることもあります。

気分の変動が日常生活に大きな支障をきたす場合は、専門医に相談することも視野に入れてみてください。ホルモン補充療法やカウンセリング、生活改善のアドバイスが役立つケースもあります。

更年期の気分の波と上手に付き合うために知っておくといいこと

まとめると、更年期の気分の浮き沈みは、身体の自然な変化にともなって起こりやすいものであり、決して特別なことではありません。自分の変化に「気づくこと」と「受け止めること」がスタートラインです。

日々の生活の中でできることを工夫してみることも大切で、例えば睡眠の質を整える、ストレスをため込みすぎない、きちんと休息を取るといった基本的なケアが心身のバランスを整える手助けになります。

そして、必要に応じて信頼できる専門家のサポートを求めることも視野に入れると安心です。気分の変動や体調の変化に無理に耐えようとせず、自分らしく過ごせる方法を少しずつ探してみるのがおすすめです。

体も心も繊細になるこの時期、まずは「自分を大切にする」ことを忘れずに、ゆっくりと向き合っていきましょう。


監修者:浅草橋西口クリニックMo 頴川 博芸

静岡県沼津市出身。日本大学医学部中退、東海大学医学部卒業、順天堂大学大学院医学研究科修了。順天堂大学医学部附属静岡病院で初期臨床研修修了後、順天堂大学医学部附属順天堂医院、越谷市立病院、順天堂大学医学部附属練馬病院などを経て現在は浅草橋西口クリニックMo院長、順天堂大学医学部附属順天堂医院食道・胃外科非常勤助手。資格は日本専門医機構外科専門医、日本温泉気候物理医学会温泉療法医、日本医師会認定産業医など。趣味は旅行。