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プロが伝授する「心も整う」クローゼットの整理収納術

  • 2025.8.16
Open closet with clothes in a sunny room

億劫になりがちなクローゼットの整理整頓。スペースが限られていたり、ワードローブがものであふれかえっている場合はなおさらだ。オーブンまでも服やアクセサリーを仕舞うために活用してしまう、「セックス・アンド・シティ」のキャリー・ブラッドショーのように、収納ではない場所まで使いたくなってしまうかもしれないが、今あるクローゼットのスペースを最大限に活用するもっと良い方法は存在する。

そこで、散らかったクローゼットを見違うほどに変容させるための整理収納のコツを、6人のプロに聞いた。クローゼットのサイズが狭小でもウォークインタイプでも、きっと役立つ整理術があるはず。

クローゼットをきれいな状態にすることのメリット

当たり前かもしれないが、整理されたクローゼットは単に日々の服選びの時短につながるだけではなく、精神面でも大きな安心感をもたらしてくれる。これは決して誇張ではなく、実際に散らかった部屋に住む人は、ストレスホルモンであるコルチゾールのレベルが高いという研究結果もあるのだ。

クローゼットの整理整頓は、忙しい日常生活のストレスを軽減に役立つ方法のひとつだ。「不要なものがなく、種類や色別に整頓されたクローゼットは使いやすく、見た目にも落ち着きがあります」と、ロサンゼルスを拠点にする片付けのプロ、メーガン・ケスマンは言う。「すっきりしたレイアウトは、服選びをストレスフリーにしてくれます」

プロがおすすめする、9つの整理術

Cute young woman standing in front of hanger rack and trying to choose outfit.

ストレスなしにクローゼットを整理する簡単な方法はある。ただし、始める前に計画を立てることが大切だ。ヒアリングからアフターフォローまで、フルサービスの整理収納を提供するReclaim Professional Organizingのアリソン・フィンによると、本当に必要なステップは3つだけだという。「ワードローブにあるものを見直し、着ていて気持ちのよいアイテムだけを残して、可能な限り収納ボックスを活用します。これで片付いた状態を維持できます」

1. 断捨離する

ミニマリズムの実践は、最も効果的な「整頓システム」であると言っても過言ではない。なぜなら、最高のクローゼットはシンプルなクローゼットであることが多いからだ。

これは、靴やバッグ、スカーフやネックレスにいたるまで、あらゆるものを見直し、本当に必要なものだけを残すことを意味する。「まず、クローゼットの中身をすべて出してください。そう、全部です」とケスマンは指南する。「次に、すべてを吟味します。自分自身に正直になりましょう」。そして、“残すもの”、“寄附または売るもの”、“壊れていたり、もう着られないなど、捨てるまたは資源としてリサイクルするもの”の3つに分類するのだ。

バージニア州を拠点にする片付けサービス、Ready, Set, Refresh!の創業者、ティナ・プリーストリーは、断捨離に困ったら「5着ルール」を使うことを推奨する。「ひとつのアイテムで最低5つのコーディネートが作れて、実際に着るのならば、そのアイテムは残しましょう」。また、そのアイテムを最後に着たのはいつだったかを振り返ることも役立つそう。「過去90日間でそのアイテムを着用したか、または今後90日間で着用する予定があるか自問してください。シーズンオフのアイテムの場合を除き、答えがノーなら手放すタイミングです」と彼女は言う。

それでもまだ断捨離に抵抗があるなら、使えるスペースが、現実的に残しておく物の量を決める要因になる。「収納場所が限られているなら、それにあったライフスタイルを実践しなければなりません」とシカゴのデザイン会社、Avenirのオーナー兼デザインディレクターのジュリー・パーピュラはアドバイスする。

2. 種類と色別に分類する

残すものを確定したら、アイテムを種類別に整理していく。ブーツはブーツ同士、サンダルはサンダル同士、ドレスシャツはドレスシャツ同士、というように分類する。このプロセスはドーパミンの分泌を促すだけでなく、それぞれの種類のアイテムに必要なスペースを把握することができる。「お気に入りのTシャツがほかのTシャツと一緒に収納されていれば、ずっと簡単に見つけることができます」と、オハイオ州デイトンのThe Stylish Organizerのコートニー・カミングスは説明する。

一段上の整頓方法として、各カテゴリーをさらに色別に分類することもできる。「最適な収納システムを決める上で、自分にとって最も効率的な方法は何かを理解することが重要です。人は視覚的な生き物ですから」と彼女は言う。

3. “ゾーン”を決める

分類が終わったら、クローゼットや引き出しにアイテムを戻し始める。「アイテムは取り出しやすい“ゾーン”ごとに配置していきます」とフィンはアドバイスする。

ゾーンは、アイテムをスタイル別に吊るして作っていく。シャツは袖丈で、スカートは総丈で、というように。「同じようなアイテムを一緒に整理することで、コーディネートがしやすくなります」と彼女は言う。

服を着る際の準備の仕方も考慮したいポイントのひとつ。「例えば、いつもキャミソールにブレザーを合わせるなら、そのふたつを一緒に収納しましょう。ワンピースにはいつも帽子を合わせるなら、そのふたつは同じ場所に。スペースの使い方は人それぞれで、自分に一番合った方法を見つけることが大切です」とカミングスは言う。

使用頻度も重要だ。「最もよく使うものは目線の高さに置き、使用頻度の低いものはアクセスしにくい上段や下段のスペースに収納するといいでしょう」とプリーストリーは付け加える。

4. 仕舞い方は、アイテムによって変える

衣類を吊るすか畳むかは、どちらの方法がより良い状態で保てるかを目安に判断することをフィンは推奨する。「シワになりやすいものは吊るすのがよいでしょう。セーターは折り畳むことでダメージを防げます。水着や冬用の小物は、ケースや棚に収納するのが最適です」

吊り下げるスペースを有効活用するためには、かさばりがちなハンガーを起毛加工の薄型タイプに交換するといい。服に跡がつかないだけでなく、すべり落ちにくいという利点もある。

5. 畳み方を見直す

多くの人は、店頭のディスプレイのように服を畳むのが好きだ。しかし、完璧に積み重ねても、結局シワだらけの服の山になってしまうことが多い。その代わりにおすすめなのが、スーツケースに詰めるときのようにロール状にする方法。巻いた服は、積み重ねるのではなく、書類を仕舞うように立てて並べて収納する。「こうすることで整頓された状態を保つことができます」とフィンは言う。

6. 収納ボックスと仕切りを活用する

同じ種類のアイテムを同じ色の収納ボックスに入れ、仕切りを使って引き出しの中を区分けすることで、ごちゃごちゃした見た目を軽減し、統一感のある印象を作り出すことができる。さらに、「かわいいボックスやバスケットは、さらに幸福感をあげてくれます」とカミングスは言う。

もちろん、収納の定番であるボックスは機能性も優れている。「積み重ね可能な収納ボックスやバスケットに投資して、縦のスペースを有効活用しましょう」とカミングス。「また、クローゼットの大きさにかかわらず、調節可能な構造にすることを常におすすめしています。ニーズに合わせて変更でき、ワードローブの変化にも対応できます」

7. 空間を無駄なく使う

狭いクローゼットに関しては、スペースを最大限に活用するためには別の収納アイテムを取り入れることが鍵なのだとカミングスは言う。「狭いクローゼットや、変わった形のクローゼットの場合、棚を高くしたり、ほかのアイテムの上部に靴やバッグ、折り畳んだ服などを吊るすためのハンガーパイプを追加したりすることで、縦のスペースを有効活用することができます」

見落としがちな場所も忘れてはいけない。「靴やアクセサリーの収納には、ドアに掛ける吊り下げ収納を使いましょう」とプリーストリーは言う。「これらの工夫は、スペースが限られていても機能的で整理整頓されたクローゼットを作るのに役立ちます」

この考え方は、デッドスペースになりがちなクローゼットの下部にも適用することができる。「私は調節可能なハンガーポールをクローゼットの下部に使っています。こうすることで収納容量が2倍になり、パンツやトップを下に吊るすことができます」と、ヒューストンを拠点に活動するインテリアデザイナーのローレン・アシュリーは説明し、狭いクローゼットの整理は「テトリス感覚」でやることが多いと付け加える。

上記を踏まえ、アシュリーはあるアイテムを取り入れることを推奨する。「クローゼットの近くに踏み台を置いて、高い棚にアクセスできるようにしましょう」

8. 季節ものは別の場所に収納する

使用していないアイテムを、クローゼット以外の場所に収納することも整頓のコツ。この場合、部屋の使用頻度の低いベッド下などに、収納ボックスや圧縮袋を置き、収納スペースとして使うことが有効だ。「可能であれば、フォーマルウェアや季節もののアイテムは別のクローゼットに収納するといいでしょう」

9. アクセサリーも整頓する

ジュエリーのような小さなアイテムや、帽子のようなかさばるアイテムは、それぞれに保管する上で課題があり、どちらも悩みの種になりがちだ。それでも「アクセサリーや分類が難しいその他のアイテムは、手が届きやすく目立つ場所に保管するべき」とフィンは言う。

ジュエリーなら、ドレッサーの上にベルベットや透明なトレー、あるいはポップなデザインのジュエリーディッシュやトレーを置き、絡まないようにする。「スペースに余裕があれば、引き出しに入れると整頓できて取り出しやすいのでおすすめです」とカミングスは付け加える。

壁は、帽子やスカーフ、バッグをフックに掛けておくのに最適だ。ベルトやスカーフは、くるくる巻いて引き出しやアクリル製のケースに収納したり、多段ハンガーを使ってクローゼットに吊るすこともできる。

靴の収納には、積み重ね可能な収納ボックスや、吊り下げ式のシューズラックを活用すると省スペース化できる。バッグは、ただ棚に並べるよりも、アクリル製の収納スタンドを使った方がいいとフィンは言う。「取り出しやすいだけでなく、どんなクローゼットでもブティックのような雰囲気にしてくれます」

結局のところ、一番重要なのは必要なものを簡単に見つけられるようにするということに尽きる。「収納グッズを活用してひと目で確認できるようにすることで、整理された状態を維持し、必要なものが行方不明になることを防ぎます」とプリーストリーは言う。

そのためには、クローゼットの整理はたった一度きりの作業ではないことを覚えておくことも大事だ。「整頓された状態を維持していくには、常に中身を点検し、すべてのアイテムに割り当てられた収納場所があることを確認し続けることが重要です」とプリーストリーは言う。この作業は、心を整える上でもきっと役立つ。

Text: Christina Pérez, Gia Yetikyel Translation: Motoko Yoshizawa

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