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テイラー・スウィフトが新アルバムのリリースを発表。キーカラーのオレンジが意味するものとは?

  • 2025.8.14

テイラー・スウィフトの新たな時代、その名も“オレンジの時代”が幕を開ける。8月12日の午前0時12分(現地時間)に12枚目となるスタジオ・アルバムのリリースを発表したスウィフト。タイトルは『The Life of a Showgirl』であることを明かし、どうやら今作は「オレンジ色」が重要な意味を持っていそうだ。

スウィフトといえば、キャリアを“era(時代)”に区切っており、各時代を象徴するアルバムを特定の色に結びつけている。『レピュテーション』(2017)はブラック、『ラヴァー』(2019)はパステルピンク、『ミッドナイツ』(2022)はダークブルーなど、それぞれの作品にはテーマカラーようなものがあり、今回の『The Life of a Showgirl』のキーカラーはオレンジであることがほのめかされている。最近の彼女は定番の赤リップをテラコッタカラーに変え、アルバムのリリースを発表した動画内のテキストも、鮮やかなオレンジ色。いたるところにヒントが散りばめられている。

「テイラーが初めてオレンジ色を使ったのは、『Look What You Made Me Do』のミュージックビデオでした」と、今年初めに『A Swift History』という講義を行ったオンタリオ州にあるブロック大学の歴史学准教授兼人文学部副学部長、エリザベス・ヴロサックは言う。「全身オレンジのコーデを着た彼女が、巨大な金色の鳥かごに閉じ込められて、空中ブランコに乗っているシーンがあるんです。12枚目のアルバムが『The Life of a Showgirl』というタイトルであることが明らかになった今、このシーンはさらに大きな意味を持つように思えます」

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また、2023年から2024年にかけて開催された「ジ・エラズ・ツアー(THE ERAS TOUR)」でも、あらゆるポイントにオレンジ色が散りばめられていた、とヴロサックは付け加える。例えば『ラヴァー』のステージ衣装はオレンジのスーツで、『フォークロア/エヴァーモア』のアコースティックセットでも、スウィフトはオレンジ色のドレスを着用。そして149公演にわたるツアーが終わりに近づくにつれ、オレンジ色の衣装が徐々に増えていった。「フィナーレの『カルマ』で、テイラーとダンサーたちの背後にあるスクリーンに、オレンジ色のドアが映し出されていることにファンは気づき始めたのです。おそらくこのツアーがひとつの時代の終わりを告げ、次の時代はオレンジが鍵となるのではないか、という憶測を煽りました。公式の『The Eras Tour Book』にもオレンジが多用されていて、この色が次のアルバムと関係していることをほのめかしていました。最後のページにも『次の時代で会いましょう』と書かれていたことですし」

もちろん、スウィフト以外にも、これまでオレンジという色を駆使したクリエイターはいる。1950年代後半には抽象表現主義の画家マーク・ロスコが、さまざまなオレンジトーンを赤や紫といった対照的な色と掛け合わせた作品の数々を描き始めた。美術史家のマーガレット・C・コンラッズとスティーヴン・ザッカーによれば、1960年に発表された「No.210/No.211(オレンジ)」は、この時期のロスコの最も有名な作品のひとつであり、当時社会に起きていた大きな変化を反映しているという。「第二次世界大戦後は人類の残虐性を突きつけられ、考えさせられた。1960年とは、戦後と公民権運動の幕開けという、ふたつの時代の狭間に置かれた年であった。この背景を反映するために、ロスコはこれらの色を選んだ可能性がある」とふたりは述べている。一方、ファッション界でオレンジといえばエルメスHERMÈS)だ。「エルメスはオレンジの代名詞です」と、US版『VOGUE』のアーカイブ・エディターのレアード・ボレッリ=ペルソンは言う。「“エルメス・オレンジ”という独自の色合いがあるくらいです」。そして長年にわたり、ブランドはマニキュアからリップ、アイライナーまで、あらゆるものをオレンジで展開してきた。

独自の透視・直観ヒーリングメソッド、Nuurvanaを行う鍼(はり)師のデガニット・ヌール曰く、スウィフトの今のオーラは、この新しい時代に完璧にマッチしている。「テイラー・スウィフトが纏っているような明るいオレンジ色のオーラ(の人)は、世間をあっと言わせるポテンシャルを秘めているんです。暖かさがあるので、何千人もの人がいるスタジアムでも、本人との親密さやつながりを感じることができます。自分の感情をさらけ出していて、周りの人もそれに応えるのです」

オレンジはまた、下腹部にあるサクラルチャクラ(第2チャクラ)に対応する色で、一般的にセクシュアリティ、自立心、自信、創造性を表す。トラビス・ケルシーとの交際は順調で、初期アルバム6枚を含む全楽曲の原盤権を取り戻したスウィフトは、まさに今、順風満帆だ。それを考えると、新作のテーマカラーがオレンジであることも腑に落ちる。

「テイラーは長い間、オレンジという色を取り入れてきているので、(今回のアルバムは)過去を振り返り、過去の自分などと向き合うものになると予想しています」とヴロサックは言う。「彼女は過去の出来事や記憶をとても美しい歌詞や楽曲に昇華するので、来たるアルバムでも、これまでの人生を振り返るような1曲があることを願っています」

Text: Margaux Anbouba Adaptation: Anzu Kawano

From VOGUE.COM

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