“宇多田ヒカルと米津玄師”が手掛けた劇場版アニメED、タイトルの意味に「胸糞すぎる」「鳥肌」動揺するファンの声がSNSで話題に

9月19日より公開された劇場版『チェンソーマン レゼ篇』のオープニングに、数々の“映画パロディ”が含まれていると、SNSで話題になっている。TVアニメのオープニングでもパロディ満載だった本作は、なぜ映画にまつわる描写が多いのだろうか。また、劇場版のラストシーンとリンクするエンディングテーマ『JANE DOE』の歌詞について、考察したい。

※以下本文にはネタバレの内容が含まれます。

原作者が映画好き？ちりばめられた数々の“パロディ”

劇場版『チェンソーマン レゼ篇』の冒頭で流れたオープニングに、『NOPE/ノープ』や、『プラダを着た悪魔』のパロディだと受け取れる描写が含まれている。『チェンソーマン』において、映画作品のパロディは劇場版から始まったものではなく、TVシリーズのオープニングでも映画ネタがふんだんにちりばめられていた。

TVアニメのオープニングで、幼少期のデンジがポチタを大事そうに抱きかかえるカットは、『悪魔のいけにえ』を彷彿とさせる。また、暗闇で井戸が映し出されるカットは、『貞子vs伽椰子』が元ネタだと受け取れる。ほかにも数々の映画の場面を少しずつ切り取り、『チェンソーマン』のキャラクターに置き換えてパロディしており、映画好きにとってたまらない遊び心にあふれたオープニングとなっている。

さらに、劇場版『チェンソーマン レゼ篇』のラストシーンが『レオン』のオマージュだと感じたファンも多く、オープニングだけでなく至るところに他作品の片鱗が見え隠れしている。SNSでは「声上げそうになった」「藤本先生の好きな映画のパロディが入ってる」「あれ元ネタって世界初の映画とか言われてる馬の動画なんかな」「喫茶店を目前にしたシーンはレオンのオマージュだ」との声があがった。

じつは、『チェンソーマン』の原作者である藤本タツキは、大の映画好きとして知られている。単行本には、映画作品のタイトルとあわせて「大好き！」と藤本のコメントが掲載されているほど。劇場版『チェンソーマン レゼ篇』にて描かれたデンジとマキマの映画デートのシーンも、藤本の映画好きが色濃く反映された場面といえるのではないだろうか。

『JANE DOE』が表現する“叶わない再会”

本作のエンディングテーマである『JANE DOE』は、米津玄師と宇多田ヒカルによる初のコラボ曲だ。歌詞を読み解くと、「まるでこの世界で二人だけみたいだね」「さよなら もう行かなきゃ 何もかも忘れて」といったように、デンジとレゼの別れを歌った楽曲だと受け取れる。また、『JANE DOE』というタイトルは“身元不明の女性の仮名”という意味があり、ソ連の“モルモット”であるレゼを指していると考えられるのだ。SNSでは「胸糞すぎる」「そういう意味だったんだ」「鳥肌」「題名の意味を調べろって言ってやりたい」との声があがった。

「どこにいるの（ここにいるよ）何をしているの（ずっと見てるよ）」という歌詞からは、まるで迷子のようにすれ違い、会えない2人の姿が思い浮かぶようだ。『JANE DOE』のミュージックビデオでは、駅のホームにあるベンチに背中を向けて座る米津と宇多田。ベンチはお互いを探すように回るが、最後まで2人が顔を合わせることはない。

劇場版『チェンソーマン レゼ篇』のラストで、レゼはデンジに会いに行くが、2人の再会は叶わなかった。そんな切ないラストシーンを、『JANE DOE』はしっとりと、それでいて情熱的に歌っている。本作の主題歌『IRIS OUT』が衝動的な一方で、『JANE DOE』は感傷に浸ってしまうような“憂い”があるのだ。

まったく異なる温度感の2曲によって、レゼという女性の魅力と結末のやるせなさを見事に表現している。原作ファンからも絶賛する声が多くあがっている劇場版『チェンソーマン レゼ篇』は、作画やキャストの芝居に加え、音楽も高評価の理由になっているのは、まちがいない。

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チェンソーマン
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ライター：まわる まがり
主にアニメについての記事を書くライター。コラムやレビュー、映画の作品評を手がける。X（旧Twitter）：@kaku_magari