1. トップ
  2. 「映画史上に残る大作」「観る際は覚悟を決めて」“驚異の完成度”を誇る傑作…鑑賞者「一度は観るべき」激推しの一作

「映画史上に残る大作」「観る際は覚悟を決めて」“驚異の完成度”を誇る傑作…鑑賞者「一度は観るべき」激推しの一作

  • 2025.9.14

ドラマや映画の中には、大きな波紋を呼んだ作品があります。今回は、そんな中から"衝撃的な事件に関係している作品"を5本セレクトしました。本記事ではその第5弾として、映画『ヘヴンズストーリー』(ムヴィオラ)をご紹介します。ひとつの殺人事件をきっかけに、被害者や加害者、そしてその家族の人生が複雑に絡み合う群像劇。司法では裁ききれない人間の複雑な感情に踏み込み、4時間半を超える壮大なスケールで描かれる本作の魅力とは――?

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

undefined
俳優の柄本明(C)SANKEI
  • 作品名(配給):映画『ヘヴンズストーリー』(ムヴィオラ)
  • 公開日:2010年10月2日
  • 出演: 寉岡萌希( サト 役)

『ヘヴンズストーリー』は、ある夏の日に家族を惨殺された少女サト(本多叶奈 / 寉岡萌希)の物語から始まります。

8歳の彼女は祖父ソウイチ(柄本明)に引き取られるものの、事件のショックで心身に深い傷を負い、うまく排尿ができなくなってしまいます。そんな中、テレビで「法律が許しても、僕がこの手で犯人を殺してやります」と語る男・トモキ(長谷川朝晴)の姿を目にします。妻子を殺された彼の言葉はサトの胸に刻まれ、トモキはサトの“ヒーロー”になるのでした。

同じころ、警官のカイジマ(村上淳)は幼い息子を育てながら、東北の鉱山跡で復讐代行に手を染めていました。また、父の暴力によって片耳の聴力を失い孤独に生きる若い女性タエ(菜葉菜)は、雨の日にトモキと出会い、彼の抱える影に惹かれていきます。こうして社会の片隅で生きる人々の人生が、少しずつ重なり合っていくのでした――。

やがて16歳に成長したサトは、トモキの住む町を訪ねることを決意。船着場に降り立った彼女は憧れ続けた男の姿を探し求めます。しかしトモキは、かつてサトが描いた理想のヒーローではありませんでした。それでも彼女のトモキに対する想いは変わりません…。

一方で、若年性アルツハイマーを宣告された人形作家・恭子(山崎ハコ)は、病院のテレビで「これから生まれてくる人間にも、僕のことを覚えていてほしい」と語る無差別殺人犯の言葉に衝撃を受けます。記憶と忘却のはざまで揺れる彼女の姿もまた、物語に影を落としていきます。

季節は移ろい、かつて“雲上の楽園”と呼ばれた鉱山跡や、渡し船のある海辺の団地、そして人形劇が織りなす情景が舞台となり、人々の復讐と再生の物語が交錯することに――。

“4時間半を超える超大作” 20人以上の人生が交錯する壮大な群像劇

映画『ヘヴンズストーリー』は、事件の被害者と加害者、そして、その家族を含む20人以上の人々の人生を多面的に描いた群像劇です。全9章構成で上映時間は4時間38分に及び、第61回ベルリン国際映画祭では国際批評家連盟賞NETPAC賞同時受賞しました。

監督を務めたのは、長編の重厚な群像劇『64-ロクヨン』や『菊とギロチン』で知られる瀬々敬久さん。社会派ドラマからピンク映画まで幅広く手がけてきた経歴を持ち、本作でも被害者と加害者の視点を並行させることで、「善」と「悪」といった単純な区別を超えた人間模様を浮き彫りにしています。近年も『8年越しの花嫁 奇跡の実話』『』『護られなかった者たちへ』『ラーゲリより愛を込めて』といった話題作を次々と送り出し、多様な題材で人間ドラマを描き続けています。

出演者は、主人公サト役の寉岡萌希さんをはじめ、長谷川朝晴さん、村上淳さん、山崎ハコさん、菜葉菜さんら多彩な俳優陣が集結。さらに吹越満さん、佐藤浩市さん、柄本明さんといった実力派が脇を固め、物語に一層の厚みを加えています。

映像の面でも「雲上の楽園」と呼ばれた鉱山跡や、渡し船のある海辺の団地といったロケーションを活かし、四季の移ろいの中で人々の姿を重層的に映し出しています。ドキュメンタリータッチの手法を採用した演出は、作品鑑賞後も深い余韻を生み出しました。

無駄のない攻めた脚本と圧巻の演技が生み出した世界観

本作『ヘヴンズストーリー』には、家族を惨殺された少女サト、犯人に復讐を誓う鍵屋のトモキ、復讐代行に手を染める警官カイジマ、孤独を抱える若い女性タエ、若年性アルツハイマーを患う人形作家の恭子など、さまざまな人物が登場します。バラバラに見える彼らの人生が少しずつ結びつき、やがて壮大なひとつの流れを形づくっていく脚本は、観客を息もつかせぬまま物語の深みに引き込みます。

4時間半の長尺だけど、それを感じさせない」と語る人もいれば、「映画史上に残る大作」個のストーリーが見事に繋がってゆく様は壮観」と感嘆する人も。

さらに、「圧巻の大作」「観る際は覚悟を決めて」という声に象徴されるように、本作はただの復讐劇を超えたスケールを持ち、その熱量を支えているのは、無駄のない攻めた脚本、各地で選ばれたロケーション、そしてキャスト陣の圧巻の演技力――。「一度は観るべき」と鑑賞者が強く薦めるのも納得で「最近の日本映画に一石を投じる作品」と絶賛されるなど、公開から年月を経た今も語り継がれる名作です。


※記事は執筆時点の情報です