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30年前、70万枚超を売り上げた“皮肉だけど前向きな”応援ソング ドラマと共鳴した“明日へ走る一曲”

  • 2025.10.9

「30年前、あなたはどんな音に励まされていた?」

1995年11月。ショーウィンドウには鮮やかな装飾が並び、街角には恋人たちの笑い声や学生たちのはしゃぐ声が混じっていた。吐く息は白く、年末に向けて慌ただしくなる一方で、人々の胸にはどこか焦燥感や不安も渦巻いていた。

そんな空気を突き抜けるように、テレビやラジオから力強いサウンドが響いた。軽快さと熱さを同居させたその曲は、聴く人の背中を真っ直ぐ押すエネルギーに満ちていた。

SMAP『俺たちに明日はある』(作詞:相田毅・作曲:岩田雅之)――1995年11月11日発売

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※Google Geminiにて作成(イメージ)

映像と響き合った“青春のアンセム”

この楽曲はSMAPの19枚目のシングルであり、木村拓哉とダウンタウンの浜田雅功がダブル主演したTBS系ドラマ『人生は上々だ』の主題歌に起用された。

人生の岐路に立つ若者たちが、不器用ながらも笑い、涙し、再び立ち上がっていく姿を描いたドラマとリンクするように、『俺たちに明日はある』も「転んでも立ち上がる」生き方を、音楽で体現していた。

映像と楽曲が一体化したとき、視聴者は強烈な共感と高揚を覚えたに違いない。テレビから流れるドラマの名シーンと、このサウンドが重なることで、日常の悩みや不安を抱えたリスナー自身もまた、登場人物と同じ気持ちになれたのだ。

鳴り響く音に込められた“希望の衝動”

作曲・編曲を手がけた岩田雅之は、ソウルやR&Bの熱量をベースにしつつ、日本のポップスとしての明快さを兼ね備えたサウンドを描き出した。イントロから炸裂するホーンセクションは耳をわしづかみにし、背後で駆け抜けるギターリフが疾走感を生み出す。そしてAメロに差し込まれるオルガンの響きが、楽曲全体に温かさと厚みを与えている。ホーン、ギター、オルガンの三位一体が生み出す推進力は、まさに“明日へ走り抜ける力”そのものだった。

当時のSMAPはまだ6人時代。スタンドマイクを用いたパフォーマンスが印象的で、メンバー一人ひとりが強い存在感を放ちながらも、全体でひとつの大きな塊となって迫ってきた。6人が並び、動き、声を重ねるその姿は、楽曲のメッセージを体現する“応援歌の象徴”のように輝いていた。

今も心を奮わせる“応援歌の記憶”

『俺たちに明日はある』は70万枚以上を売り上げ、90年代半ばのJ-POPシーンにおけるSMAPの確かな地位を証明した。華美な仕掛けや過剰な演出に頼ることなく、ストレートな言葉と突き抜ける演奏だけで人々の心を掴んだという事実が、この数字に凝縮されている。

1995年という時代は、バブル崩壊後の閉塞感を抱えつつ、新しい価値観を模索していた過渡期だった。経済も社会も不安定で、明日が見えにくい中で「俺たちに明日はある」という言葉は、皮肉を含みながらも希望を絶対に手放さない心意気を代弁していた。その力強さは、単なる歌のタイトルを超え、時代に向けた宣言のように響いていた。

『俺たちに明日はある』は、ヒットソングという枠を超えて、「転んでもまた立ち上がる」という人生の普遍的なテーマを掲げた作品だった。30年経った今でも耳にすれば、当時の空気とともに、自分自身の青春や挑戦の記憶が鮮明によみがえる人は少なくないだろう。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。