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30年前、人気番組テーマでお茶の間に広がった“別れだけど前向きな”友情ソング 仲間への想いを抱いて歩き出す“再スタート曲”

  • 2025.10.8

「30年前の春、あなたはどんな音楽を聴いていた?」

1995年、テレビからは連日新しい音楽番組が流れていた。世の中はまだカラオケブームの真っ只中。友人とマイクを握り、流行曲を競うように歌った記憶を持つ人も多いだろう。そんな時代に、ある人気バンドが“仲間との別れ”を抱きしめながら、新しい一歩を踏み出した。

米米CLUB『JUST MY FRIEND』(作詞・作曲:米米CLUB)――1995年5月21日発売

このシングルは、グループを去った元メンバーに向けた想いを内包した楽曲と言われており、米米CLUBにとって“新体制の第一弾”となる作品だったのだ。

別れの温度を抱えた、新しい幕開け

米米CLUBは、1980年代半ばからユーモラスで豪華絢爛なパフォーマンスで人気を集め、数々のヒットを飛ばしてきた。『浪漫飛行』や『君がいるだけで』など、誰もが口ずさめる代表曲を次々に生み出し、国民的バンドとしての地位を確立していた。

だが1995年、バンドは大きな転機を迎える。デビュー当時から支え合ってきたメンバーの脱退。これまでの“米米らしさ”を共有してきた仲間を見送った直後にリリースされたのが『JUST MY FRIEND』だった。

タイトルに込められたのは、別れてもなお“友達”であるという温かな気持ち。友情と感謝を歌に昇華させることで、聴き手の心をそっと包み込むような雰囲気を持つ作品に仕上がっている。

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2013年、米米CLUBアリーナツアー「大天然祭~大漁歌い込み~」より (C)SANKEI

サウンドに漂う軽やかさと温もり

この楽曲の最大の魅力は、米米CLUB特有のポップセンスがにじみ出たサウンドにある。華やかさよりもシンプルなポップアレンジで、聴きやすさと軽やかさを前面に押し出している。別れや変化というテーマを扱いながらも、曲全体にはどこか温もりが漂っており、米米らしい“エンターテインメントの優しさ”を感じさせるのだ

カールスモーキー石井のボーカルは、時に切なく、時に柔らかく響き渡る。その声に寄り添うように重なるバンドサウンドは、「前を向こう」と背中を押すような軽快さを持っている。

テレビと共鳴した記憶

『JUST MY FRIEND』は、フジテレビ系列の人気番組『なるほど!ザ・ワールド』のテーマソングとしても起用された。クイズ形式で世界の文化や習慣を紹介する同番組は、家族揃って楽しむ定番番組だっただけに、楽曲がお茶の間に広がるスピードも速かった。

最終的には約20万枚と爆発的なヒットではなかったものの、当時のCD市場の規模を考えれば、安定した支持を示した数字だった。

米米CLUBの歩みをつなぐ一曲

このシングルが持つ意味は、単なるタイアップやセールス以上に大きい。大所帯バンドとしての魅力を保ちながらも、「仲間が抜けても米米は進み続ける」という意志を世間に示したのだ。後に彼らは解散、再結成といった道を歩むことになるが、その長い歴史の中でも『JUST MY FRIEND』は大切な節目を象徴する一曲として記憶されている。

1990年代半ばという時代は、音楽シーンが多様化し、次々と新しいスターが登場していた。そんな流れの中でも、米米CLUBは“変化を楽しむバンド”として、独自の存在感を発揮し続けた。

友情と音楽が交差した瞬間

『JUST MY FRIEND』を聴くと、単なるポップソングを超えて、仲間との絆や別れの温度がふと胸をよぎる。華やかでユーモラスなイメージの強い米米CLUBが、等身大の感情をまっすぐに伝えたからこそ、多くの人にじんわりと届いたのだろう。

あの頃の春の空気、街に響いた軽やかな旋律。30年経った今でも、この曲は聴き手の心に“友情の記憶”を呼び覚ます。米米CLUBの旅路の中で、この一曲は確かに新たなページを開いたのだ。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。