1. トップ
  2. 51歳男性「老後資金いくら貯めればいいか不安…」物価高の今、実際どのくらい必要?【お金のプロがズバリ回答】

51歳男性「老後資金いくら貯めればいいか不安…」物価高の今、実際どのくらい必要?【お金のプロがズバリ回答】

  • 2025.8.19
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

近年よく話題になる「老後2000万円問題」は、50代の方を中心に、将来の生活に不安を感じる声が増えています。

特に、ここ数年の物価の上昇や生活費の増加を考えると、本当に2000万円の貯蓄で安心できるのか、疑問に思う方も多いでしょう。2025年の最新データを元に、どのくらいの資金が必要になるのかを、わかりやすく計算してみました。

老後資金2000万円の根拠とは?見えてくるリアルな試算

50代、老後資金のために無駄遣いはしないように心がけていますが、貯める資金の設定額をどこに据えるか次第で生活パターンを変えなければと考えています。老後の資金として2000万円は要ると聞きますが、昨今の急激な物価上昇で2000万円では足りないように思えますが、2025年時点での試算はいくら要るのでしょうか? (51歳・男性)

老後に2000万円必要」という言葉は、2019年に金融庁の報告書がきっかけで広まりました。

これは、公的年金だけでは、最低限の生活費に5万円ほどの不足があり、それが30年続くと、約2000万円が不足すると試算されたのです。しかし、この数字はあくまでモデルケースの話です。実際の生活スタイルや物価動向によって、必要額は変わります。

最近の物価上昇、特に2022年以降の食料品やエネルギー価格の高騰は、生活費を大きく押し上げています。たとえば、毎月の食費が1万円増えれば、年間で12万円、30年では360万円の増加です。これだけで、2000万円の前提額では、一気に不足する可能性もあります。医療費や介護費用の増加、住居のメンテナンス費用の上昇なども、無視できません。

このような変化を考えると、老後資金は、従来の2000万円以上を用意した方が安心かもしれません。まずは、家計の状況や健康状態、住んでいる地域の物価なども考慮して、計画を立てることが重要です。

2025年の物価高を考慮した老後資金シミュレーション

2025年の最新の家計調査や物価指数を参考にした場合、老後に必要な資金は、従来よりも多めに見積もる必要があるかもしれません。これまで、基本生活費の目安として月20万円(住居費・光熱費含む)が想定されてきました。しかし、近年の物価上昇率の5〜10%を反映すると、2025年時点では、月22〜23万円程度が必要と考えられます。

30年間この生活費が続いた場合、単純計算で約8000万円に達します。公的年金の受給見込み額が、月15万円とすると年金の総額は約5400万円です。この金額を差し引いた場合、約2600万円の自己資金が必要です。「老後2000万円問題」の水準より、物価上昇分を考慮して、約600万円増加していることになります。

この見積もりは、一つのシミュレーションに過ぎません。たとえば、健康状態が良くて、医療費の負担が少ない場合や、住宅ローンなどの負担がない人は、必要額は下がります。一方で、介護の費用や予期せぬ支出が重なると、さらに多くの資金を備えなければなりません。そのため、一律の金額にとらわれないことが大切です。自身のライフスタイルや将来の暮らし方に合わせて、資金計画を見直しましょう。

あくまでも自身の生活に合わせた貯蓄が大切

老後資金の目安として「2000万円」という金額が話題になりました。2025年現在の物価高を考えた場合では、、約2600万円前後の準備があると、より一層の安心感が生まれます。しかし、これは一般的なモデルケースに過ぎません。各家庭のライフスタイルや健康状況、住む地域、年金受給額によって、大きく異なる点に注意してください。

これからの老後資金計画は、物価や生活習慣の変化を踏まえた、柔軟な見直しがカギです。なるべく新しい情報を集めつつ、自身に合った生活をイメージしましょう。それが、豊かで安心できる老後につながります。


監修者:石坂貴史

undefined

証券会社IFA、2級FP技能士、AFP、マネーシップス運営代表者。1,000件以上の金融関連の記事制作、校正・監修を手掛けています。金融、経済、不動産、保険、相続分野が専門。お金の運用やライフプランの相談において、ポートフォリオ理論と行動経済学を基盤にサポートいたします。