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「2060年には現在の4割に」年々減少する“20〜64歳”働く世代…年金は受け取れなくなるって本当?【お金のプロが回答】

  • 2025.8.30
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

60代にとって、これまで保険料を支払ってきた年金は、生活を支える重要な柱です。日本の公的年金制度は「現役世代が納める保険料を、その時点の高齢者へ給付する仕組み」です。しかし少子高齢化が進むなかで「今後も同じように受給できるのか」という不安は広がっています。人口構造の変化は、年金制度にどのような影響を与えるのでしょうか。今回は、この年金問題の疑問に対して、ファイナンシャルプランナー(FP)が丁寧に説明します。

「現役世代の負担で成り立つ年金」その仕組みを学ぼう

我が国の年金制度は現役の納めた年金に依拠している。受給者は減らないのに現役が減ればおのずと給付額を減らすしかないと思うから。現役世代が減り続ける未来に今と同じ額の年金が受け取れるものなの? (67歳・男性)

日本の公的年金制度は「賦課方式」を採用しています。これは、現役で働く世代が納めた保険料を、同じ時期に年金を受け取る人へ回す仕組みです。資金を、長期的に積み立てる形ではありません。つまり、働く人が大きく減れば、年金給付額へ影響する可能性があります。

一方で、制度はこの仕組みだけで動いているわけではありません。政府は年金制度を持続させるために、さまざまな工夫を行っています。その一つが「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」による資産運用です。これは将来の給付に備えて、積み立てられたお金を投資・運用して、制度の安定を図る取り組みです。

少子高齢化による現役世代の減少に対応するため、受給開始年齢の引き上げや、保険料率の調整なども、少しずつ実施されています。公的年金は、現行制度の単純な形だけではなく、毎年の調整や補完策を組み合わせることで、現在は支えられている状況です。

働く世代の減少で年金はどのように変わる?事例を踏まえて解説します

厚生労働省の統計によると、20〜64歳の現役世代は年々減少しており、2060年頃には、現在の約4割まで縮小する見込みです。一方で、高齢者人口は増加し続けているため「支える人が減り、支えられる人が増える」という状況です。

このような背景から、年金制度に大きな負担がかかる可能性があります。対応策としては、年金額の調整、受給開始年齢の段階的な引き上げ、保険料の引き上げ、年金基金の運用益を活用する方法です。

年金が突然ゼロになることは、法律や制度上ではありません。経済状況や収入の変化が反映されて、政治的な調整が行われます。そのため「支給額は将来的に変動するかもしれないが、全く受け取れない」という大きな心配はないでしょう。

ちなみに、自営業者やフリーランスが加入する国民年金と、会社員が加入する厚生年金とでは、保険料や受給額の仕組みが異なります。年収や加入期間などの条件によって、実際の受給額に、個人差が生まれる点に注意してください。

「世代ごとにお金の悩みがある」変化する年金の制度を理解しよう

年金制度は、現役世代が納める保険料で成り立っているため、労働人口の減少は、制度に直接的な負担になります。政府による制度の見直しや、社会全体での議論によって、年金制度は時代の流れに合わせて変化してきました。そのため「将来、年金がまったく受け取れなくなる」と決まってはいません。

一方で、現役世代の減少は大きな課題であるため、受給開始年齢や年金額、保険料の水準などは、今後調整される可能性はあります。将来の生活設計を考える際には、正しい情報を集めてください。年金だけに頼らず、複数の収入源や資産形成の方法を、検討しておくことが大切です。


監修者:石坂貴史

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証券会社IFA、2級FP技能士、AFP、マネーシップス運営代表者。1,000件以上の金融関連の記事制作、校正・監修を手掛けています。金融、経済、不動産、保険、相続分野が専門。お金の運用やライフプランの相談において、ポートフォリオ理論と行動経済学を基盤にサポートいたします。