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会計で「お釣りが多い…」そのまま受け取ると“詐欺罪”って本当?!→やってはいけない“NG行動”とは?【弁護士が監修】

  • 2025.8.5
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「えっ、こんなに返ってきたっけ?」コンビニで支払いを済ませたあと、ふと財布の中を見て「お釣りが多い」と気づいたことはありませんか?
ラッキーと思ってそのまま受け取る――そんな軽い気持ちが、思わぬ犯罪トラブルにつながる可能性があるのです。
今回は弁護士の見解をもとに、「お釣りを多くもらったときにNGな行動」と、トラブルを防ぐための正しい対処法を解説します。

お釣りを多くもらってしまった…「うっかり受け取っただけ」でも罪になる?

たとえ店員のミスでお釣りを多く受け取ったとしても、法律上は注意が必要です。弁護士によると、状況によって以下のような罪に問われる可能性があるとのこと。

  • 気付かずに多く受け取ってしまい、店を出た後に気付いたが返還しなかった場合:
    占有離脱物横領罪(刑法254条)
  • 明らかに多いと分かっていて受け取った場合:
    詐欺罪(刑法246条1項)

つまり、お釣りを受け取ったタイミングで気づいていたかどうかで適用される罪が変わってきます。

「うっかり」と「意図的」で罪の重さが異なる…

では、「うっかり」と「意図的」で、どれほど量刑が異なるのでしょうか?

  • 占有離脱物横領罪(うっかり)
    →1年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金・科料
  • 詐欺罪(意図的)
    →10年以下の拘禁刑

悪意があると見なされれば、重罪扱いとなる可能性があるのです。

間違いに気づいたら、すぐに行動を!

万が一、後から「お釣りが多かった」と気づいた場合は、すぐに店舗に返金することが重要です。

また、店員に指摘されたり、確認を求められた際に、しらばっくれるとかえって不信感を招きます。

弁護士によれば、素直に返すことで「法益侵害が回復された」と評価され、法的リスクを避けられる可能性が高くなるとのことです。

警察から連絡がきたらどうする?

もし防犯カメラの確認などで発覚し、警察から連絡がきた場合は、慌てずに対応を。

  • まずは財布の中身を確認し、素直に協力する姿勢を見せる
  • 黙秘権(憲法38条1項)もあるが、事実を認めるなら正直に話し、反省の意思を示す
  • 可能であれば、弁護士を通じて店舗と示談交渉を行う

一方で、「身に覚えがない」場合も含め、取調べの対応や弁護の方針について、速やかに弁護士と協議することが重要です。

警察から連絡があった場合は、いずれにせよなるべく早く弁護士に相談することが最善策といえるでしょう。

トラブルを防ぐために、今日からできること

お釣りトラブルを未然に防ぐためには、次のような意識が大切です。

  • その場でお釣りの金額を確認する
  • おかしいと思ったら、すぐに店員に声をかける
  • 多くても少なくても“指摘する誠実さ”を持つ

逆にお釣りが少なかった場合、自分が損をしないことにもつながります。トラブルに巻き込まれないためにも、「たかがお釣り」と軽く考えず、誠実に対応する姿勢を持つようにしましょう。

知らずに“加害者”にならないために

お釣りを多く受け取る――それだけで犯罪になるとは、意外と知られていません。

しかし、状況によっては刑事責任を問われるリスクも十分にあるのです。

ちょっとした確認を怠ったばかりに、人生を左右するようなトラブルに発展しないよう、
「間違いに気づいたら返す」「最初から確認する」――そんな当たり前の行動を忘れないようにしましょう。


監修者名:ベリーベスト法律事務所 弁護士 齊田貴士

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神戸大学法科大学院卒業。 弁護士登録後、ベリーベスト法律事務所に入所。 離婚事件や労働事件等の一般民事から刑事事件、M&Aを含めた企業法務(中小企業法務含む。)、 税務事件など幅広い分野を扱う。その分かりやすく丁寧な解説からメディア出演多数。