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電車で寝過ごして折り返し…駅員「追加運賃です」→この支払、拒否したらどうなる?!【弁護士が解説】

  • 2025.8.2
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

飲み会帰りにうっかり電車で寝過ごし、終点まで行ってしまった…!あわてて折り返そうとしたところ、駅員から「追加運賃が必要です」と告げられてビックリ。

これって本当に払わないといけないの?もし拒否したらどうなる?――知らずにやってしまいがちな「乗りっぱなし行為」が、思わぬ法的トラブルに発展する可能性も。

鉄道会社のルールや法律上のリスクについて、弁護士がわかりやすく解説します。

電車の「乗りっぱなし」は違法?

電車で寝過ごして終点まで行き、折り返し乗車する場合、追加の運賃が必要になります

たとえ同じ駅に戻ってきたとしても、折り返し乗車や一周乗車は通常の運賃の範囲外とされ、正規の精算が求められます。

拒否するとどうなる?思わぬ“犯罪リスク”も

もし追加運賃の支払いを拒否した場合、法律上は以下のようなリスクがあります。

  • 鉄道営業法違反(第29条1号)
    → 有効な乗車券がないまま乗車したと見なされ、2万円以下の罰金または科料
  • 鉄道会社からの請求(鉄道運輸規程第19条)
    → 正規運賃に加えて、2倍以内の増運賃を請求される可能性

つまり「たかが乗り過ごし」と油断していると、法律違反や高額請求に発展するおそれがあるのです。

寝過ごしと“故意”の違いで罪が変わる?!

意図的であれ、寝過ごしてしまった場合であれ、追加運賃の支払い義務が発生することは変わりません。

今回は泥酔して乗り過ごしたパターンを紹介しましたが、“故意”の場合は罪の重さがまた変わります。

  • 寝過ごし(過失)
    → 追加運賃の支払い義務はあるが、悪質性が低く、駅員の裁量で免除される場合も
  • 故意に乗り続ける(悪質)
    電子計算機使用詐欺罪(刑法246条の2)が成立し、10年以下の拘禁刑の可能性がある

さらに、不正乗車を目的として駅構内に立ち入った場合は、鉄道会社の許可のない“侵入行為”とみなされ、建造物侵入罪(刑法130条)や軽犯罪法違反(軽犯罪法1条32号)に問われる可能性もあります。

この場合、最大で3年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金が科されることも。

「乗りっぱなし」や「無賃乗車」を軽く考えていると、思わぬ刑事責任を負うリスクがあるのです。

駅員に止められたら、どうすればいい?

駅員から追加運賃の支払いを求められた場合、支払い義務があるため基本的には応じる必要があります。

追加運賃を請求された際には、素直に事情を説明し、誠実に対応することが何より大切です。

  • 「酔って寝過ごしてしまった」と率直に伝える
  • 今後は気をつける旨を述べ、反省の態度を見せる
  • 駅員の指示に従い、冷静に対応する

乗車運賃のトラブルを避けるために、日々気をつけること

最後に、飲酒後の乗車でトラブルを防ぐためのポイントを紹介します。

  • 飲み過ぎず、節度をもって行動する
  • 降車駅の手前でアラームをかける
  • 運賃の仕組みや乗車券のルールを理解しておく

酔って乗り過ごすこと自体は、誰にでも起こり得ます。
だからこそ、「正直に申告し、正しく対応する」ことが、自分を守る唯一の手段になるのです。


監修者名:ベリーベスト法律事務所 弁護士 齊田貴士

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神戸大学法科大学院卒業。 弁護士登録後、ベリーベスト法律事務所に入所。 離婚事件や労働事件等の一般民事から刑事事件、M&Aを含めた企業法務(中小企業法務含む。)、 税務事件など幅広い分野を扱う。その分かりやすく丁寧な解説からメディア出演多数。