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SNSの『誹謗中傷コメント』…“いいね”だけでも犯罪って本当?!→日常生活で気をつけるべき“NG行動”とは?【弁護士が監修】

  • 2025.8.1
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

SNS上で誰かを非難する投稿や、心ないコメントを見かけたとき、軽い気持ちで「いいね」を押したことはありませんか?
実はその行為が、“加害者”として法的責任を問われる可能性があるのです。
今回は弁護士に、SNS上で誹謗中傷に関与したと見なされるリスクと、その対処法、そして日常で意識すべき「NG行動」について詳しく伺いました。

「いいね」だけでも罪に問われる?!SNSで問われる法的責任とは

SNS上で他人を貶めるような投稿に対し、「いいね」を押すだけでも侮辱罪(刑法231条)に問われる可能性があります。

処罰としては、1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金または拘留、もしくは科料が科されることも。

また、民事上でも「不法行為」として損害賠償請求されることがあり、たとえ投稿者でなくても「他人の権利や利益を侵害した」と判断されれば賠償責任が発生するリスクがあります(民法709条)。

リツイート・シェア・拡散も“共犯”になる可能性

「いいね」だけでなく、リツイート・引用・シェア・スクショ拡散といった行為も内容の拡散に加担した行為とみなされ、名誉毀損罪や侮辱罪に問われる可能性があります。

  • 名誉毀損罪(刑法230条):社会的評価を下げる事実を拡散した場合
    3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
  • 侮辱罪(刑法231条):事実を示さずに人を公然と侮辱した場合
    1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金など

さらに、画像や動画の無断転用などがあれば、「著作権法違反(最大10年以下の懲役または1000万円以下の罰金)」に問われる可能性も。

「知らなかった」では済まされない…加害者になった場合の対応法

自分に加害の意図がなかったとしても、行為が確認された場合は初動対応が非常に重要です。

  • 「いいね」をすぐに取り消す
  • 投稿の削除・リツイート取り下げ
  • 必要に応じて謝罪する

これらの行動により、被害者との示談や、裁判での情状酌量に繋がる可能性があります。
刑事・民事いずれにおいても、被害を軽減する姿勢を示すことが極めて大切です。

トラブルに巻き込まれたとき、弁護士・警察に相談するタイミングは?

被害者側の場合

SNSで自分に対する誹謗中傷を見つけたら、すぐに証拠を保存することが最優先です。

  • 投稿の内容
  • URL
  • アカウント情報
  • スクリーンショットや画面録画など

これらを確保したうえで、速やかに弁護士へ相談しましょう。弁護士は発信者情報開示請求や開示命令といった法的手続きを通じて、加害者の特定をサポートしてくれます。

また、警察に被害届を出す場合でも、開示請求などの法的プロセスを経ていないと、被害届を受理してもらえないこともあるため、やはりまずは弁護士に相談するのがベストです。

加害者側の場合

もし警察から連絡があったり、刑事事件として立件された場合、刑事処分や損害賠償のリスクがあります。
その時は、すぐに弁護士へ相談し、次のような対応に備える必要があります。

  • 取調べ対応
  • 被害者との示談交渉
  • 刑事処分の回避または軽減策

「ただのいいね」「ついリツイートしただけ」であっても、法的に“加担”と判断されることがあることを忘れてはいけません。

「いいね」も凶器に?SNSで“加害者”にならないために

SNSでは、相手の顔も反応も見えないため、軽い気持ちで行った「いいね」やシェアが、思わぬ深い傷を与えてしまうことがあります。

たとえ「自分は悪くない」と思っていた発言でも、それが他者を追い詰め、取り返しのつかない被害を生む可能性もあるのです。

SNSの投稿やリアクションも、時として“言葉の凶器”になるということを強く意識し、「絶対に人を傷つけない」という姿勢を持つことが必要です。

一方で被害を受けたときは“無視”も選択肢に

攻撃的な投稿や名指しの批判を受けたとき、つい反応したくなるかもしれません。しかし、反応したことで相手がエスカレートし、執拗な誹謗中傷に発展することも少なくありません。

無視する・関わらないという選択も、有効な自己防衛策です。

どうしても被害が続くようであれば、弁護士に相談し、法的対応に切り替えるのが安全です。

SNSの“軽い一手”が加害者・被害者を生む時代だからこそ

SNSの「いいね」やリツイートも誹謗中傷への加担と見なされるリスクがあります。自分にその気がなくても、損害賠償や刑事責任を問われる可能性もあるため、注意が必要です。

もし誹謗中傷の被害に遭った際は、証拠の保存した上で速やかに弁護士へ相談しましょう。 「人を傷つけない」「軽率に反応しない」「無視する勇気を持つ」――この3つがSNS時代の必須マナーです。


監修者名:ベリーベスト法律事務所 弁護士 齊田貴士

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神戸大学法科大学院卒業。 弁護士登録後、ベリーベスト法律事務所に入所。 離婚事件や労働事件等の一般民事から刑事事件、M&Aを含めた企業法務(中小企業法務含む。)、 税務事件など幅広い分野を扱う。その分かりやすく丁寧な解説からメディア出演多数。