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なぜ、とんかつには『キャベツの千切り』が添えてあるの?!→管理栄養士に聞いたら、“意外な真相”が明らかに…

  • 2025.8.22
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

ジューシーでサクサクのとんかつ、そのお膳に必ず添えられているのが新鮮なキャベツの千切り。なんとなく口直しや彩りのためかな、と思っていませんか?実は、このキャベツにはとんかつの美味しさを引き立てるだけでなく、健康面でもなくてはならない存在という“意外な真相”があるんです。今回は管理栄養士の視点から、なぜとんかつにキャベツの千切りが欠かせないのか、その理由をわかりやすく解説していきます!

とんかつのパートナー、キャベツの役割を多方面から考える

とんかつはパン粉をつけて油で揚げるため、どうしても油っぽくなりがちです。そのままだと脂っこさが食べ疲れや胃もたれの原因になることも。

そこで添えられているのがキャベツの千切りです。キャベツにはビタミンU(キャベジン)が豊富に含まれており、油っこい食事の消化を助けてくれる効果があります。ビタミンUは加熱に弱いため、生のままで食べるのがおすすめです。

食物繊維は、血糖値の上昇をゆるやかにしてくれる効果があるので、できるだけ食前に食べることで効果が高まります。

さらにキャベツに含まれるビタミンCは熱に弱いものの、生で食べることでしっかり摂取でき、とんかつに不足しがちな栄養素のバランスを補完します。このビタミンCには抗酸化作用があり、揚げ物で発生しやすい活性酸素の働きを抑制してくれるという嬉しい効果もあります。

また、キャベツのシャキシャキとした食感は味だけでなく、食感のメリハリを作り、飽きずにとんかつを楽しむためのアクセントにもなっています。つまり、キャベツの千切りは単なる「添え物」ではなく、とんかつをより美味しく、且つ体に優しい食事にするために役立っているのです。

歴史と食文化から紐解く、キャベツととんかつの“黄金コンビ”

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出典:photoAC(※画像はイメージです)

とんかつとキャベツの組み合わせは戦後の日本で定着したと言われています。当時の食卓事情や食文化を振り返ると、この組み合わせの裏には栄養や消化面への工夫だけでなく、食材の入手しやすさや調理法の合理性も関わっていることがわかります。

キャベツは日本各地で育てやすく、年間を通じて比較的価格が安定しています。揚げ物の脂っこさや重さに対し、安価で手軽にたくさん使えるシャキシャキ野菜として理にかなった選択でした。また生のまま千切りにすることで調理時間や手間を最小限に抑え、とんかつの提供速度も上げることができます。

管理栄養士の観点からは、現代の健康志向の高まりの中でも、このキャベツの付け合わせは栄養バランスを整える重要な役割を持ち続けています。油で揚げた肉類を食べる時には、どうしても消化に負担がかかるため、食物繊維やビタミン類を補うという昔ながらの知恵が現代にも生きているのです。

さらに、キャベツの千切りにたっぷりのとんかつソースやレモンをかけて食べるスタイルも、その味の変化を楽しませる伝統的な工夫。これにより、味の満足度とさっぱり感の両方を味わえるため、最後まで美味しくとんかつを食べられるのです。

とんかつとキャベツは切っても切れない深い関係があった!

じっくり考えてみると、とんかつにキャベツの千切りを添えるのは決して単なる「見た目の演出」や「口直し」だけではありません。管理栄養士の視点からは、消化促進や栄養補給、健康維持に欠かせない役割を果たしていることがわかりました。加えて、食感のバランスや味覚の変化を楽しませる工夫としても優秀なパートナーです。

つまり、とんかつにキャベツの千切りが添えられているのは、食文化の知恵と栄養学の両面から考えられた、“美味しさと健康を両立させる黄金コンビ”だったのです。これからもとんかつを食べる時は、キャベツも一緒にしっかり味わい、その素晴らしい助け役に感謝したくなりますね!


監修者:久住瑠実子(ひさずみ るみこ)/Instagram

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病院管理栄養士*うるおい漢方講師/未病栄養コンサルタント(分子栄養学)/Jr.母子栄養スペシャリスト
管理栄養士歴14年
大阪市在住。2013年に結婚、現在3姉妹を育てながら病院フルタイム勤務と個人事業を両立。「美味しく食べて美しく」をモットーに「日本の医療費1億円削減を担う人の一人になる」ことをビジョンに掲げる。そのために、3ヶ月で “自分の体の音を聴き、自分の心と対話できる人” を束で増やすべく「うるおい漢方コンシェルジュ養成講座」を開講している。