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25年前、日本中が心躍らせた“きらめくギャルポップ” 世代を越えて甦り続ける“疾走のアンセム”

  • 2025.8.28

「25年前、思わず心がはねたビートは何?」

2000年の夏、街はミレニアムを迎えたばかりのざわめきに包まれていた。ガラケーの着信音はお気に入りのメロディに変えられ、CDショップには新譜を探す若者が集まる。

そんな時代に、ひときわ軽やかで未来的な響きを持ったポップソングがリリースされた。

木村由姫『LOVE&JOY』(作詞:麻倉真琴・作曲:浅倉大介)——2000年7月19日発売。

フジテレビ系ドラマ『花村大介』の主題歌にも起用されたこの曲は、真夏のきらめきを閉じ込めたようなポップサウンドで、当時の空気を鮮やかに映し出していた。

浅倉大介のプロデュースパワー

『LOVE&JOY』は木村由姫にとって7枚目のシングル。彼女をプロデュースしたのは浅倉大介

自身のユニット・accessやT.M.Revolutionをはじめ、藤井隆や雛形あきこらのプロデュースでも際立った存在感を放ってきた浅倉は、シンセサウンドを駆使した煌びやかな音像で時代を彩ってきた。そこに木村の透明感ある歌声が重なり、2000年代初頭の空気を鮮やかに封じ込めたのが『LOVE&JOY』である。

浅倉サウンドの代名詞ともいえるスピード感と輝きはもちろん、中でもこの曲には当時のカルチャーを映した“ギャルテイスト”が強く漂っていた。ポップで華やか、どこか街の熱気と直結するような質感。それが、後にこの曲が世代を超えて語り継がれる理由のひとつになった。

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木村由姫-1998年撮影 (C)SANKEI

時を越えて残り続けた理由

リリース当時、ランキングを席巻するほどの派手さはなかった。だが『LOVE&JOY』は、その瞬間に消費されるのではなく、時間をかけて浸透していくタイプのポップスだった。耳にした人の心に、軽やかな残像を刻み続けていったのである。

その後の歩みが、それを裏づけている。DJ OZMAによるカバーを経て、やがてあやまんJAPANが自らのテーマソングとして取り上げ、あの「ぽいぽいぽいぽぽいぽいぽぴー」というリズミカルなフレーズへと姿を変えた。そこからネット文化やダンスフロアで繰り返し響き渡り、世代やシーンを飛び越えて再び光を放つ存在となった。

こうして『LOVE&JOY』は、リリース当時の枠を越え、時代を横断しながら残り続けるアンセムへと成長していったのである。

疾走するポップの魅力

イントロから疾走するビートに、突き抜けるようなサビ。聴いた瞬間に気分が前向きになる——それこそが『LOVE&JOY』最大の魅力だ。

浅倉が織り重ねるシンセのレイヤーは、煌びやかでスピード感があるだけでなく、どこか幻想的で夢に迷い込んだようなファンタジックな空気をまとっていた。その夢の世界のようなきらめきに、木村の透明感ある声が寄り添うことで、現実と幻想の境目を軽やかに行き来するような独特の世界が生まれた。

ただのダンス・ポップでは終わらない“物語性”こそ、この曲の魅力だった。

2000年の夏と今をつなぐアンセム

2000年の夏に生まれた『LOVE&JOY』は、きらめくサウンドと伸びやかな歌声で、その季節を彩ったポップソングだった。真夏の空気を軽やかに駆け抜けるような感覚は、聴いた人の記憶に確かな痕跡を残した。

そして25年が経った今も、この曲は新しい場面で響き続けている。カバーや替え歌を経て、ダンスフロアやイベントの中で再び光を放ち、世代を超えて口ずさまれる存在となった。

一度きりの流行で終わらず、時代を越えて輝きを増す——それこそが『LOVE&JOY』の奇跡なのだ。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。