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35年前、日本中が沸き立った“異例のヒット曲” 時代に衝撃を与えた“疾走するガールズロック”

  • 2025.8.27

「35年前の春、街角のCDショップにどんな音が響いていたか、覚えてる?」

1990年4月。平成が幕を開けてまだ間もない頃、日本はバブルの余韻を引きずりながらも、新しい時代の息吹を探していた。街を歩けば鮮やかな看板や流行のファッションが溢れ、音楽が人々の生活を彩っていた。そんな華やかさと混沌の狭間に、ひときわ強いエネルギーを放つ1曲が飛び出す。

プリンセス プリンセス『OH YEAH!』(作詞:中山加奈子・作曲:奥居香)——1990年4月21日発売。

9枚目のシングルとして世に送り出されたこの楽曲は、当時のソニーのオーディオカセットテープCMソングとしても起用され、テレビの画面越しに繰り返し響いた。バンドブームの真っ只中、ガールズバンドのトップに君臨していたプリプリが放ったこのナンバーは、まさに時代を突き動かす“疾走感の象徴”だった。

ガールズバンドの頂点で放たれた一撃

プリンセス プリンセスは、女性だけのバンドとして男性中心だったロックシーンの常識を塗り替えていった。

『OH YEAH!』が登場したのは、すでに『Diamonds』や『世界でいちばん熱い夏』などで国民的バンドの地位を確立していた時期。そこで選んだのは、バンドの原点ともいえるストレートなロックチューンだった。

シンプルでいて骨太なリフ、軽快に突き抜けるリズム、そして奥居香の伸びやかな歌声。すべてが「バンドの衝動」を封じ込めたような構成で、聴く者を一瞬でステージの熱狂に引き込んでいく。

 

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1996年、コンサート「PANIC TOUR '96 〜解散を遊ぼう FINAL〜」で熱唱するボーカルの奥居香 (C)SANKEI

疾走するサウンドの魅力

『OH YEAH!』の最大の魅力は、止まることなく突っ走るサウンドの一体感にある。ギターのカッティングは鋭く、それでいてポップさを失わず、リスナーを思わず拳を突き上げたくさせる。中山加奈子による歌詞は、明快で真っ直ぐ。難解な表現ではなく、誰もがその場で叫べるようなフレーズが連なっているのも特徴だ。

奥居香が描くメロディラインは、ハードすぎずポップすぎない絶妙なバランスで構築され、プリプリらしい「ロックとキャッチーさの融合」を見事に体現している。ライブで演奏されると、その疾走感はさらに増幅し、観客が一斉に「OH YEAH!」と叫ぶ光景は、当時を知るファンにとって忘れられない記憶となった。

シングルとしての特異性とヒットの証明

興味深いのは、この曲がオリジナルアルバムには未収録である点だ。当時のリスナーにとっては、シングルで手に入れるしかない“特別な存在”であり、その希少性もまたファンの記憶に強く刻まれた。さらに、テレビCMで繰り返し流れたことによって、「街の中に自然と流れていた曲」としての印象も強い。

そしてこの曲は、セールスの面でも強烈な結果を残した。発売初週で首位を獲得した後もランキングに長く留まり、最終的な累計売上は50万枚超。1991年に入ってもチャートに顔を出し続けるなど、まさにロングセールスを記録した。派手に打ち上げ花火のように消えるのではなく、じわじわと息の長いヒットを刻んだ点にこそ、この曲の存在感がある。

時代と響き合ったロックの叫び

1990年という時代を振り返れば、CDが主流になりつつある一方で、まだオーディオカセットは身近な存在だった。ウォークマンで音楽を聴きながら通学や通勤をする人々の姿は、まさに当時の風景の一部。『OH YEAH!』がカセットテープのCMソングに選ばれたのは、そうした生活の中で音楽がどう響くかを象徴する選択だった。

さらに、プリプリの存在そのものが「ガールズバンドが時代の先頭に立つことができる」という証明であり、多くの若い世代、とくに女子中高生や女性ファンにとっては憧れの的だった。聴くだけでなく、自分も楽器を持ってステージに立ちたい――そう思わせる力が、この曲には確かに宿っていた。

青春の疾走感を封じ込めた名曲

『OH YEAH!』は、聴くたびに「あの頃の勢い」を思い出させてくれる。カセットをウォークマンに入れて通学路を駆け抜ける情景、部室やライブハウスで仲間と声を張り上げた記憶。そのすべてを呼び起こすような曲だ。

バブルの煌びやかさと、不安を孕んだ新時代。その狭間で鳴り響いた“ガールズロックの疾走”は、今もなお色褪せることなく、私たちの胸の奥を熱く揺さぶり続けている。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。