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35年前、日本中が心ときめかせた“青春のラブソング” 今なお響く“カラフルな恋のリズム”

  • 2025.8.25

「35年前、あなたはどんな恋をしていましたか?」

1990年の初夏。街にはまだバブルの残り香が漂い、未来に対する漠然とした期待と不安が入り混じっていた。ショーウィンドウには鮮やかなワンピースやスーツが並び、街路樹の緑は光を浴びてきらめいている。

カフェのガラス越しからは最新のヒットソングが流れ、人々はそのリズムに足を弾ませながら日常を過ごしていた。そんな時代の空気と見事にシンクロした曲がある。

DREAMS COME TRUE『Ring! Ring! Ring!』(作詞・作曲:吉田美和)——1990年6月21日発売。

前作から続いた“勢い”の証明

DREAMS COME TRUEはデビュー当初から、『うれしはずかし朝帰り』や『うれしい!たのしい!大好き!』といった弾むポップソングから、心に残るバラードまで、多彩な楽曲を世に送り出してきた。1990年2月10日にリリースされた5枚目のシングル『笑顔の行方』では、グループにとって初めてランキングTOP10入りを果たす節目となった。

そして、その快進撃をさらに加速させるように登場したのが6枚目のシングル『Ring! Ring! Ring!』である。

ここで見せた軽快でカラフルなポップセンスは、DREAMS COME TRUEが時代を担う存在へと歩みを進めていく勢いを象徴していた。

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コンサートで歌うボーカルの吉田美和-1999年撮影 (C)SANKEI

弾むリズムと無邪気な歌声

この曲の最大の魅力は、跳ねるようなリズムと吉田美和の伸びやかで無邪気な歌声だ。イントロが鳴った瞬間、聴き手は自然と笑顔になり、体が小刻みに揺れる。

メロディはシンプルでキャッチー、その明快さが恋のときめきや日常の高揚感をそのまま映し出している。

歌詞には自転車が登場し、恋を待ちわびる胸の高鳴りが描かれる。誰もが一度は経験したような青春のひとコマを、カラフルに切り取ったサウンドが、この曲の普遍的な魅力を形づくっている。

ライブで光る“自転車の名シーン”

『Ring! Ring! Ring!』は、グループの代表作として長く語り継がれてきた。『BEST OF DREAMS COME TRUE』(1997年)や『DREAMS COME TRUE THE BEST! 私のドリカム』(2015年)などベスト盤にもたびたび収録され、ファンにとって外せない一曲となっている。

この曲が持つ魅力をさらに大きくしているのが、ライブでの演出だ。

『Ring! Ring! Ring!』のパフォーマンスでは、吉田美和が実際に自転車に乗ってステージに現れるシーンが印象的だ。会場のライトがぱっと明るくなり、カラフルな衣装をまとった彼女が笑顔で駆け抜けると、観客から大歓声が巻き起こる。その瞬間、楽曲が持つ「恋のときめき」が、目の前の現実として鮮やかに立ち上がる。

歌詞の世界をそのまま体現するようなユーモラスで自由な演出は、吉田美和らしい遊び心とエネルギーに満ちている。観客は自然に手拍子を打ち、サビでは大合唱が巻き起こる。会場全体がひとつのダンスフロアのように揺れ動くその光景は、ライブならではの“お祭り感”を象徴している。

『Ring! Ring! Ring!』が何年経ってもライブ定番として愛され続けるのは、こうした圧倒的な一体感と幸福感に理由があるのだろう。

青春を閉じ込めたポップアンセム

『Ring! Ring! Ring!』が今もなお愛され続けるのは、その明快さと普遍性にある。

恋をしたときの胸の高鳴り、電話が鳴るのを待つときのそわそわ感、自転車で駆け抜けるときの風の匂い。そうした誰もが経験した青春の情景を、ポップでカラフルなメロディに乗せて描いた“等身大のラブソング”だからこそ、世代を超えて共感を呼び起こすのだ。

1990年という時代の空気をまといながらも、聴くたびに新しいときめきを運んでくれる。

35年の時を経てもなお、この曲を耳にすれば、当時の街のきらめきや自分自身の青春の記憶がふっとよみがえる。

『Ring! Ring! Ring!』は、聴くたびにあの日のときめきを呼び覚まし、世代を超えて響き続ける一曲である。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。