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30年前、日本中が釘付けになった“背伸び女子の代弁者” 等身大の魅力で突き抜けた“90年代女子の象徴”

  • 2025.8.10

「30年前、どんな女の子に憧れていた?」

1995年、テレビの画面にふと現れた彼女に、誰もが目を奪われた。

スタイル抜群、ちょっとやんちゃで、でもどこか愛嬌があって――。

“カリスマ”という言葉が流行語に選ばれる前、hitomiという存在は、すでにそれを体現していた。

そんな彼女の名前を世に知らしめた1曲が、1995年4月21日にリリースされたhitomiの3枚目のシングル『CANDY GIRL』(作詞:hitomi・作曲:小室哲哉)だった。

トップ10入りせずして“最大セールス”のロングヒットに

この『CANDY GIRL』は、意外にもチャートでトップ10入りを果たしていない。だが、そんな事実をものともせず、ロングセールスとなり最終的に40万枚近くの売上を記録。hitomiの全シングルの中でも最大の売上を誇る代表作となった。

当時、トレンドの中心にあった“小室サウンド”に乗りつつも、hitomiのボーカルはどこか素朴で、完璧さよりも「等身大の勢い」が前に出ていた。

小室哲哉と久保こーじによる編曲は、当時の小室サウンドらしいエレクトロなビートを基盤にしつつ、hitomiの個性に寄り添うような軽やかなポップ感でまとめられていた。

強さよりも、自由さ。説得力よりも、リアルさ。

hitomiの持つキャラクターが、そのまま曲の空気になっていた。

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1999年、渋谷109でシークレットライブをおこなったhitomi (C)SANKEI

“ちょっと背伸び”が似合う女の子たちのリアルを映して

『CANDY GIRL』が特別だったのは、当時の若い女性たちの“気持ち”とリンクしていたからだ。

派手なメイク、短めのスカート、自由を求める心。でも、どこか不安定で、自信があるようで実は揺れている。そんな“ちょっと背伸びした女の子像”が、この曲には自然と息づいていた。

hitomi自身が書いた歌詞には、媚びでも理屈でもない、感情の輪郭がそのまま刻まれている。

恋に夢中な自分も、ちょっと強がる自分も、全部が“正直な私”だと肯定するような温度。

それはまさに、当時の女子たちの心そのものだった。

“かわいさ”が時代に刺さった理由

hitomiの登場は、それまでの「清楚」や「作り込まれたアイドル像」とは明らかに違った。

派手さと個性をミックスさせたファッション、印象的なビジュアル。hitomiは、“かわいさは自分で作っていい”という価値観を、いち早く体現していた存在だった。

彼女のビジュアルやファッションセンス、飾らない話し方――それらすべてが、新しい「女子像」を提示していた。

『CANDY GIRL』がヒットしたことで、hitomiは単なる“小室ファミリーの新人”ではなく、“時代の顔”としての第一歩を踏み出す。

この曲以降、彼女は“強さ”や“自立”を感じさせるアーティスト像へと進化していくが、その起点には、確実に『CANDY GIRL』があった。

今聴いても、女の子の本音が詰まっている

時が流れ、女性像も音楽の形も変わった。

だが『CANDY GIRL』に込められた、「自分のまま突っ走る」という空気感は、今もなおフレッシュだ。

完璧じゃない。言葉遣いもラフ。でも、それが“かわいさ”や“強さ”になることを、この曲は教えてくれた。

「こうなりたい」より、「こうでいいじゃん」――そんなメッセージが詰まった、30年前の名曲。

それが、hitomiの『CANDY GIRL』だったのだ。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。