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元祖『ジュラシック・パーク』のキャストたちは今

  • 2025.7.25

アラン・グラント役 サム・ニール

『ジュラシック・パーク』(1993)
Jurassic Park - Sam Neill as Dr. Alan Grant, 1993『ジュラシック・パーク』(1993)

恐竜研究の第一人者だが、子どもだけは苦手な古生物学者アラン・グラント博士を演じたサム・ニール。イザベル・アジャーニ主演のカルト作『ポゼッション』(1981)やジェーン・カンピオン監督の『ピアノ・レッスン』(1993)では、主人公に無理解で支配的な夫を演じ、悪役やクセの強い役が印象深い。『ジュラシック・パーク』では、やや偏屈ながらも絶体絶命の危機が訪れると、仲間や子どもたちを守ろうと立ち上がる、頼もしくチャーミングなキャラクターで人気を博した。

1947年、北アイルランド生まれ。両親はイギリス人だが、自身は幼少期に移住したニュージーランド国籍。母国やオーストラリアの映画を経てハリウッドに進出し、『レッド・オクトーバーを追え』(1990)やホラー映画『イン・ザ・マウス・オブ・マッドネス』(1995)、『イベント・ホライゾン』(1997)などに出演し、近年はキリアン・マーフィー主演の『ピーキー・ブラインダーズ』などTVシリーズでも活躍している。

『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』(2022)
JURASSIC WORLD DOMINION, (aka JURASSIC WORLD 3) - Sam Neill, Laura Dern, 2022.『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』(2022)

『ジュラシック・パークIII』(2001)、『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』(2022)でグラント博士役を再演。後者の撮影中に血管免疫芽球性T細胞リンパ腫と診断されたが、化学療法を受けて現在は寛解状態。俳優の仕事も再開し、今年7月にヨセミテ国立公園が舞台のサスペンス・スリラー『大地の傷跡』がNetflixにて配信スタートした。

私生活では、撮影現場で知り合った日本人のメイクアップアーティスト、渡辺典子と結婚して一児をもうけたが、2017年に離婚。ニュージーランドでTwo Paddocksというワイナリーを所有し、インスタグラムには田舎暮らしの様子などもしばしば投稿している。

エリー・サトラー役 ローラ・ダーン

『ジュラシック・パーク』(1993)
Jurassic Park - Laura Dern as Dr. Ellie Sattler, 1993.『ジュラシック・パーク』(1993)

グラント博士の助手を務める古植物学専攻の大学院生で、博士とロマンティックな関係にあるエリー・サトラー。明るく積極的な性格で、行動力抜群のエリーを通して、1990年代の男性優位社会に屈しない凛々しい女性像を打ち出した。『ジュラシック・パーク III』『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』にも登場する。

1967年、ロサンゼルス生まれ。父はブルース・ダーンと母はダイアン・ラッドという名優を両親に持ち、幼少期に母の出演する『白熱』(1973)や『アリスの恋』(1974)にノンクレジットで出演している。1980年に『フォクシー・レディ』で本格的に俳優業をスタートさせ、1986年の『ブルーベルベット』で純真な少女サンディを演じてブレイク。

以来、デヴィッド・リンチ監督との長年のコラボレーションが始まり、ニコラス・ケイジと主演を務めた『ワイルド・アット・ハート』(1990)は、カンヌ国際映画祭最高賞パルムドールに輝いた。『ランブリング・ローズ』(1991)で母娘共演を果たし、アカデミー賞でローラは主演女優賞候補に、母ダイアンは助演女優賞候補になり、オスカー史上初の親子同時ノミネートとなった。

『マリッジ・ストーリー』はNetflixにて独占配信中。
『マリッジ・ストーリー』はNetflixにて独占配信中。

10代から現在に至るまで、実年齢と演じる役柄を見リンクさせ、各年代ごとに代表作がある。『ワイルド』(2014)でリース・ウィザースプーン演じる主人公の母を演じ、短いながらも印象的な演技で2度目のアカデミー賞ノミネート(助演女優賞)を果たした。リッチなママ友たちの群像劇のTVシリーズ『ビッグ・リトル・ライズ』では、2017年にエミー賞を受賞。同年には『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』でホルド中将を演じた。そして、2019年のノア・バームバック監督作『マリッジ・ストーリー』で離婚専門の弁護士を演じ、悲願のアカデミー賞助演女優賞に輝いた。

1993年、環境メディア賞にて。
Laura Dern & Jeff Goldblum during 1993 Environmental Media Awards1993年、環境メディア賞にて。
2022年、『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』のPRでTV番組『TODAY』に出演。
Laura Dern and Jeff Goldblum on Wednesday June 8, 20222022年、『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』のPRでTV番組『TODAY』に出演。

プライベートでは、本作での共演をきっかけにジェフ・ゴールドブラムと交際に発展し、婚約したが、1997年に破局した。ビリー・ボブ・ソーントンとの交際を経て、ミュージシャンのベン・ハーパーと結婚、2児をもうけたが離婚。Apple TV+で配信中のシリーズ『パーム・ロワイヤル』でプロデューサーと出演を務め、今後はノア・バームバック監督の新作『Jay Kelly (原題)』などが控えている。

イアン・マルコム役 ジェフ・ゴールドブラム

『ジュラシック・パーク』(1993)
Jurassic Park - Jeff Goldblum as Dr. Ian Malcolm, 1993『ジュラシック・パーク』(1993)

安全性調査のため、パークに招かれた数学者でカオス理論の専門家、イアン・マルコム博士。皮肉屋でウィットの効いたトークを展開し、自然の威力を軽視するパークの姿勢に警鐘を鳴らす。ファッションでもひときわ存在感を放つマルコム博士を演じるジェフ・ゴールドブラムは1952年、ペンシルベニア州に生まれ。

10代で俳優を志し、ニューヨークに移って程なくして舞台デビューした。ロバート・アルトマン監督の目にとまって映画界にも進出し、『再会の時』(1983)などインディーズ映画の珠玉作から、『SF/ボディ・スナッチャー』(1978)や『ザ・フライ』(1985)などSFホラー作品まで、幅広く出演。『ジュラシック・パーク』に続き、SF大ヒット作『インデペンデンス・デイ』(1996)でも科学者役を演じ、その後『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』(1997)、そして『ジュラシック・ワールド:炎の王国』(2018)、『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』(2022)でマルコム博士役を再演している。

『ウィキッド ふたりの魔女』(2024)
WICKED, Jeff Goldblum, 2024. 『ウィキッド ふたりの魔女』(2024)

スタイルアイコンとしても注目され、コメディ作品では独特のユーモアセンスを披露する。ウェス・アンダーソン監督作品の常連で、近年は『グランド・ブダペスト・ホテル』(2014)、『犬ヶ島』(2018)、『アステロイド・シティ』(2023)などのキャストに名を連ねている。『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)などでグランドマスターを演じてMCUにも登場し、オズの魔法使いを演じた『ウィキッド ふたりの魔女』(2022)、その続編でも再演する。

私生活では『ザ・フライ』などで共演したジーナ・デイヴィスと1980年代に結婚・離婚し、ローラ・ダーンとの交際を経て、2014年に新体操の元オリンピック選手のエミリー・リヴィングストンと再婚し、息子2人が誕生した。

ジョン・ハモンド役 リチャード・アッテンボロー

『ジュラシック・パーク』(1993)
Jurassic Park - Richard Attenborough as John Hammond, 1993『ジュラシック・パーク』(1993)

バイオテクノロジーを駆使して現代に恐竜を蘇らせ、アミューズメント・パーク「ジュラシック・パーク」を作り上げた実業家ジョン・ハモンド。パークで恐竜による飼育員殺害事件が起き、ハモンドは安全性を証明するべく、支援してきたグラント博士とサトラーに協力を求めて、コスタリカのイスラ・ヌブラル島へ招く。

夢の実現を急ぐ大富豪を演じたリチャード・アッテンボローは、『ガンジー』(1982)でアカデミー賞作品賞と監督賞を受賞したイギリスの名匠であり、男爵の称号を持つ。動物学者のデヴィッド・アッテンボローは弟。1923年、ケンブリッジの学者の家庭に生まれ。王立演劇学校で学んだ後、1940年代から俳優として活動。『大脱走』(1963)や『砲艦サンパブロ』(1965)などに出演し、1969年から監督に進出。『遠すぎた橋』(1977)、『コーラスライン』(1985)、『遠い夜明け』(1987)、『チャーリー』(1992)などを手がけた。

『ガンジー』(1982)でアカデミー賞の作品賞と監督賞を獲得。主演男優賞に輝いたベン・キングズレーとともに。
Richard Attenborough and Ben Kingsley Holding Oscars『ガンジー』(1982)でアカデミー賞の作品賞と監督賞を獲得。主演男優賞に輝いたベン・キングズレーとともに。

1980年代はお休みしていた俳優業に久々にカムバックしたのが『ジュラシック・パーク』。スピルバーグから直接オファーがあり、製作時には脚本や演出について助言もした。以降は監督も俳優業も並行させ、『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』(1997)や『エリザベス』(1998)に出演、2007年公開の『あの日の指輪を待つきみへ』を監督し、2014年に90歳でこの世を去った。

レックス・ハモンド役 アリアナ・リチャーズ

『ジュラシック・パーク』(1993)
JURASSIC PARK - Ariana Richards, 1993『ジュラシック・パーク』(1993)

ハモンドの孫娘、レックスはミドルティーンでヴェジタリアン。恐竜大好きの弟ティムと祖父のパークを訪れ、おっかなびっくりながら草食恐竜と交流するも、やがて暴走する恐竜たちから逃げまどうはめに。危機的状況でハッカーのスキルを駆使して機転を効かす場面もある。

演じるアリアナ・リチャーズは1979年生まれ。8歳頃から子役として活動し、1989年に『トレマーズ』に出演して注目された。オーディションでは、恐怖の表現力を確かめるべく、カメラの前で激しく叫ぶ演技を要求された。アリアナの絶叫は凄まじく、別室で寝ていた監督夫人が飛び起きて様子を見に来たほどで、見事に合格となった。撮影を通して恐竜に強い関心を持った彼女は、翌年にグラント博士のモデルで本作アドバイザーの古生物学者、ジャック・ホーナーの発掘調査に参加。

『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』(2022)のプレミアにて。
Los Angeles Premiere Of Universal Pictures "Jurassic World Dominion" - Arrivals『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』(2022)のプレミアにて。

『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』(1997)にも出演したが、2001年に『トレマーズ3』を最後にしばらく俳優業から遠ざかった。その後、2013年にTV映画『Battle Dogs(原題)』で復帰するも、現在は絵画中心のアーティストとしての活動が主となっている。肖像画や風景画を手がけ、スピルバーグのオフィスには彼女が描いた油絵が飾ってあるそうだ。2022年に『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』のプレミアに参加し、レッドカーペットでローラ・ダーンやジェフ・ゴールドブラムと再会を果たした。

ティム・ハモンド役 ジョゼフ・マゼロ

『ジュラシック・パーク』(1993)
JURASSIC PARK - Joseph Mazzello, 1993. 『ジュラシック・パーク』(1993)

ハモンドの孫で、恐竜が大好きでグラント博士に憧れている少年ティム。姉のレックスとともにパーク内を暴れ回る恐竜たちから、必死の逃走劇を繰り広げる。車にひとり取り残され、 恐竜に襲われる絶体絶命の危機にも直面する。

演じるマゼロは1983年生まれ。5歳で出演したハリソン・フォード主演の『推定無罪』(1990)で映画デビュー、翌1992年の『ラジオ・フライヤー』でイライジャ・ウッドの弟を演じて注目された。スピルバーグ監督との出会いは、実は1991年、『フック』のオーディションだった。その際は年齢を理由に役が付かなかったが、監督の目に留まり、『ジュラシック・パーク』のティム役に抜擢された。当初の脚本では、レックスの兄という設定だったが、ジョゼフを起用するために弟に変更されたという。

『ボヘミアン・ラプソディ』(2018)より。左からジョン・ディーコン役のジョゼフ・マゼロ、ロジャー・テイラー役のベン・ハーディ、フレディー・マーキュリー役のラミ・マレック、ブライアン・メイ役のグウィリム・リー。
Bohemian Rhapsody - Joe Mazzello as John Deacon, Ben Hardy as Roger Taylor, Rami Malek as Freddie Mercury, Gwilym Lee as Brian May, 2018.『ボヘミアン・ラプソディ』(2018)より。左からジョン・ディーコン役のジョゼフ・マゼロ、ロジャー・テイラー役のベン・ハーディ、フレディー・マーキュリー役のラミ・マレック、ブライアン・メイ役のグウィリム・リー。

『ジュラシック・パーク』公開同年には、リチャード・アッテンボロー監督の『永遠の愛に生きて』にも出演。1994年にはメリル・ストリープ主演の『激流』、1995年には少年2人の友情を描いた感動作『マイ・フレンド・フォーエバー』などに出演し、名子役として名を馳せた。

成年後は『ソーシャル・ネットワーク』(2010)、『G.I.ジョー バック2リベンジ』(2013)に出演、スピルバーグがトム・ハンクスと製作総指揮を務めた太平洋戦争を描くTVシリーズ『ザ・パシフィック』(2010)でも主要キャストのひとりを演じた。2016年には、製作・脚本・主演を務めたコメディ映画『Undrafted(原題)』で監督デビュー。世界中で大ヒットした『ボヘミアン・ラプソディ』(2018)ではクイーンのベーシスト、ジョン・ディーコンを演じている。

レイ・アーノルド役 サミュエル・L・ジャクソン

『ジュラシック・パーク』(1993)
JURASSIC PARK - Richard Attenborough, Samuel L. Jackson, 1993.『ジュラシック・パーク』(1993)

パークのチーフエンジニアとしてコントロール・ルームに常駐するレイ・アーノルド。勤勉で、いい加減な仕事をする同僚には厳しい目を向けている。チェーンスモーカーで、デスクにはタバコの吸い殻の山という描写は1990年代という時代が映し出されている。『ジャングル・フィーバー』(1991)で注目されたサミュエル・L・ジャクソンにとって、本作は『パルプ・フィクション』(1994)で大プレイクする直前の出演作。

1948年、ワシントンD.C.で生まれたサミュエルは、1972年に映画デビューし、今や50年以上のキャリアを誇るベテランだ。1980年代以降は『星の王子 ニューヨークへ行く』(1988)、『グッドフェローズ』(1990)などハリウッドのメジャー大作にも出演し、1991年に盟友スパイク・リー監督の『ジャングル・フィーバー』でカンヌ国際映画祭助演賞を受賞。本来、同映画祭にない部門だが、サミュエルの演技のために特別にもうけられた。

2025年のアカデミー賞にて。
97th Annual Oscars - Arrivals2025年のアカデミー賞にて。

クエンティン・タランティーノ監督の『パルプ・フィクション』(1994)では、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされた。タランティーノ作品には『ジャンゴ 繋がれざる者』(2013)、『ヘイトフル・エイト』(2016)など多数出演している。『スター・ウォーズ』シリーズのメイス・ウィンドウ役は、ジョージ・ルーカス監督に「ノーギャラでもいいから」と直訴して出演にこぎつけた。また、『アイアンマン』(2008)などのMCUではニック・フューリー役を務める。2022年に第12回ガバナーズ賞でアカデミー名誉賞を受賞した。

ヘンリー・ウー役 BD・ウォン

『ジュラシック・ワールド』(2015)
JURASSIC WORLD - BD Wong, 2015.『ジュラシック・ワールド』(2015)

パークの主任遺伝子技師で、ラボを見学するグラント博士たちに恐竜を蘇らせる手法を説明するヘンリー・ウー博士。登場するのはほんの数分間だが、後の『ジュラシック・ワールド』シリーズでは、よりダークなキャラクターとして存在感を示した。

BD・ウォンは1960年、サンフランシスコの香港移民の家庭に生まれた。1988年にブロードウェイ・デビュー作となった舞台「Mバタフライ」でトニー賞をはじめ、主要演劇賞を受賞。スティーヴ・マーティン主演の『花嫁のパパ』(1991)とその続編でウェディング・プランナーのアシスタント役で注目された。

JURASSIC WORLD DOMINION, (aka JURASSIC WORLD 3) - BD Wong, 2022.

映画は『エグゼクティブ・デシジョン』(1996)や『セブン・イヤーズ・イン・チベット』(1997)、『ムーラン』(1998)ではシャンの声を担当した。TVシリーズ『LAW & ORDER: 性犯罪特捜班』ではジョージ・ホアン医師役で14年間レギュラー出演し、『MR. ROBOT/ミスター・ロボット』ではトランスジェンダーのハッカー、ホワイトローズ役でエミー賞にノミネートされた。

ゲイであることを公表しているウォンは、2018年からリチャート・シュノールと結婚しており、それ以前のパートナーとの間に代理出産による息子が一人いる。子育てLGBTQ+コミュニティとの関わりについては、2003年に発表した自伝『Following Foo: The Electronic Adventures of the Chestnut Man』で綴っている。

Text: Yuki Tominaga

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